表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

望郷、踏み出す修羅の道

注意書き

流血表現など残酷描写が多数あります。

苦手な方はご注意ください。

「誰だよ、お前。」

黒髪をセンターパートにしたクールな印象の男が俺を睨みつけてくる。

「あんたの方こそ誰だよ。ここは俺の部屋だぞ。勝手に入ってんじゃねえよ。」

俺が言葉を発する度に彼の薄緑の混じった灰色の瞳は嫌悪の色に染まっていく。


「同居人ってのはお前か。」

彼は深く溜息を吐きながら立ち上がると、テープを取り出しビッと床に一直線に引き始めた。

「おい、何して…!」

「このテープから先は俺の部屋、そっち半分はお前の部屋だ。互いに勝手に入ることは禁止する。それと二度と話しかけてくるな。話すなら必要最低限のことを話せ。以上。」

彼はそう捨てるように言葉を吐くと、そそくさと部屋を出ていった。

なんだよあいつ。

初対面からしていい対応じゃねえだろ。ふざけんなよ。

俺が何したって言うんだよ。

一人で伸び伸びと部屋を使えると思ってたのによ。勝手にいて勝手にやりやがってよ。

そもそもなんであいつが全部勝手に決めんだよ。

深い溜息を吐く。

「…あいつと同じ部屋かよ…。」

ぶつくさと独り言を言いながら荷物の紐を解く。

「…あの…!」

ドアの陰から声がした。

振り向くと、淡い青髪にまるで氷のような水色の純粋な瞳の子がドアから顔を覗かせていた。

「ネリオ…あの、黒い髪の目つきが悪い人!こー言う感じの!見ませんでしたか!」

その子は顔を引っ張ったりしながらそう放った。


「えぇ!出てっちゃったの!なんでだよー!」

部屋に入れ、さっきまでのできごとを話すとその子はそう言いながら頭を抱えて崩れ落ちた。

「だいたいなんなんだあいつ。部屋に入るやいなやめっちゃ嫌そうな顔しやがってさ。こっちはこうフレンドリーに接してやろうとしてるのによー。」

「僕も初対面ではそんな感じだったよー。そのくせ顔はいいから腹立つよねー。頭もいいし運動もできるのにコミュニケーションがまさに絶望的!残念なやつですよぉネリオ・プレガとかいう男は。」

親みたいなこと言うなこの子。

「そういえばなんの用だったんだ?探してるならはやく追いかけた方がいいんじゃないか?」

「いやねー。相部屋の人がなんか怒って出てっちゃってさ。暇でネリオに会いに来たんだー。」

「…なんかしたのか?」

「いいや全く。僕が話しかけようとしたら怒って出てっちゃった。」

「それってつまり。」

顔を見合わせると、しばらくしてクスッと笑いが吹き出る。

「「同じじゃん!!」」


「あ、そういえば名前!僕はクリマキエラ・エニグマ!4期生だよ!君は?」

一通り愚痴で笑い疲れたあと、クリマキエラはそう名乗ると俺に聞いてきた。

「俺はカゼドラ・レガリス。つい最近駆除隊に入ったばっかりでなんもわからないけどよろしくな!」

「ああ!君が噂の!たしか…。」

もう噂になってるのか!既にパラドックス2匹相手にしてるもんな。期待の新人だし仕方ないな。

「暴走してイフォロンさん殺しかけたんだったね!」

「本当にその件は申し訳ないです!!!」

ドヤ顔を一変。誠心誠意渾身の土下座を披露した。

「あはは!僕にそんなことされても困るよ!」

俺は顔を上げると、ふとついさっきの言葉を思い出す。

クリマキエラ・エニグマ。

エニグマ…?

「クリマキエラ。確か苗字エニグマだったよな。もしかして…。」

俺がそう小さく尋ねると、クリマキエラはニヤッと笑い突然立ち上がった。


「そう!僕こそがあのマグニフィカス・エニグマの実の弟!クリマキエラ・エニグマなのだ!」

ひれ伏すがいい!と堂々と胸を張るクリマキエラに真剣な表情で小さく零す。

「クリマキエラ…さん…。」

その瞬間クリマキエラは恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にしてじたばたしだした。

「やっぱなし!やっぱやめよう!同期だしタメでいこう!」

「え、同期なのか?」

「そうだよ!僕もカゼドラくんもネリオも…あとは僕の部屋の同居人も全員4期生だよ!」

ネリオもそうなのかよ。なんで同期のくせにあんな偉そうなんだあいつは。

「そういえば時間!」

そう言うとクリマキエラは携帯をポケットから取り出す。

「なんかあるのか?」

「うんとね、4期生がこれから任務に出れるようになるからそれにちなんだ色んな説明があるんだよ!ネリオから聞いてないの?」

「いや全く聞いてない。」

あいつまじで次会ったら殺す。

「もしかしたら怪我してたし後からなのかもね!まあでも来ても大丈夫だと思うし一緒に行く?」

クリマキエラはそう言うと手を差し出してきた。



部屋を後に長い廊下を歩く。

「そういえば同期ってことは同い年なのか?18歳?」

「うん!18だよ!」

「この身長差で…?」

「うるさいやい!身長低くても文武両道のスーパーイケメンだから問題ないし!」

「え…お前男なの…?」

「え、そうだけど。」

「この身長で…?」

「あーもううるさい!!!」







「ちゅうもーーーく!!!」

白いオフィスルームのような少し散らかった部屋の中に、一人の女性の声が響いた。

彼女は軽く咳払いをするとドヤ顔で続いた。

「これより新入隊員向けガイダンスを始めます!」

説明会ってこんなノリでいいのか。…まあカタラさんだし仕方ないか。

周りにはクリマキエラを含む4期生が無駄に多く並べられたパイプ椅子に座っていて、その中にはあのネリオの姿もあった。

見るからに黙ってれば美人系の白衣を着た女性、通称カタラはマイクを片手にホワイトボードの前に仁王立ちしながら「この役やってみたかったんだよね〜」と軽くつぶやいている。

