驚愕!?だから俺は男の娘だと…。
原○、ス○レ、ゼン○ロ、鳴○…。
それだけでなくモン○ンにまで手を出してしまった…。ちなみにモン○ンをプレイするのは、今作が初めてです。
太刀と笛使ってます。
『お待たせしましたー!次の料理で~す』
『お!待ってまし……』
『サーモン料理と納豆巻きと厚焼き玉子ですっ!』
『『『なんでだよ!?』』』
『サーモンとは全く関係ない物が出てきた!?』
サーモン料理第2陣。
サーモンだけでは飽きると思い、納豆巻きと厚焼き玉子を作った。
それを見た一部の先輩方が一斉に反応し、本名がめっちゃ長い吸血鬼のライトニングさんが追加ツッコミをしてきた。
なぜそんなことをしたかって?
……俺。アイスを全部食べる企画がマジ辛くってさ…。途中で身体を暖めようと白湯を飲んだの。
そしたらこれがもう、すんげぇうんめぇの。おかげでアイス全部食えたし、あれから味変の大切さを教わった。
……アイス自体は元から全部味が違ったから、味変と言うにはちょっと違う気もするが、とりあえず言いたいこと伝われ。
とにかくお腹の冷えと腹の限界よりも、味に対する飽きが一番の脅威であると学んだ俺の蘇生術のようなものだ。
サーモン料理は塩焼きと巻き寿司。そして1時間漬け込んだ、漬けサーモンだ。もっと漬け込みたかったが、時間がなかったのでしょうがないだろう。
山わさびもあるよ!
『サーモンばかりでは飽きてしまうだろうって、ノヴァは納豆巻きと厚焼き玉子を作ったそうです』
『うへぇ~…。確かにサーモンばかりだと飽きそうだなとは思ってたけど、短い時間でよくこれだけの料理が作れるわね。ノヴァって子は腕四つあんの?』
ライトニングさんがドン引きした様子で言う。
失礼な。別に腕が四つなくたって巻き寿司作る片手間に厚焼き玉子を作ることなんて造作もない!
右手で巻きながら左手で焼いてただけだし。腕四つ無くても出来るしっ!
※そういうことではない。
『そうだ酒呑さん。どうぞ。こちらご注文の熱燗でございま~す♪』
『マジで熱燗来た!?しかも居酒屋の本格的な容器で!なんか悪いね…。サーモンで忙しいでしょうに』
鬼の酒呑樹さんが申し訳なさそうに言う。
『私もどうかと思ったんですが、この時間までお仕事を頑張ってる先輩たちを労える良い機会だろうからって。それにこちら側が手伝ってもらってる訳だから、要望には出来るだけ応えたいそうです。これからも色々とお世話になるだろうからって』
『めっちゃええ子やー!!!(涙)』
『まだ会ったこともない俺たちのことを、そこまで……いかんな。雨が降ってきたようだ…』
貴族のアスカさんと狼獣人のウルフェンさんが、思わずといった様子で涙を流す。
いや。雨か…。
『ゴクッ……かぁ~ッ!塩焼きに熱燗は最高~♪特に皮と合うっ!今夜は家で一人寂しく晩酌せずに済みそー!』
「……この時。ちょっと酒呑さんの闇っぽい部分が見えたよね…。今度この人と一緒に飲もうかな?」
コメント欄
『やめておけノヴァちゃん』
『その人とだけはやめておけ』
『翌日の昼。最悪夕方くらいまで付き合わされるから…』
『酒呑姐さんに付き合えるのは花刃蕾姐さんくらいだからな…』
『悪いことは言わん。間違っても飲みに誘うな』
『振りじゃないぞ?ガチで』
な、なんかコメント欄が不穏だ…。
酒呑さんって一体ファンからどういう評価を受けてるんだ?
動画の方は、実家が寿司屋というダークエルフのエミリエさんが喋っていた。
『くそッ。くっそ…。厚焼き玉子も美味しいじゃないの。うちの単品に欲しいわね…』
口悪…。褒めてくれてんだよなこれ?
