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純白のギャンブラー(改稿前版)  作者: レブラン
2章

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23話 不安な背中と、7.0倍のオッズ

あくまでオッズに関しては適当にこうかなって感じにしました。

 酒の大暴れ事件から、静かな数日が過ぎ去った。


 現在、あたしとユエルはセブンズミラーのラウンジにいる。

 いつも通りの整然とした部屋。だけど人気のない広間の空気には、前回とは違う緊張が漂っていた。


「前回来た時より、何だか広く感じますね」

「うん……」


 ライネスの姿がないだけで、空間の余白がやけに寂しく思えた。

 ただの空間の広さじゃない。心の隙間まで広がるような、不安な余韻だ。


「ついにこの日がきましたね。フェルならやれますよ」

「うん……」


 ユエルに対して返事の声が小さいのは、自信のなさの表れだとあたし自身も自覚している。

 今回の勝負の結果次第で、勝てばあたしとユエルはギルドへと入団が確定する。

 代わりにムエルニさんの処遇も決まる……。

 ユエルはギルドに入団させたいが、ムエルニさんは……?

 負けたとしたらあたしはいいけど、ユエルは……?

 そんな後ろめたさに気が引けて返事に力が入らないのが自分でもわかっていた。


「もー! フェルったらなに辛気臭い生返事ばかりしてるんですか! 自分はフェルを信じてます。フェルならムエルニを倒せますよ!」

「そうだね……そうかな……」

「あーっ! もーっ!」


 ユエルはあたしの前に来ると、互いの鼻先がふれそうになるほど顔を近づかせて両手を握る。


「フェルは考えすぎなんですよ! たまたまあたしはたまたまフェルと出会えた。そしてたまたまライネスに出会えてたまたまここに来れた。それもこれもフェルと出会えたおかげです! それで、えーっと。なんていうかわからないですが、今回、もし負けて自分が入団できなかったって他にチャンスはいくらでもあるんです! だから気負いせずにいきましょう!」


 真剣にあたしを見るユエルの眼差し。

 彼女の真剣な眼差しに、胸が熱くなる。

 本気でそう思って言っているんだとわかる。

 彼女に応えるように。


「うん……そうだね。ありがとうユエル。あたし頑張るね」


 そう言ってあたしも強く握り返した。

 トントンと扉のノック音が聞こえる。

 丁度来たらしく、扉が開かれると従業員が入って来る。


「フェル・ラグンダルト様。準備が整いました」


 椅子から立ち上がると、向かう。


「それじゃ行くね」

「頑張って」


 扉が閉まり部屋から出ると従業員は歩き始める。

 あたしはその後ろについていくよう歩き始めた。


「歩きながらで申し訳ありません。ギャンブル会場の変更をお伝えいたします」


 一方、ユエルは地下ギャンブル会場の広間にいた。


「うひゃぁー、相変わらず広くて迷いそう」


 ここでフェルとムエルニと対決すると考えると、少しワクワクする。

 複数の台が並び、天井のシャンデリアから注がれる光は周囲を照らす。

 服装から貴族と思われる人、警護するために雇われた冒険者と思われる人物も多数。

 台に視線を向けると、前回不正が発覚してからか、特殊な木のギャンブル台は宣言通り全て取り換えられているのがわかる。

 この前見た時より人が多く感じる。

 一部の台には人だかりはない。前回行われていた中央の台だ。

 未だにフェルとムエルニは来ていないならまだしも、台の上にはデックすら置かれていない。

 今回はフェルがムエルニと対決するのだから自分が台の近くに行くわけにはいけない。

 しかし、どこにいるのかもさっぱり。


 歩き回ってみるが、貴族達の会話で聞こえるのは今日行われるフェルとムエルニとの対戦の結果だ。

 注目の対戦らしく、どちらに賭けているのかなど。聞けども聞けどもその話題で持ちきり。

 前回自分もいたのだけど、誰も気にする様子もない。そこまで注目されていないというよりも、存在感の無さに苦笑が出る。

 現在の賭け率(オッズ)はフェルが7.0倍、ムエルニは3.0倍だそうだ。

 前回実質二対一だったわけで、今回から一対一。

 実力的にムエルニのほうに軍配があがるのは当然だと言える事だろう。


「皆が何を思おうが自分はフェルを信じるまで」


 しかし、肝心の二人が見つからない。

 もしかしたら前回リーシャが映した動く画像の魔法ように映されるかもしれない。

 そんな淡い期待をしていると、映像が中央の台の上に大きく映った。


「やっぱり……あそこはもしかして」


 映像は、リーシャが待ち構えていた部屋だ。

 会場は地下ではなく向こうで行うらしい。


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