転校生って言葉はすごい威力
「とりあえず改めて今日からよろしくね、高科くん。私たち、同じクラスよ」
「マジでか」
名字で呼ばれたと言う事は学校では名字で呼べということか?
それより、智架と同じクラス。何か裏から手を回したんだろうか。
智架のことを毎日見れるのはいい目の保養になるけどあんまり一緒にいるとこのSっ気に耐えられるかが心配だ。
「よろしくお願いします、宮崎生徒会長殿」
恐怖を笑顔で隠す。たぶん、できてる。
「HR始まっちゃうわ。早く行くわよ」
「あの、俺職員室に…」
「大丈夫、話はついてるから。このまま教室に行って平気なはずよ」
智架が先に出て、俺が後からついていく。
2‐Aとプレートに表示されている教室まで案内された。
俺にここで待つように言い残して智架が入る。
「遅れてすいませんでした。転校生が迷っていたみたいで。探すのに時間がかかってしまいました」
智架の言葉に教室中がざわめいた。転校生って言葉、すごい威力なんだな。中では、男?女?とか、かっこいい?なんて言葉が聞こえてくる。
先生が廊下に顔だけだして、入りなさいと短く言い放った。
俺は教室に入って教壇に立ち、まず一礼。
「えーっと、どうも。高科航併って言います。高さの高に科目の科でタカシナ。航海の航に合併の併でコウヘイ。気軽に声かけてください。ちなみに彼女は随時募集中です」
先生が示した席につく。一番窓側の一番後ろ。なかなかいい位置じゃん。
隣の席の女子が口だけ動かしてよろしくと言ってきた。
ケッコー美人。俺もよろしくと微笑みながら返しておく。
先生が何かごちゃごちゃ話してから号令して移動開始。俺は列の一番後ろに並んでついていく。
めっちゃ広い講堂にたどりついた。教員の指示に従って座席につく。
座ったと同時に睡魔が襲ってきやがった。自分でも頭がふらついているのが分かる。絶対おっさんのせいだ‼
式が始まり、校歌斉唱。俺は校歌なんて聞いたことねぇからただ立ってるだけ。
ふと、頭がズキッと痛んだ。今さらになっておっさんに殴られたのが痛んできたのか?なんて思っているうちにもだんだん痛みが激しくなる。
頭を強く締め付けられていく感じ。って俺は孫悟空か!
いやいや、そんなこと考えてる場合じゃない。だいぶ深刻に痛いぞ。頭割れる!マジで痛いから!
…もうダメかも。
と思った時に歌が終わり、座ると痛みはひいていった。おっさん恐るべし。
その後は何事もなく式が進み、終わった。