素直に褒めるのは寿司屋の娘としてのプライドが許さないのだろうか?
『にしても納豆巻きか~……私納豆きr……』
───パァンッ!
『ぶッ!?』
『ライト!それだけは言っちゃダメだ!?ノヴァちゃんくんのカメラが回ってるんだぞ!』
ライトニングさんが何かを言おうとして、ウルフェンさんが慌てた様子で口を塞いだ。エッグい音がした…。
この時にはキッチンに戻ろうと退出しようとしていたから気付かなかったが、動画を見返せばライトニングさんが何を言おうとしたのかなんて察しがつくというもの。
動画では字幕で意味深に『ライトニングさんとコラボする時の楽しみが出来た♪』と書いてあると共に、不穏なBGMが流れている。コメント欄では『終わったw』や『ライトちゃん終了のお知らせ』などが流れている。
精々覚悟をしておいて欲しいですねふっふっふ…。
『おいしい、おいしい!漬けも美味しい♪もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……』
『あらあら。ロリィーちゃんったら、そんなリスみたいに頬張っちゃって。漬けのタレでお口が汚れちゃってるわよ?』
実はジュイロの最古参の一人であり最年少らしい巴さんが、ロリィーさんの口元を拭う。
見た目は完全に親子だが、実際はロリィーさんの方が年上らしい…。
「巴さんの方がすっげぇ色気のある大人に見えるのに実は最年少で、ロリィーさんの方が年上とか……見た目じゃわからん人って実際にいるもんなんだなぁ」
※見た目美少女の成人男性が何か言ってる図。
まぁ年齢で言えば俺も最年少とは言えなくないが、誕生日迎えたら22歳だし……でも、巴さんも今年22歳の可能性も?そうだったら最年少コラボなんてタイトルが出来そうだな。
ちょっと後で誕生日を調べてみよう。
ちなみにロリィーさんってば、中身も完全にロリだった。俺の胸辺りまでしか身長なかった。あんな小さい身体でよくあんな食えるよ。
『ずずぅー……このお寿司、本当に美味しいねぇ~…。お茶とよく合う』
『またドラ爺がどこからともなくお茶を出してる…』
『いつもいつも、それどっから出してるの?』
キャラ的にはジュイロ年長者組に入るガチの東洋竜であるドラグナーさんが、いつの間にかお茶を用意して飲んでる。
エルフの姉弟がそれに疑問符を浮かべていた。
『まぁドラ爺のはいつものことだから良いとして……テンシ♪この厚焼き玉子すっごく美味しいわよ。あーん♡』
『自分で食べれるからいい』
『そんなこと言わずにぃ~♪あーん♡』
『……………はぁ~…』
溜め息一つ吐いて、姉のテンリさんからのあーんを受け取ることにしたテンシさん。Vモデル越しでも目が死んでるのが見て取れる。
どうやらテンリさんは生粋のブラコンらしく、テンシさんにラブラブらしい。ガチで結婚したいほどに。
VTuberってのはブラコンが多いのか?他のVTuber事務所にもそれなりにいた気がするぞ…。
まぁさすがにテンリさんみたいに弟と結婚したいなんて言う姉はいないと思うが……いないよね???
