28話 運命のデックと、二枚の死神
「では5戦目。どちらかが勝ち上がれば勝者となり、引き分けなら延長戦と入ります」
配られた手札のカードは8、7、12の合計27。
数値だけを見ればまだ守れる――だが、心臓は早鐘のように打つ。
フェルの視線がこちらに刺さる。きっと冷静に私の心理を読もうとしているはず。
両者コインもない。下手に手を出せば即失策。
それは相手も理解しているはず。
「私はパス」
宣言した声に迷いはない、だが手が微かに震えている。自覚できるくらいに。
「あたしは……3枚追加で」
彼女の手札が増える瞬間、私の鼓動も増幅する。
頭の中で計算が走る。残り少ないデックから3枚引いて、ジョーカー2枚を同時に引く確率――理屈上は可能だが、その可能性は低いはず……。
配られる3枚のカードを拾い上げ、視線をカードに注ぐと、彼女は笑う――その笑みは、甘くない、毒を含んだ花のよう。
まさか……。
「ではコインの宣言をムエルニ様」
私の手は固まる――出せない。
コインは全部排出した。
「……ありません」
手札にはジョーカーもなく、ただの数字の入ったカードのみ。
しかし、彼女は手札からカードを取り出して見せてきた。
2枚のジョーカー。
――時間が止まった。
「ジョーカーでムエルニさん。あなたのカードを2枚捨ててもらいます」
目の前で、2枚のカードが私の手からゆっくりと消えていく。
心臓が凍りつく。鼓動だけが、異常に早く耳に響く。
手札の重さが、指先にしっかり残る。
なにこれ……。
私は目の前がゆらゆらと波打つような揺れる感覚を覚えた。
頬に伝う水が伝わると私は涙を流しているのだと気づく。
「ムエルニ様合計数7。フェル・ラグンダルト様合計数35。サーティーンズ・デスはフェル・ラグンダルト様の勝利となります」




