タイトル未定2026/02/13 13:37
幾分時が過ぎたろう。空は赤いままで、朝も夜も来なかった。
カフネと呼人は黒い人間を斬り続けた。なぜかそこにあった刀。背中には気を失ったままの長谷川を背負いながら、呼人は振り続けた。
何日過ぎただろう。止まれば終わってしまうことはわかっていた。どこかで黒い人間に終わりが来るかもしれないとは、この時点で半ば思わなくなっていた。神が欲に手を伸ばすのはあれで最後だった。だとすれば、慈悲はもうない。二人が止まれば終わる。黒い人の渦に飲み込まれて終わりだ。
「なあ、これ終わったら何したい。世界とか複製とか救うとか、どうでもいいから、そんな世界でも一途に何かを追いかけてーな」
「いつかは終わるってわかっている」
「はあ? 何だ急に」
「人の命はいつかは終わる。それは八十年後かもしれないけど、確実に終わることはわかっている。いつ終わるのか、そもそも終わるのかもわからないってこんなにも苦痛なのね。私は、知らない間にずいぶんと大人になってしまったんだなあ――」
「おい、ちょっと待て……」呼人がカフネの方を見やると、カフネはすでに刀を下げていた。切っ先が地面を向いている。俯いている。見上げている……。彼女の元に迫る黒い影。
呼人はカフネの元に飛び込んだ。まるで呼人も黒い影のひとつかのように。次々と迫る影は勢いを止めず、二人を飲み込んだ。