「行き過ぎたブラコンやシスコンって怖いなぁ…」
「……言われてるわよ?」
「これはお姉ちゃんにも当てはまる」
「あ、アンタほどじゃないわよ…」
藍と舞が何やら小声で話してる。
何か図星を突かれたような様子を見せている。
『それにしても、スハ・ノヴァって子は一体何者なのよ…。料理好きなのは知ってたけど、まさか寿司をここまで完璧に美味しく握れるなんて……正しくプロの技。私と同じように寿司職人の親から英才教育でも受けてたんじゃないの?……くそっ。巻き寿司も美味しい…。形も綺麗だし、文句の付けようがないわね』
『エミリエちゃんがそこまで言うなんてねぇ。本当に珍しい。入って来た瞬間、これは口うるさくなるな~って思ったのに』
エミリエさんが絶賛していることをずっと珍しがってるところを見るに、普段から彼女の寿司に対する想いが並々ならぬ物であることは伺える。
『別に…。美味しい物にはちゃんと美味しいって言うくらいの口は持ち合わせてますよ…。ただ今回は悔しさもありますけどね。私は自画自賛するのは好きじゃないんですが、自分の寿司の腕だけには自信はありました。でも正直なところ、皆さんどうですか?私の寿司と比べて。……ああ、アスカくんにはまだ握ったことなかったわね』
『いつか食ってみたいっす!』
『俺は……正直、自分の舌には自信がないのでなんとも…。どっちも同じくらい美味しいとしか』
ウルフェンさんが申し訳なさそうに言う。
『テンシにあーんされた物なら、全ての食べ物が最上級に美味しいですっ!』
『ちょっと黙ってようか姉さん…。僕もウルフェンさんと同じで、どっちも同じくらい美味しいとしか思えなかったですね』
姉のテンリさんが論外なことを言うと、弟のテンシさんがちゃんと答えてくれた。
『僕も同じ意見だよぉ』
『うちは酒に合えばなんでもオッケーだからなぁ。よぉわからん』
『私も別に舌が肥えてる訳じゃないから、わかんないや。店によって酢飯の出来が違うとかならわかるけど。柔いなぁ~とか、ちょっと硬いなぁ~とか。それで言えば、この酢飯は丁度良くてめっちゃ美味しいよねぇ♪』
ドラグナーさん、酒呑さんと続き、ライトニングさんが酢飯を褒めた。
ちなみにその酢飯は九重さんが作りました。それを知った彼は頬を染めて照れてました。あの人童顔だからか、ちょっと可愛いと思ってしまったのは内緒。
『もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……』
『ロリィーちゃんも甲乙付けがたいって言ってるわねぇ。私もそう思うわぁ』
なぜかただ目の前の飯を食べることに注力しているロリィーさんの言葉がわかる巴さんの言葉を最後に、エミリエさんは悩ましげに。かつ悔しそうな溜め息を吐いた。
『これでノヴァくんが寿司職人の子でもなんでもない、ただの料理好きの男の子……いや男の娘だった場合、私のプライドがズタズタものなんだけど…』
エミリエさんの言葉を聞いて何人かが苦笑を浮かべ、コメント欄の流れが早くなる。
『あっ(察し)』
『エミリエちゃんのプライド終了のお知らせ』
『悲報。料理好きの男の娘にわからせられる』
『エ俺悔(エミリエちゃん俺もなんだか悔しいよ…)』
『ノヴァちゃんがあまりにも多彩すぎるんだよw』
『ノヴァちゃんが紹介した料理作ってみたけど、マジバチクソ美味かった…』
趣味が興じてその分野のスキルがプロレベルになる人もいるこの世の中だ。
特に俺は料理に関しては、実家にいる時は家族に美味い飯を食わせたい一心で、ジャンル問わずいっぱい練習した。
それでもまさかプロの舌を唸らせるほどの物を作れるとは思ってなかったけど…。特に寿司ってトップレベルに難しいイメージだし、ここまで褒められるとは思ってなかった。
『よし!だいぶ作ったし、これ持ってったら一旦休憩だっ!ついでに皆さんと一緒に飯を食って親交を深めます。もうそろ俺がノヴァだってバレても良いだろうし……マネージャーさんも、このサーモンのアヒージョを食べて休憩しててください』
