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凸撃!貴方に晩ご飯!?(始動編)

「さて。今日でVTuberデビューしてから一週間経った訳だが…」


 なんも企画が思い付かん。

 とりあえず47都道府県を当てるゲームで、2時間掛けて『47都道府県を全て覚えて、10回連続全問正解するまで終われません』とか。

 黒田さんのご厚意で前倒しでくれたリーマン時代の3倍以上の給料を使って『有名アイス屋さんのアイス。全種類食べ切るまで終われません』を己の腹を犠牲にして完遂するなど。

 まぁそれなりにインパクトのある企画をこの一週間でやってきた。おかげで配信も盛り上がったと思う。特にアイス。


 配信と言えば耐久企画だからさ。それを中心にやったけど、まぁキツイわ。特にアイス。

 おかげでチャンネル登録者数も50万人と、黒田さん曰く異常な伸び具合を見せている。特にアイスのおかげで。


 今はその特に大活躍だったアイス企画のアーカイブを観返しながら次の企画を考えていた。


『あの……15個目なんだけど…。正直もう味よくわかんない。胃は大丈夫なのよ?まだ食えんのよ意外と。でもね……寒いw。たぶん気のせいなんだろうけど、特に腹の中が冷凍庫並みに冷えてる感じがする…。なんとなく立ちよった店でこの企画閃いて全種類買ったけどさ。ここに来て後悔してるよ俺は…』


『後悔するの遅いよノヴァちゃんw』

『むしろ10個目くらいまでは笑顔でいたことが凄い…。しかも普通は二人以上でやるもんだし』

『暖かくして寝てね?』

『頑張ってるノヴァくんに差し入れ。スパチャ¥2000』

『限界来て超新星爆発しないか心配…』

『むしろ爆発すれば調子戻るんじゃね?』


『あのな。超新星爆発ってそんな便利じゃないのよ?手榴弾みたいに自分の身体を炸裂させるタイプじゃないの。姿形を保ったまま、自分の身体を一切傷つけることなく、周りだけ破壊するのが俺の超新星爆発なんだよ。だから今のこの状態をリセットすることは不可能なの…。近隣住民だけ被害を被ることになっちゃうよ』


『なにその理不尽なだいば○はつ。ポケ○ンだったら完全に禁止技やんけ…』

『ノヴァちゃん敵に回したやつは確実に4ぬなw』

『ノヴァちゃーん!試しに超新星爆発して!』

『やってるとこ見てみたーい!』


『爆発見たい?いいよ~。じゃあちょっと行ってくるねぇ』


『『『え???』』』


 この時。いつか『超新星爆発して見せて』とか誰かが言ってくると思って、事前に作っておいた動画を配信に載せたのだ。


『ああ~~~!?もう自爆するしかねぇー!!!(チュドーーーンッ!!!)』


『『『!?!?!?』』』


 適当に描いた自作の惑星を超新星爆発させるだけの短い動画だ。

 これが結構ウケて、コメント欄も大盛り上がりだったのでショートに載っけたよ。


 それから俺の超新星爆発動画で色々な物を爆破するコラが色々作られているようだ。配信者になるってこういうことなんだなってよく実感した。

 ……よくよく考えたらアイスの回。爆発で一気に伸びてないかこれ?


 だがそれはそれとして、だ。

 あれから面白そうな企画が何一つ浮かばないのだ。いくらやりたいことをやるのが配信者と言っても、視聴者を楽しませることが出来なければ意味がない。

 『リングを使って運動しながら戦うRPGゲームをクリアするまで終われません』は肥えた視聴者はそこまで楽しめるとは思えないし。

 『筋トレ○○種類。全部100回やるまで終われません』とかなんかちょっと地味だし、そもそも3Dモデル全身を動かせないと意味がない…。まだ俺のは用意出来てないだろう。


