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運命のカードを引くギャンブラー~王都カジノの少女賭博録~  作者: レブラン
1章

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3話 王都の洗礼とカモになる田舎娘

「――まあそんな事で。依頼を山ほど受けることができる。表ではそんな所だが、裏ではカジノやギャンブル、つまり金を賭け合う場所に早変わりする街。大金目指して稼ぐ人も、借金する人も多い結構危険な街になるから、まあフェルちゃんには体験するのもまだまだ早いからそこらへんは気にしなくても。というか知識のない田舎から上京してくる子はカモにされるから注意して。って、寝てたか。それにいつの間にか王都についたな」


 誰かがあたしの体を揺らし、起こそうとする。

 大勢のガヤガヤと騒がしい声が聞こえる。

 眠気の中、意識がだんだんと覚醒していくのがわかると男の声が聞こえた。


「ほらフェルちゃん起きて、王都へ着いたよ」

「……えっ?」


 予想通り寝ていたらしく、光が目に染みる感覚を覚えた。

 目を凝らすと、眩い光景が広がっていた。


「わぁ......こんなにたくさんの店が光ってるなんて! それに良い匂いも!」

「はは、これだけの店を見るのはフェルちゃん初めてだね。ここら辺は飲食店街。今は取れた野菜を商業組合に出荷している所でおじさんも行くが、戻ってくるまで馬車の中で待っとくんだぞ」


 ファステールのおじさんは組合の施設に向かう。

 クゥーっとお腹が鳴るとお腹が空いているのを思い出すと、鞄の中から干し肉を取り出し食べた。

 量は少ないせいか、少し腹を満たしただけでまだお腹が鳴く。


「お腹空いたー。まだ戻ってきそうにないし、おじさんには悪いけど少しだけ離れるね」


 馬車から降りるとお腹が空いてるからか、ふらふらと匂いの方向へと足が運ぶ。

 入口と思う場所に到着するが、なんか入りにくい雰囲気……。

 中を覗くと人が大勢、色々武器を持ってる人がたくさんいる。


「邪魔だ姉ちゃん!」

「す、すみません……」


 入口の邪魔になっていたらしく、あたしは他の場所へと移る。

 あれが冒険者なのかな?

 とても怖い人達だ……。

 あたしこんな所でやってけるのかな?

 不安と恐怖で怖気づいてしまう。しかし不安とは別に、クゥーと主張するあたしのお腹。どれだけ不安になろうが腹は減るってわけだ。


 何か一度食べ物を食べないと。そう思い腰の袋に手を当てようとした矢先、誰かがあたしにぶつかってきた。


「すまねえ嬢ちゃん、急いでるんだ」


 大男に突き飛ばされ、近くに歩いている人へとぶつかってしまった。


「全く、人にぶつかっといてあいつの態度はなんだ。あ、怪我はないかい? 大丈夫?」

「は、はい」


 ぶつかったあたしに微笑みかける男性。

 優しい人……って、いけない早く離れないと。


「す、すみません。ありがとうございます」

「こんな夜中に君みたいに可愛い女性が一人で歩いていると危ないよ? どうしてここら辺をウロウロしてたの?」

「あ、えっと。あたしこの王都に来たの初めてで、良い匂いがしたから。何か食べてみようと思ってお金を確認しようとしたら……あれ?」


 腰につけていた布袋がなくなっている。

 何度も腰を探るがどこにもないのに気づく。

 同時にあたしの中でサーっと血の気が引いていくのが感覚的にわかった。


「もしかしたらさっきの奴らにスられたか? そのなくなっているのはお金か何かかい?」

「はい……」

「なるほど、わかった。少しここで待ってて」

「え……けど」

「大丈夫、俺はさっきの奴の顔を覚えてる。まだ近くにいるだろうし見つけたら取り返してあげるよ」


 そう言い残して彼は去った。

 心のどこかで小さな警告音が鳴っている気がする。

 でも、この人はあたしを助けてくれたんだから……。

 それでも不安に駆られる。

 村に居たときは皆は良い人で、こんなことは起こらなかった。

 やっぱりおかあちゃんやおとうちゃんに言われた通り、あたしだめなのかな……。

 少ししてから彼が戻ってくると、手に持っていたのはお金が入った皮袋だった。


「これかな?」

「はい、これです! ありがとうございます!」


 なんて優しい人なんだろう。

 あたしは少しでも、もしかしたらって思ってしまったのが恥ずかしい……。

 微笑みかける笑顔にあたしは見惚れた。


「あ、あの良ければ……お名前を聞いてもよろしいでしょうか? あたしはフェル・ラグンダルト」

「俺はトワイラ。こんな可愛い子がどうして一人でいたのか聞いてもいいかな?」

「はい……実は、王都へ来ている人。マーヤ・ディラントを探してまして……」

「マーヤ・ディラント……聞いたことある名前だな」


 あたしは思わず「えっ!」と聞き返す。


「あ、あの、トワイラさん。マヤ姉……マーヤ・ディラントの事をご存じで!?」

「ああ、もしかしたらあそこにいるのかも。ついてきてくれるかい?」


 ……少しだけ胸の奥がざわついた。

 でも、マヤ姉の手がかりを逃すわけにはいかない。

「はい」と返事をしてついて行くことにした。

 あたしはついてると思った。

 だってこんな広そうな王都へ来て、早々にマヤ姉の事を知ってる人に会えるなんて。

 そうだ、おじさんに……マヤ姉と出会ったあとで言えばいいか。

 あたしはそう気楽に思いながら、この人について行った。


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