『本当に私の分のアヒージョを作ってくれたんですね…』
『それにそこのカレーや刺身や漬けも適当に食って良いですからね?』
『そんなに食べれませんよ』
『おやおや。食べなきゃ大きくなれませんよ?』
『僕もう十分大きいと思うのですが…。それにこれ以上大きくなると色々困ります』
九重さんに苦笑されながら見送られ、俺は先輩たちの元へアヒージョを持って三度向かった。
『失礼いたします。アヒージョでございます。フライパンお熱いのでお気を付けくださいませ』
『うおー!アヒージョとかなんかお洒落~』
人数が人数なので、スキレットに拘らず適当な大きなフライパン二つで作ったアヒージョをテーブルに並べる。
アスカさんが何やら興奮した様子だ。彼にとってアヒージョはお洒落料理らしい。
『あ!さっき花刃蕾寧々さんにアヒージョをご馳走する時に使ったキャロライナ・リーパーのあまりがありますけど、誰かいります?世界トップクラスに辛い唐辛子なんですけども…』
『『『いらねぇよ!?死ぬわ!!!』』』
『花刃蕾先輩が食べる唐辛子とか、絶対ヤバいでしょ!あの人以外に食わないわよそんなもん!?』
一斉にキャロライナ・リーパーを拒否され、ライニングさんが顔を真っ青にしながら言う。
やっぱあの人の味覚が特別おかしいんだなって…。
『か、かしこまりました…。ああ。それとノヴァから休憩がてらサーモン処理を手伝って来てと仰せつかりまして……アスカさん。お隣よろしいでしょうか?』
『うえぇ!?ど、どどどどうぞ!俺なんかの隣で良ければっ!』
顔全体をボッ!と赤面させて許可してくれた。
この時はなんで急に顔を真っ赤に?と純粋に疑問に思った。
『どうかなさいましたか?顔が真っ赤ですが……サーモンの食べ過ぎで、肌が一気に赤くなった訳ではありませんよね?』
「ちなみに聞いての通りまだ女声を意識して喋ってたので、全員が俺のことを女の子だと思ってます。だが別に意識しなくても十分女の子寄りの声らしいとは、マネージャー談です…。複雑な心境ではあったけど、すげぇ楽しかったなぁ」
「お兄ちゃんの男たらし」
「兄貴が悪女になろうとしてるなんて知りたくなかった…」
「よよよ…。お兄ちゃんはどこで道を違えてしまったの。そんな悪い女になるだなんて…」
「聞こえてるぞお前ら…。別に悪女になろうとしてる訳じゃねぇよ。あと俺は男の娘だ」
酷い風評被害を妹たちから受けている間に、動画ではアスカさんが俺におでこを触られて、やや限界を迎えていた。Vだとわかりづらいがな…。
『だ、だだだ大丈夫です!ちょっと顔が熱いだけで……』
『えー…。それ本当に大丈夫ですか?』
『あ~……アスカは女の子に免疫がないんだよ。今は普通に話せるくらいにはなったけど、それでもそんなに近い距離で接したらアガっちゃうんだ。あまり気にしないでやってくれ』
ウルフェンさんのフォロー聞いて、俺はイルミネーションのショウタさんみたいに脳を焼かせてしまっていることに気付いた。
『まぁ!そうなのですね。すみませんアスカさん。そうとは知らず、無遠慮に近付いて……これからはなるべく距離を置きますねっ!』
『え…』
『『『いや言い方…』』』
『ぶっははははは!面白いスタッフもいたもんだねぇ!』
アスカさんに気を遣ったら、本人はすげぇショックを受けた顔をするし、周りは苦笑を浮かべたり爆笑していた。
爆笑してたのは酒を飲んでる酒呑さんである。
『ん~。アヒージョも美味しいねぇ。凄いねぇ、こんなに美味しい料理をいっぱい作れてぇ。今もキッチンでいっぱい作ってくれてるのかなぁ?……そうそう。さっき皆で話していたんだけどぉ、ノヴァくんは両親がプロの料理人だったりするのかなぁ?もしくは本職だったりぃ?』
ドラグナーさんが新しいお茶を入れながら聞いてくる。
急須と湯呑みはどこにあったんだろうな、マジで…。