「うーん。ちょっと色々検索してみるか…」


 『VTuber 面白い』

 『VTuber 過酷な企画』

 『VTuber キッツいの』

 『VTuber 耐久企画』

 『ジュイロ』

 『ジュイロ 過酷』

 『ジュイロ 面白い』

 『ジュイロ 耐久企画』


 と。その後も他社の企画など参考になりそうな物を調べてみるが……見つからん。

 スイカに輪ゴムを付けて破裂させるやつは面白そうだけど、なんか違う気がするんだよな…。


「うーん。もっと昔の……それこそまだ色々やってた頃のテレビとか…」


 ミーチューブで昔のテレビ番組などを調べてみる。

 しかし俺が考えたような企画もあり、あまり参考にならな……ん?


「お!これ懐かしいな~。子どもの頃に録画したやつ何周もしたっけ」


 それは色々な芸人が無人島生活したり、大食いチャレンジしたりなど。身体を張った企画をやる番組だった。

 モリ突きとか憧れたな~。


「……無人島、か…」


 面白そうなこと。思い付いちゃった♪




 さて。良さげな企画を思い付いたはいいが、その為に準備しなきゃならない物が多すぎるので、まずは一旦。普通に動画を作ることにした。

 まぁこっちもこっちでアイデアが浮かばなくて大変だったが、イル任での収録でふと頭に過った企画を思い出したので、それをやっていこうと思う。

 ちなみにまだその動画は公開されていない。


 それに俺。まだユウタさんとショウタさん以外のライバーさんと会ってないし。

 その人たちとの縁を作って行こうということで……


「凸撃!貴方に晩ご飯ー!?どうも。可愛さ超新星爆発級の男の娘。スハ・ノヴァです~!」


 マイクに向かってタイトルコールと自己紹介を行い、そこからさっそくと企画説明をしていく。


「今回やりたい企画なんですが。たぶんこの動画が出る頃にはイル任の新人ジュイロライバー紹介動画の新しいやつがアップされてると思うのですが、その動画でですね。イルミネーションのお二人にサプライズで俺の手料理を食べてもらったんですよ。まぁ詳細はその動画を観てください。で、その時にふと思ったんです。まだ会ったことないライバーさんたちに俺の手料理を食わせる飯テロをしたら、おもしれぇんじゃねぇか?って。なので『凸撃!貴方に晩ご飯!?』という訳なんですね。まぁさすがにこれからお家にお邪魔する訳にもいかないので。食べたい!って言ってくれた人に後日、手料理を振る舞おうと思います。果たして、イル任の新人ジュイロライバー紹介動画が公開されていないこの状態で、しかも全くの初対面である俺の手料理を食べたいと言ってくださる懐深い方はいらっしゃるのか。やっていきましょう」


 しっかりとそれらしい企画説明をしたところで、さっそく電話を掛けることに。


「ディアコードにジュイロライバーのグループがありましてですね。いつの間にかディレクターにスマホを盗まれて、そこへ放り込まれてたんですよね。それを利用してやろうと思います(ドヤ)。人によっては『知らん奴からいきなり電話が掛かってきた!?』とビックリするでしょうね。楽しみです♪」

※恐れ知らず。


「ちなみに出来たら二人ほど飯テロ仕掛けたいなと思っております。誰にしようかな~…。ジュイロの動画も全部追えてる訳じゃないから、知らん人もめっちゃいてちょっと困る。いやでも、意外と知ってる人ばっかか?知ってるけどその人の配信とか全然観たことない人がほとんどって感じ。……いやまぁ誰でもいいか!飯を食わせれば全員一緒よっ!」


 というわけで適当な人を自分のグループに入れて、さっそく電話を掛ける。ちなみに全然知らん人。


「最初は花刃蕾(かばらい)寧々(ねね)さんっていう、たぶん女性ライバーの方かな?アイコンが寝てる女性だし。この方に電話を掛けることにします。全然知らないライバーさんですが、電話に出てくれますかね~?」


 配信してたり仕事中だったりしたら出ないだろうけど、暇だったら普通に出るやろ。


───ポロン♪


 お?この音は確か電話に出た音だ。


『もしもしぃ~?』


 なんか気だるげな低い声した女性が出た。

 もしや寝起き?昼過ぎだぜ?