嫌な予感しかしない。

「じゃあまず点呼から…ってあれ!なんで君来てるの!まあいいや!4人全員揃ってるからよし!」

カタラは一瞬こちらを指さすと、一瞬硬直し全てを放棄してそのまま続けた

本当にいいのかそれで。


「では!いまからこのガイダンスで説明をします!駆除隊研究班所属1期生のカタラ・スクアロスです!どうぞよろしくー!」

「じゃあじゃあ!早速だけどこれから任務に参加する4期生の君たちにはその上での必要最低限の知識を教えていくよー!」


突然カタラはバンとホワイトボードに1枚の写真を叩きつけた。

写真…?なんだこれ…。人型のカラス…?

「さて、まずはパラドックスというものについて解説していくよ!」

「この写真はパラドックスの写真だ!見ての通りパラドックスは一目見ただけでなんのパラドックスなのかがわかるんだ!この写真だとカラスだね。この個体はレイヴンパラドックスという仮称がつけられてるよ。」

「パラドックスは見た目の通りの力を使う!例えばこのカラスだと飛べるだとか爪が鋭いだとかね!」


「そしてそれだけではなくパラドックス全体に言える特徴として、奴らにとっての心臓…体内のどこかにあるエレメントディスクを破壊しない限り身体がほぼ無限に再生することが可能なんだ!再生の速度は個体によってまちまちだけど生物系のパラドックスは他に比べて再生能力が高い傾向があるよ!」

だからあのときの爆弾のパラドックスも復活したのか…!

「ちなみに肉体の破壊は普通の武器でも可能なんだけど、ディスクを破壊するためには同じくディスクの持つエネルギーの能力を使わないと破壊が不可能なんだよねー。」

「じゃあどうするんだ!ってなるよね!そこで登場するのが…じゃん!」

カタラはそう言いながらホワイトボードのパネルをひっくり返すと、幾何学的なイラストと無数の文字列が書かれたボードが現れた。


「私が開発した、ディスクウェポンシステムです!」

「詳しいことは説明するとなっがーーーくなるから省略するけど、簡単に言えば特殊な加工を施したエレメントディスクを使ってパラドックスのもつエネルギーと同じものを操れるようにするよーっていう代物だよ!」

「君たちにはこのディスクの力を使って戦ってもらうんだけど、ディスク能力の使い方は人によって本当に千差万別なんだよねー。」

「というわけで…!」


「いまから君たちにはこの森でパラドックスを駆除してもらいます!」

「いやどういうわけですか!?」

どれぐらい奥まで続いているかわからないほど鬱蒼とした森、黄色と黒の危険な色合いのフェンス、立ち入り禁止の赤い看板。

ここに入れってか!?

「まあ焦るのも無理はないよ4期生諸君。でも安心してね!基本的には2人ペアで動いてもらうからお互いの弱点を補い合えるし、ここにいるパラドックスは私たちが追い込んだ逃げ足だけが取り柄の弱いやつだけだし倒せなくてもいいからね!いざというときはマグニも出動するから!」

そのマグニさんも今そこで快適そうに椅子に座って缶ジュースを嗜んでるんですけど。

「制限時間は日没まで!ディスクは事前に渡してあるね!じゃあ…。」

「いってらっしゃーい!」




「そろそろ始まった頃やね。」

荷物の積まれた軽トラックはゆっくりと中の2人を揺らぐ。

「今回の会場はどこなんだ?」

白髪の男がそう静かに呟く。

「いつも通り31地区のA9番道路のとこの森やない?あそこが結局1番マシやし。」

イフォロンは熱いコーヒーに息を吹きかけ冷ましながら答えると茶化すように続ける。

「なんや、新入り達のこと心配になったん?意外とお前面倒見いいんやな。普段はツンツンしとるくせになぁ。」


「…にしてもお前と二人で巡回なんて久々やな!なんなら巡回班が1つになってから巡回自体初めてちゃう?マグニさんなしで任されるなんて俺らもマグニさんに認められたってことやな!」

イフォロンがしばらく冷ましていたコーヒーのカップに口につけた瞬間、突然の急ブレーキにより積んでいた荷物が崩れる音が車内に響く。

「うおあっつ!なんや危ないなぁ!どないした!」


「…引き返すぞ。」


「は…?巡回はどうすんねん。」

「そんなことは今はどうでもいい。下手したら全員死ぬぞ。」


「あの森がアノマリークラスの周回軌道上に入った。」

お久しぶりです!命懸けご飯です!

第5話を読んで頂きありがとうございます!

いやはや、本当に寒くなりましたね。

僕は分厚いアウターがあるので元気ですが室内だと絶妙に暑くてどうしようもないです。

分厚いアウターを脱いで持ち運ぶの嫌じゃないですか?

絶妙にカバンにも入らないんですよねぇ。

そこで無理をしていたせいか風邪をひいてしまいました。もう元気ですが!

読者の皆様も体調には充分お気をつけください!

次回もお楽しみにしていてください!

気合を入れるので時間はかかるかもしれないですが…!

では!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