守ってるけど守ってない
やっぱりこの町の人たちはおかしいですね。
何度もそう感じることはあったのですが、今回はとびきりです。
いえ、おかしいというより無謀なのです。
猟獣会にいるのは、狩りをする人たちです。
あ、お姉さんたちは違いましたね。狩りをしない人も交じっているのです。
狩りというのは、獲物と自分の果たし合いなのです。
中には反撃してこない種類の獲物もいますよ。
でも、そんな獲物でも逃げられてしまえば、ご飯が食べられないのです。
だから獲物の方だって、逃げ切ることが相手を苦しめることにつながるのです。
どちらも本気で行かないといけないものなのです。
なのに、お腹を丸出しにしているのです。
毛も生えてないし、骨で守られてもいないお腹を、さらけ出して狩りをするのですか?
狩りに降参はありませんよ。
何かが刺さって引っ張られただけで、ポロッとまろび出てしまいますよ。
お腹から、ゾウモツが。
あと、お姉さんはお腹を出してませんね。
特に女の人に多いですね。
胸や腰は、しっかりと硬そうなもので覆って守っているのに、お腹が丸見えです。
手や足ならいいのです。
大事なものが入っていないし、もし狙われても動かしやすい場所なのです。
だけどお腹は動かせません。
跳んだり走ったりして体全体を動かさないといけないのです。
胸はあばらが守っています。
腰はもともと骨が入っています。
そこの守りをさらに固めているのに、お腹はほったらかしなのです。
もしかしたら、この人たちは囮作戦が得意なのでしょうか?
こんど狩場で観察してみましょう。
うーん、不思議なのです。
猟獣会で覚えた匂いを辿ってきたのですが、あのときの人はいないみたいですね。
この人たちは、押さえ役と仕留め役の分担作戦で狩りをしているようです。
うーん、匂いはしているのに……
囮作戦のやりかたを見ておきたかったのです。
私の鼻が間違いないと言っているのですが……
でも、これ以上近付くのはよくありませんね。
獲物の横取りを狙っていると、思われたくないのですよ。
残念ですが、私も獲物を探しに行くのです。
「今日はなかなかの大物だったね」
「なぁリーダー、やっぱり会館に戻る前に着替えるのかい?」
「当たり前だよ、そろそろ慣れな。こんなバタ臭い恰好で人前に出てたまるかってんだい」
「あの装備のまま狩に出れば、着替えなくてよくなるんじゃない?」
「あんなので藪の中を歩いてみろ、草に引っ掻かれるし、虫に刺されちまうよ」
「女ハンターってのは茨の道なんですね」
「いい旦那を捕まえたきゃ、着替えは必須技能なのさ」
「顔に怪我でもしてみろ、結婚退職なんて夢のまた夢だぜ」
「これが、耀花のテレジアの裏側……」
「馬鹿だね、口に出さないだけでみんな知ってるよ」
「そうそう、見られてるのは心意気の方なんだよ」
「狩場では鬨の声を上げても、人目に触れるときは気高くあれ、だよ」