「あ。お疲れ様です~。スハ・ノヴァです。今お時間大丈夫でした?」


『うちは大丈夫だけど…。配信中だから君の声乗っちゃうと思うよ?』


「あ。そうだったんですね!すみません、ちゃんと調べてから電話掛けるべきでした…」


 てっきり配信中とかは出ないと思ってたから、調べずにそのまま決行しちゃった…。次からは気を付けよ。


『あ~、気にしないで。ジュイロの人間は色々とフリーな奴らばっかだからさ。特にうちは全然そういうの気にしないし、電話したくなったらいつでも掛けな。それで?急に電話掛けて来てどうしたの?今やってんのゲリラ雑談配信だから、いくらでも話に付き合ってあげられるよ』


 気だるげな声なのは元からっぽいな?ダウナー系VTuberと言ったところか。彼女はかなり懐の深い人のように感じる。Vが人なのか異種族系なのか知らんけど。

 ちなみに『ゲリラ配信』とは。簡単に言えば予告無しにやる配信のことだ。なんか朝食を食べながらゲリラ雑談配信やってる人とかいた気がする。悪魔だったかな?


「ありがとうございます!えっと、要件なんですけど。実は今ちょっと企画をやっておりまし

て……いやその前にまず、俺のことって知ってます?」


『ああ、知ってるよ。超新星爆発の子でしょ?初配信のやつとかトゥイッターで散々騒がれてたからね。うちはちょっとしか知らんけど』


「マジか。そんなに反響あったんだアレ…」


 事故った身としては複雑な気分だな…。

 いやまぁ、無駄話は置いといて。いくらでも話に付き合ってくれるって言っても、長々と配信中のところをお邪魔する訳にはいくまい。


「今、凸撃!貴方に晩ご飯!?っていう企画をやってまして。ジュイロの誰かに俺の手料理を食べさせるという、飯テロをしてやる!っていう内容なんですけども。ちなみに電話掛けたの花刃蕾さんが一人目です」


『飯テロwマジぃ?飯を食わせるテロってこと?それで一人目にうちに電話掛けて来るってちょーウケんだけどw皆、この子めっちゃ肝据わってね?』


 なんか知らんがウケたらしい。ダウナーな人ってあんま笑うイメージないから、ちょっと意外に感じる。どうやら俺の偏見だったようだ。


「それでどうでしょう?今度、時間がある時にジュイロのキッチンスタジオで俺の料理を食べませんか?」


『えーwまぁ別にいいけどさぁ。面白そうだしぃ。にしてもよっぽど自信があんだね?』


「まぁそれなりに。まだ動画が出てないんで詳細は言えないんですけど、とある番組の企画でライバーさん二人に料理を振る舞ったんですよ。そしたらかなり好評を頂きまして。『じゃあもう他のライバーさんたちにも飯テロするしかねぇよな!?』って感じで、企画を決行してますね~」


『アハハハハwイイネ~、そういうの。うち君みたいな行動力のある子は好きだよ?』


「ありがとうございます!俺もダウナー系お姉さんは大好きですよ」

『アハハハハハハwwwちょーウケんだけど、この子本当にwいきなり口説いてくんじゃんwうちはそっちの気はないんだけどな~』


 本当にめっちゃ笑うなこの人…。ゲラなのかな?あとそっちの気ってなんだ?


