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タイトル未定2025/05/12 15:22

「ねえ、私こと好き?」

 面と向かって言われると恥ずかしいものだった。一瞬躊躇ったが、自然な風を装って「もちろん!」と笑顔を作った。

「ええーほんとにーー? 一瞬間があったんだけどー。私は生まれ変わっても、呼人くんのこと思い出す自信あるよ。たとえ、魂まで成仏しちゃったとしてもね。化けて出るからね。先に死んだらゆるさん!」

「気を付けるけど、交通事故とか予知できないじゃんか」

「それでもゆるさん!」


 電気が流れた。

 未来予知には程遠い。

 感性が豊かだったからとも言い難い。

 いうなれば正夢。幼い頃に見た夢のことなど覚えていないが、現実に起きれば、見たことがある景色だと思う。似たような景色を見たことがあるのだろう。逃げ惑う人々――これはゾンビ映画の影響か。傾きかけているビル――これは教科書のピサの斜塔。燃える田畑――これは何だろう。


 そもそも夢なのか現実に見た記憶なのかもわからない。わからないのに、今目の前にある光景を目の当たりにして、「見たことがある」と脳に電流が走り、鳥肌を全身に纏う。感動しているのか――この状況で? お門違いだろう――どうして? 立派に予感していたことが当たったんだろう? それがたとえ、今の今まで忘れていたのだとしても、今その「予感」を思い出したんだろう? 立派だよ。感動だろう。たとえそれが、戦争でも、殺人でも、テロでも。


 使えない未来予知である。すでに何かが起こった瞬間に思い出す予感など使えない。


 宝くじに当たる夢を見たところで、いくら当たるのかわからなければ意味がない。一億当たるのと一万当たるのとでは違う。一億当たった夢を見たとして、次の日に交通事故で死ぬ運命にあることは教えてくれない。


 使えない。だが、確かに感動した。それは、俺が幼少の頃から決まっていたことであるかのように思えた。その感動。鳥肌。銃声、悲鳴、黒煙、血。滴る背中の汗――。そんな状況で感動しているだなんて、普通じゃ考えられないだろう? 俺が感動していることに、数秒後の俺は感動したのだ。


 こうなることがわかっていたかのように錯覚した。それがデジャブであったとしても感動した。その感動を俺は大事にしたいと思う。どんな状況でも、心動かされるものすべてに敬愛を抱く。


 どうせ無駄である。

 いつかは死ぬのだ。

 だといいのだが。

 なら、高揚する感動くらい覚えたっていいだろう――笑ってしまった。その顔を見て。元気だったか? いきなりいなくなってごめん、なんてお門違い。思い出すのはスカイツリー。化けて出るどころか、化けられてんじゃねーか。でもそんなことすら笑って「私の顔見れてうれしいんでしょ?」なんて茶化してきそうな。


 俺は、かつて恋人だった今は見知らぬ女性に抱き着こうと、観衆を搔き分けている。


 脳内で語る声――一致したときに、もう一度、電気が流れるはずだ。


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