『うーん。どうなんでしょう?私は今日の企画で彼のヘルプとして、ディレクターに呼ばれただけですので、詳しくは…。ああでも、家族の為に一生懸命料理を覚えたとか言ってましたね。……うーん!納豆巻きうま~♪』
「サーモン食えよ俺…。納豆好きの本性出過ぎだろ」
「まぁ兄貴だし…」
「お兄ちゃんだし。目の前に納豆があったらそこに行くよね」
サーモンそっちのけで納豆巻きに舌鼓をうつ俺。振り返ってみると、本当に何やってんだかって感じ…。
まぁそれでバレても別に良かったんだが。
あと藍と舞。お前らの声がマイクに入ってるぞ。コメント欄が少し反応してる。
『妹ちゃんの声可愛い!』とか『どこぞの兎のママみたいにゲスト出演も有りでは?』とか流れてる。
『は?それってつまり、独学でここまで出来るようになったってこと…?ネタ良し、酢飯良し、握り良しの寿司が、独学で出来るもんなの?』
『本人曰く、どんな料理も元々誰かの独学から産まれて、そして美味しくなったんだから頑張れば行けるものだとおっしゃってました』
『なにそのとんでも理論。天才じゃないの?』
『あと酢飯はノヴァのマネージャーさんが作ってましたよ。お酢の量はノヴァが決めてましたけど』
『どっちみちノヴァくんが凄いんじゃなのよ…。ああもう!本当にとんでもない新人が入ってきたわね!?』
エミリエさん。寿司職人としての高いプライドを傷付けられたの巻…。
『もぐもぐもぐ。もぐもぐもぐも?もぐもぐ……』
『ロリィーちゃんが、シェフをお呼びしてって
言ってるわぁ』
『なぜロリィーさんの言ってることがわかるんですか…』
巴さんの超能力(?)によって、ただ一心に飯を食らってるはずのロリィーさんの言葉が翻訳される。
『今ノヴァはお持ち帰り用の刺身と寿司を用意しているので、その時にそれを持ってここに来るそうです。まだ解体出来てない分もありますので、もうしばらくお待ちください』
『そうか。さすがにこれ以上は食べれないと思っていたところだから、ありがたいな』
ウルフェンさんがお腹を撫でながら頷く。
身体が大きいマッチョマンはその立派な筋肉を維持する為に、カロリーを多く必要とするらしい。
だから彼は結構な大食いではあるのだが、さすがに胃袋が限界を訴えいたようだ。
……ロリィーさんは全然そんな様子を見せずにもぐもぐしているが…。
『それってつまり……家でもテンシに美味しいサーモンをあーん♡出来るってことね!』
『姉さん…。“彼女”たぶん新人スタッフだから、あまりそんな姿を見せないでやってくれ…』
『正直ドン引きです♪』
───グサッ!
『ほらあんな明るい笑顔で鋭いナイフを投げつけて来たよ…』
『す、スタッフでもある意味凄い新人が入って来たのね…』
それなりにダメージがあったらしく、エルフ姉弟の姉に言葉のナイフが深く突き刺さった。
編集で『正直ドン引きです♪』という字幕を彼女の胸にぶっ刺してやった。
うーん。回転させてからぶっ刺した方がおもろかったな?こうして見返すと、次の編集作業に活かせそうな場面や改善点が時折見つかるんだよな。
動画投稿者はこうやって編集技術を磨いていってるんだなと、自分の中で理解が深まっていくのもまた面白いと感じる。
『うーん…』
『エミリエちゃん?どうしたの。もしかしてノヴァちゃんの料理のダメなところでも探してるのぉw?』
『いえ。そんなことはしません。美味しい料理にケチなどを付ける行為は、寿司職人以前に料理人として恥ですので。ただちょっと、違和感感じてて…』
『違和感?』
エミリエさんがライトニングさんの煽りっぽい言葉を横に受け流して答える。
『……貴女はいつからジュイロスタッフとして働いているのかしら?』
『2ヶ月ほど前からですね。主にイルミネーションにお任せあれ!のスタッフとして働いています』
『そ、そう…』
「あー。この時にはエミリエさんは、女の子に扮している俺に気付き始めてたんだよなぁ。咄嗟にイル任を盾に出来た自分を褒めてやりたい」