『まぁとりあえずオッケー。スケジュール調整しとく。つっても割といつでも空いてんだけど。うちはちょーまったり勢だからさ』


「かしこまりました~。あ!でももう一人くらい誘おうかな~って思ってますんで。二人目決まったら、後日また改めて打ち合わせしません?」


『いいよ~。じゃあ今回はもうこれでお開き?うちもうちょっとだけ、ノヴァちゃんとお話したいな~って思ってんだけど』


「いやいや貴女今、配信中でしょう?ファンを蔑ろにしちゃダメですよ…」


『あら真面目。わかったよ。じゃあまた今度ね。他の女の子たち呼んで、“女子会”とかしようね~。バイバ~イ♪』


 そこで通話が切れる。

 ……女子会?もしかしてあの人、俺のこと……いやまさかね…。




「いや~。ビックリしたねー?まさか話題の超新星爆発の“女の子”から電話が掛かってくるとは思わなかったよぉ」


 ノヴァが危惧した通り、彼女はノヴァのことを女の子だと勘違いしていた。


『マジかこの人wちゃんと観てねぇぞ、ノヴァくんちゃんの情報とか配信w』

『いや待て!これは黙ってた方が面白いやつだぞっ!』

『確かに。危うく教えるところだったw』

『よし皆黙秘だ!』

『シーッだぞ!シーッ!』


「ん~?どしたん皆。ノヴァちゃんがそんなに気になんの?でも浮気とかやめてよね。うちそういうのマジ許せないから」


 花刃蕾寧々はズボラな性格で、配信は基本的に気分で行っている。それでも週に一回は配信するようにしているが。

 そのズボラな性格のせいでコメントもちゃんと読まずに適当に流し読みするばかりなので、コメントからノヴァが男だと察する気配がない。


「さて、と…!新しい後輩ちゃんに招待されちゃったし……打ち合わせまでにリクエストでも決めとこうかな~♪」


『いやー、楽しみだな~wノヴァちゃんのこと知った時w』

『早くその時来ねぇかな~』

『下手したらノヴァちゃんが“食べられる”に一票』

『あー。そういえば寧々様はアレだったなw』

『アレなーwノヴァちゃん大丈夫かな?w』


「ちょっとー?なんかうちがノヴァちゃんを“食べる”みたいなこと書いたやついなかった~?うちはロリコンじゃないって何度言ったらわかんのー?前からずっと言ってんじゃん。うちは───」


“生粋のショタコンだって”


「あ~あー。どっかに食っても問題ないショタいねぇかな~?」


『『『あ。』』』

『ヤッバw』

『招待されるもう一人がまともでありますように…』




「ん?なんか寒気が…」


 急に謎の悪寒に襲われ、鳥肌が立ってしまった。まだアイスの反動が残ってる……訳ないよな?


「まぁいいや。とりあえず一人目の飯テロの犠牲者は花刃蕾寧々さんに決定致しましたので、二人目に電話を掛けて行きましょうか。うーん…。二人目は知ってる人に掛けようかどうしようか……いいや。どうせなら二人とも知らん人の方が面白いだろ。じゃあ適当に『テンペスト・シュナイダー』っていう人にし~よぉ♪」


 名前的に男性の方かな?アイコンが初期アイコンだからわからんけど。


「あ!その前に配信中かどうか見ないと…」


 ミーチューブで『テンペスト・シュナイダー』で検索する。


「お!ライブって表示されてないわ。とりあえず電話掛けれそうね。じゃあさっそく掛けて行きましょうかっ!」


 ちなみにチャンネルのアイコンは金髪碧眼のイケメンの男性だった。これがテンペストさんだろう。

 テンペストさんをグループに入れてさっそく電話を掛ける。が……


「……出ないねぇ~…」


 まぁジュイロは大手だからな。ライバーのほとんどは普段大忙しだろう。

 俺はまだまだ新人なので大口の仕事の依頼は来てないから自由にやれてるが、このまま売れていったら俺も電話に出る暇が無くなるんだろうな~。

 ……そういや配信中かどうか確認しただけで、チャンネル登録者の数は見てなかったな。あとでもう一回見てみよ。


「仕方ない。別の人に電話を掛け……ん?あ!テンペストさんからチャット来たわ!」


 電話には出れないが、チャットは出来る状況のようだ。

 さっそくとチャットを確認してみる。


『私に何か用かい?』


「一人称は“私”の男性か~。なんか紳士っぽい」


 とりあえずチャットを返すか。

 もしかしたら仕事の休憩時間中かもしれないし、手早く済ませる為に謝罪と企画説明をしよう。


『突然のお電話、大変申し訳ございません。最近ジュイロに入った新人ライバーのスハ・ノヴァと申します。実はただいま“凸撃!貴方に晩ご飯!?”という企画をやっておりまして。ジュイロライバーの誰かに手料理を振る舞う凸企画となっております。凸撃と言っても、ご自宅にお邪魔する訳ではなく、キッチンスタジオを借りて料理を振る舞う予定です。お忙しいとは思いますが、どうか自分の企画にご協力いただけないでしょうか?ちなみに今回、二人招待しようと思っておりまして、既に一人は花刃蕾寧々さんに決まりました!』


『ほう…?それは面白そうな企画だね』


 企画説明を行うと、興味深げな反応が返って来た。


「なかなか良い反応なのでは…?なんか引き受けてくれそうな雰囲気っぽいぞ」


 しばらく待ってみると、テンペストさんからさらにチャットが返ってきた。


『質問なんだが、リクエストは受け付けてくれてるのかな?』


「おー!来たこれ!?行けんじゃね?ちょっと畳み掛けるわ(?)」


『もちろんです。テンペストさんと花刃蕾さんはお客様の立場であらせられますので、自分の出来る範囲ではありますが、なるべくリクエストに応えるように致します』


『いいね。でもリクエストして良いか聞いといて申し訳ないんだが、これという物が思い付かないんだよね…』


『後日。花刃蕾さんを交えて打ち合わせしようと思っておりますので、その時に決めて頂いても全然構いませんよ!』


『そうかい?ありがとう。ではその招待を受けることにするよ。それじゃあ私はこれから収録があるから、失礼するね。それと申し訳ないんだが、ノヴァくんと寧々くんと私のグループを作っといてもらえるかい?たぶんこの中だと私が一番忙しいだろうから、空いた日が出来たらそこへすぐに連絡するよ』


『かしこまりました!お忙しい中、ありがとうございます!』


『どういたしまして。それじゃあ、また今度ね』


 テンペストさんとのチャットを終えて、渾身のガッツポーズをする。


「よっしゃー!まさかこんなに早く二人決まるなんて思いもしなかったわ!?正直、1時間から2時間は掛かると思ってたね~。花刃蕾さんとテンペストさんにマジ感謝。あ!そうだ。花刃蕾さんにもリクエストあったら全然受け付けますよってこと伝えないと。確か伝えてなかった気がするし」


 新しくディアコードにスハ・ノヴァ。花刃蕾寧々さん。テンペスト・シュナイダーさんの三人のグループを作って、花刃蕾さんにチャットを送った。


「いや~。楽しみだねぇ、二人に飯を作るの。イルミネーションの時みたいに満足させたいぜ。……そういえば、二人のチャンネル登録者数ってどんだけなんだろ?何期生なのかも知らねぇや」