『いやまぁ、ただのスタッフがライバーと一緒に飯を食ってるの怪しいよ…』
『咄嗟のアドリブは見事だけど、いくらなんでも大胆に攻めすぎやw』
『バレても良いからって一緒に飯を食い出すの笑う』
『さすがノヴァちゃん。俺たちに出来ないことを平然とやってのける!スパチャ¥10000』
『『『そこに痺れる、憧れるー!』』』
なんかコメント欄がうるさいことになってる。
そこまで褒めてもらうほどのことでもないと思うんだが…。
動画は進み、いよいよ終盤。
酒呑さんに追加の熱燗を用意してから作業に戻った俺は残りのサーモンを解体し、九重さんに刺身とその漬けなどをタッパーに詰めてもらってる横で、寿司を握っていた。
それを刺身と漬けの詰め込みが終わった九重さんに、また別のタッパーに出来上がった物からどんどん詰めてもらった。
それにより……
『巨大サーモン3匹ー!全処理終わりーーー!!!マネージャーが隣で○んでます!』
『生きてます。ただしばらく酢飯を作りたくないです…。腕が痛い。サーモンも見たくないです。なんならサーモンピンクも見たくないです…』
『色さえも見たくないらしい…』
俺のマネージャー初日にして、とんでもない重労働をする羽目になった九重さん。
今度一緒に焼き肉行こう…。
サーモンを詰めた大量のタッパーを、先輩たちが待つスタジオへ運ぶ。
スタッフさんたちにもちょいちょい食べてもらっていたが、それでも人数が足りなかった。アレルギー持ちのスタッフさんも何人かいたし…。
結果。残りは持ち帰ってもらって明日の朝飯にしてもらうことに。
『お待たせいたしましたー!皆さん、好きなように持ち帰ってくださいませ~』
『『『はーい』』』
『って!あれだけ食ったのにまだこんなに残ってたの!?もうほとんどロリィー先輩に持ち帰ってもらうしかないじゃないっすか…』
『もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……もぐ?』
アスカさんがスタジオへ運んだ料理を一人食べ続けているロリィーさんを見ながら言う。
そんなロリィーさんは、疑問符を浮かべているような様子でこちらを見た。
それを巴さんが訳してくれた。
『あらぁ?確かにノヴァちゃんらしき人がいないわねぇ。まだキッチンで作業してるのかしら?後片付け?』
『ああ。そういえばノヴァちゃんくんも一緒に来るって言ってましたね』
『うーん。まぁこれだけの料理を作れば、そりゃあ片付ける物も多いわよねぇ…』
ウルフェンさんとライトニングさんが、巴さんの言葉に頷く。
『ゴクッ……ぷはぁ~…。今度お礼しないとねぇ♪』
『そうですね。まさかこんなに美味しい晩御飯を頂けるとは思いませんでしたし』
『それにお姉ちゃんといっぱいイチャイチャ出来たもんね♪』
『うん。マジ一回黙って…』
酒呑さんとエルフ姉弟も大変満足そうである。テンシさんは大変そうでもあるのだけど…。
『僕はもう、お腹パンパンだよぉ…。美味しい物はついつい食べすぎちゃうから、逆に困っちゃうねぇ。巴さんも今日はかなり食べてたんじゃないですかぁ?』
『そうですねぇ。年甲斐もなく、食べすぎちゃいましたぁ』
『年甲斐もなくって、巴さん俺より年下っすよね…』
ドラグナーさんと巴さんのおっとり組も、思わず食べすぎちゃったらしい。
「……この時俺はさ。皆さんを見てて割と複雑な心境だったよ。だってさ?マジで誰も目の前の奴がノヴァなんじゃないかって指摘しないんだもん。いや実はこの時エミリエさんだけ何も言わず『ジーッ』と俺を見てたんだけどさ。でもあの人だけだったんよね、怪しんでたのw他み~んな俺を新人スタッフだと勘違いしてたの!詐欺に遭わないかちょっと心配になっちゃうよね?」
『大先輩もいる中ズバズバ言うなぁw』
『さすがノヴァくん。思ってることをズケズケ言う』
『これでライトちゃん辺りから連絡来たら笑う』
と。ここでようやくネタばらしとなる…。
といってもただ「テッテレー!」などしてもつまらない!
そう思ったメンタル強者の俺は、一番俺のことを女の子だと思ってるアスカさんに狙いを定めたのだった。
『ねぇ。アスカさ~ん♪』
『ふぇ?なんです、かッ!?!?!?』
「「!?」」
猫なで声でアスカさんの背中から抱き付く俺。3Dモデルによる撮影ではないのでわかりづらいが、身体全体を密着させている。
あとなんか藍と舞が驚いた様子で椅子から立ち上がった。
『うえぇぇぇッ!?ななななにやってんのあの子!』
『あらあらぁ。大胆な子ねぇ(ポッ』
『ああああ、アスカくんの顔が真っ赤だ!?』
当然。俺の奇行に狼狽える先輩ライバーたち。
だがそんなことなど気にせず、俺はアスカさんの耳元……までは身長が足りず届かなかったが、なるべく扇情的に。
『なんで気付いてくれないんですかぁ?私、あんなにアピールしたのにぃ…』
『うえぇ!?あ、あぴ、アピール!?え。さっきのアレって、そういうことだったの!?ですかっ!』
全身を緊張で強張らせて狼狽えるその姿は、なんとも滑稽で面白ゲフンゲフン……とにかく見てて楽しい。
コメント欄も沸き立っている。
『やべぇなおい!?1回観てるけど、改めて観ても本当にやべぇなこれwww』
『あああああ!!!脳が破壊されるんじゃ~~~!』
『観てるこっちもイケない気持ちになっちまうんだが…?』
『本当に男なんだよなノヴァちゃん???』
『ぐひひひ…。ノヴァアス……良いと思います!』
『やべぇなんか開いちゃいけない扉開きそう…』
『もうノヴァちゃんのエ○ボイスASMRの制作の要望を出すしかなくなっちゃったよ…』
……さすがに引くな。この沸いてる様子は…。
『そんなに身体を固く強張らせちゃって、本当に良いんですかぁ~?』
『うひぃ!?し、仕方ないじゃないか!女性に免疫ないんだから!!!』
『え~。ですけど……』
そしてついに。遊びは止めてしっかりネタばらしを行った。
『俺、男ですよ?本当に良いんですか。男相手にそんな顔を赤らめちゃって』
『へぇっ???』
『『『はっ?』』』
いやぁ。Vではわかりづらいのが歯痒いですなぁ。
先輩たち皆一様に口をポカーンと開けてたからね。
『ふふふっ♪どうも先輩方!改めまして、可愛さ超新星爆発級の、“ちゃんと付いてる”男の娘!スハ・ノヴァで~す♪俺の料理は如何でしたかぁ?』
『『『はぁーーー!?!?!?』』』
『うわうるさっ…』
『う、嘘だ!!!こんな可愛い男が世の中にいるはずがない!?』
『そうよそうよ!どこからどう見ても小柄な女の子じゃない!?それで男とか、女の子泣かせも良いところよっ!』
ウルフェンさんとライトニングさんが信じられないと叫ぶようにして言う。
そんなこと言われても、付いてるんだから分類的には男だよ。俺も最近まで自分が美少女みたいな容姿してるなんて知らなかったけどさ。
『俺……俺……男相手に、ドギマギさせられてたの…?』
『あらあらぁ。すっかり騙されちゃったわねぇ。よしよし、そんな落ち込まないのぉ』
『……………もぐもぐ、ごっくん…。本当に、男の子…?』
アスカさんがorzになって落ち込み、それを巴さんがそれを慰めている。
周りが何話そうが何しようが、ずっと食べ続けていたロリィーさんまで手を止めてしまった。正直ここまでビックリするとは思わなかったな…。
『そんなに驚くことですか?俺が美少女みたいな容姿をした男の娘というのは、既に周知の事実では?』
『いや…。知ってたけどさ?聞いてたのと、実際に見るのとじゃ、随分とこう……わからないというか…。えっ。本当に男?ちょっと“見してよ”』
『いや女性に見せるのはちょっと…』
酒呑さんのナチュラルなセクハラを回避する。
いきなり一物見せろはビビるよな…。