 二人のチャンネルを確認してみる。


「……ん~~~?か、花刃蕾さん…?え。ウソだろ。マジで?ちょっと待って。え?じゃあテンペストさんは?……え゛っ」


 確認してすぐ。自分がどんな人にコラボを申し込んだのか理解することになった。

 ……公式の番組とか企画を通さずにコラボして良い相手じゃなかったのでは?これ…。




『やっほ~。テンペストー。もう一人の招待客がまさかアンタだったなんて、ビックリだよぉ。いや~、ノヴァちゃんってば凄いね~』


 ノヴァがグループを作ってすぐのこと。

 あと5分ほどで収録が始まるタイミングで、花刃蕾からテンペストへ電話が掛かってきた。


「私も驚いたよ…。いきなり知らない子から電話が掛かって来たんだからね。心臓が止まるかと思った…」


『アンタ初対面にめっちゃ緊張するタイプのコミュ障だもんね。グループでアンタの名前を見た時、めっちゃ笑ったわ~w』

「うるさい…」


 寧々にからかわれて、頬をかくテンペスト。

 二人のデビュー時期は異なるが、中身が幼馴染みである為、こうして軽口を言い合える。


『それで?アンタから見てどう思う?あのノヴァって女の子』


「(女の子?)……正直、とっても面白い子だと思うよ。私なんかすぐに抜かしてしまいそうなくらいね…」


『何言ってんの?アレだけの登録者を抱えてる癖して。本人に言ったら嫌味に思われるよ』


「だって実際、君は私をすぐに抜いたじゃないか…」


『でもそのおかげでアンタの負けず嫌いな性分が出て、すぐに追い越してったじゃないの?』


「そうだけど、その後また抜かしてったじゃないか…。結局今は君の方が登録者は完全に上だろ?」


『全く。相変わらずネガティブだねぇ…。……あー。そういえばノヴァちゃんなんだけどさ~。あの物怖じしない様子。ワンチャンうちらのことよく知らずに電話してきた可能性ない?』


「それは……あるかもしれないね…。ジュイロも随分と大所帯になったから、最近VTuberにハマったばかりらしいノヴァくんなら、私たちを知らなくてもおかしくないと思うよ?」


 実際その通りである。

 現在二人のことを知ったノヴァは「やっちまったぜ☆」と諦めと開き直りの笑顔を浮かべているが、内心まぁまぁ心穏やかではない。


『そんじゃ、ま。うちはいつでも大丈夫だからさぁ。あとはアンタ次第だよ、○○(本名)~』


「こらこらっ!カメラがどこで回ってるかわからないんだから、直接二人きり以外の時は本名言うなって言ってるでしょ!?」

『あーwメンゴ~w』


「テンペストさーん!そろそろお願いしまーす!」


 控え室に待機中だったテンペストにスタッフから声が掛かった。


「あ。はーい。……それじゃあね、寧々。収録行ってくる」


『あいよ~。頑張ってね~』




 花刃蕾寧々。ジュイロ三期生メンバー。

 チャンネル登録者数およそ250万人。

 黒を基調とした過激な衣装で身を包み、大きく立派な二本の角と先っぽがハート型の尻尾が特徴的な、銀髪長髪のダウナーサキュバスギャル系女性VTuber。

 正にボン、キュッ、ボンなVモデルで、若い層を虜にし、さらには競馬とお酒が大好きということでV好きのおじさん層にも大人気。

 なお中身もかなりグラマラスボディである。


 テンペスト・シュナイダー。ジュイロ二期生メンバー。

 チャンネル登録者数およそ230万人。

 槍と大盾、銀の全身鎧を装備している金髪碧眼の騎士系男性VTuber。

 豊富な知識と巧みなゲームプレイ(笑)で視聴者をいつも楽しませている。たまに(笑)じゃない神プレイを披露する為、ポテンシャルはある模様。

 公式番組の企画でもないのに自分への罰ゲームとして昆虫食を食べたり、世界一不味いグミを食べ始めた辺りから、チャンネル登録者数が爆増した。


 この二人。実は箱内チャンネル登録者数1位と2位……つまりジューにんトイロライバーの実質的な2トップである。


 そんな二人を相手に料理を振る舞うことになってしまったノヴァはというと……


「うおっ!?トゥイッターに俺と花刃蕾さんとテンペストさんがトレンド入りしているっ!……花刃蕾さんが配信で拡散したみたいだな…。こーれはもう完全に後には引けないねぇwまぁ元から引く気ないけど。さ~て、二人の食の好みは~っと。リクエストに応えるだけじゃつまらないもんねぇ?」


 持ち前のメンタルで持ち直して、二人のリサーチを開始していた。

 やはりコラボ相手がどんなに凄い先輩であろうと、最終的には全く物怖じしなくなるようだ。

ブクマ、評価。ありがとうございます。

ポイントが1000越えました。これからも頑張ります。

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