『てかマジで皆さん驚きすぎでは?この企画やる前に花刃蕾さんとテンペストさんとコラボしたんですけど、あのお二人はここまで驚いてなかったですよ?』
『いやぁ。さっきまで“フランクな女性スタッフだなぁ~”って思って普通に話してた相手が、実は話題の新人くんだった~とかって、結構な衝撃だよぉ?全然わからなかったからさぁ』
『私も全然わからなかった…。テンシは?』
『わかるわけないよ!だってどの角度から見ても背が小さい可愛い女性にしか見えないもん!?』
ドラグナーさんが苦笑。エルフ姉弟は未だ衝撃を引き摺ったままなのか、目を見開いた様子で言う。
ここまで反応良いとマジ気持ちいいな。まぁもうさすがに通じないよね?このドッキリ。てか通じないで。
良い反応されるのは嬉しいけど、俺が飽きる。たぶん。
『それはそれとして、どうでしたか?俺のサーモンとその他の料理のお味は?』
『いやまぁ……美味しかったけどさ。それより俺は君に対する衝撃がデカすぎて…』
『俺は男に弄ばれてたという事実によるショックがデカすぎて…』
『もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……』
『ロリィーちゃんはもう、そっちのけでご飯食べるの再開しちゃったねぇ…』
『でも気にはなるみたいねぇ。ずっとノヴァくんを見てるものぉ』
こうして。サーモン処理という名の飯テロと、目の前で女の子のふりをしている男の娘がノヴァだと気付くのかドッキリを無事に終えた訳だが……若干一名。心にちょっとした傷が出来てしまったようだ。
「全く。誰がアスカさんにあんな酷いことをしたんでしょうね?」
『いや当事者w』
『いけしゃあしゃあとこの男の娘はw』
『アスカだけじゃなくて視聴者の性癖をねじ曲げておいてよく言うよ…』
『てかよくもまぁあんな猫なで声を平気で出してたな…。メンタルどうなってんだマジでこの子…』
『ノヴァちゃんのASMR発売待ったなし!』
『脳が震える~…』
「……兄貴。恐ろしい男だよ…」
「恐れていたことが、ついに起きてしまった。お兄ちゃんが自分の可愛いに気付いて、男を弄ぶ鬼畜男の娘になるという事態が…。そしてそんなお兄ちゃんは、男もイケる悪い男の人に捕まって純潔を汚されるんだ…」
「おい気持ち悪い想像してんじゃねぇよ。こんなこと身内にしかやらんわ」
「え。うちらにもやるの?なにそれキモ」
「ジュイロメンバーのことだよ!?」
「よかった。そんなことお兄ちゃんにされたら、私の中にある荒ぶる魂を抑えられなくなるところだった」
「なんだそれ…。てかお前ら。めっちゃマイクに声入ってるぞ」
「「あ」」
余談だが。
『ねぇアンタ。ちょっと今度私とコラボしなさいよ。拒否権は……ないから、ね?』
『う、うぃっす…』
ずっと黙りこくっていたエミリエさんに、凄い形相でコラボを申し込まれました(丸)
あとこのゲリラ配信後。黒田さんから電話が来て、ASMRを作らないか誘われたが……丁重にお断りした。
『売れるだろうに、勿体ない…』
「これ以上、変態視聴者が増えるとネタじゃなくてガチなのが出て来そうなんで…。勘弁してくださいマジで」
色々なゲームやってて投稿頻度は遅いですが、頑張って投稿を続けます。
最近。ゴブリンに転生して、魔物や人間を食うとスキルが手に入る主人公のアニメを観ました。
面白いかったです。二期やりそうな終わり方なので、楽しみですね。
あとやべぇ場所に出会いを求めている主人公のアニメの5期も観ました。
途中、主人公が可哀想すぎて観ててキツかった…。
それと純粋な感想であり、疑問なのですが……“マスター”はヒロインだった???