97 マッチョ領主の依頼・恩師の依頼添え
2度目の物々交換が終わって新しい居候が出来たが……特にやる事は変わらんな。
強いて言うなら可愛い妹の日課に毎朝の組手が追加されたぐらいか。
……毎回ボロ負けしているみたいだが、まあ特に怪我もないし俺じゃ止められん。
それに随分な綺麗好きらしく家中がピカピカだからな、本当に助かる。
それはさておき野菜狂信者の襲撃が来る前にあるイベントと言えばジョニーさんとペスカタに行って貝を生で食うぐらいだが、未だに良い口実が思い付かんのはどうした物やら。
「ウメオ、ペスカタから手紙が来たで」
「サーマはベーコンを引き取りに来たばかりだからシェラフか、はたまた領主か……とりあえず読んでくれ」
未だに読めんのは悪いと思っているが、見れば見る程混乱してしまうんだから仕方ない。
これでもあ行からさ行までなら何とか解る様にはなったんだがなぁ。
「あー、手紙は領主からやな……何でも二週間後にやる結婚式でウメオにベーコンを使ったメインの料理を1品だけ作って欲しいそうや」
結婚式……って事は領主とアンカーがようやく籍を入れるのか。
そこでのメインを俺に作れとは言うが参加者が何人いるのか解らんとメニューが決められんぞ。
もしくは巨大タコやシーバスみたいな形式だとしたら……ベーコンが足りるかどうか解らんな。
「それと……【当日はペスカタの住民が催す祭りの規模の都合につき料理はウメオ殿と、腕に信頼のある2人の計3人で作って欲しい】……やって」
ただでさえ参加人数が不明なのに俺ともう2人だけで作れってか?
別に普段ならその場や前日に決めてもいいんだが相手が領主となると同じ貴族が来る可能性もあるからな……下手な物じゃ反感を買うかもしれん。
なら今回はいっそ断った方がいいか?
「ん?【もし断ったら我が愛馬に何か悪さをした誰かしらの首が跳ねられるかも知れないのでそのつもりでいる様に】?」
領主……実は最初から解っていやがったな。
つまりあの時ロリババアにおみまいしたベーコンエッグ・フライパンパイは無駄な手間だったのか。
だが文言的に【腕を奮えば忘れてやる】とも聞こえる……多分だけど。
待てよ?
領主の住まいはペスカタ、料理するのは俺ともう2人、それも俺が腕を信頼する者となれば……
「……ちょいとジョニーさんの所に行って来るから昼飯は苺心に頼んでくれ、それと領主に引き受けるって返事とマレスに腕を貸して貰う旨を書いた手紙を出してくれ」
「りょーかいや!」
「成程な、それで俺の所に来やがったのか」
「ついでにクラムを生でやって、マレスにガンボを作ってやるいい機会だと思ったんだが」
「いいぜ、余計な仕事が加わったが確かに口実としては申し分ないし時期的にクラムが美味くなる頃合いだ……その式に振る舞う料理は俺が考えてやるからボーイはビーフのベーコンとライスの酒、オクラとアンドゥイユを用意しておけ」
「助かる」
良かった……もし断られたら俺とマレスだけで、最悪の場合俺1人で作るしかなかったからな。
しかも作る物を考えてくれるのも助かった。
可愛い妹はベーコンを使う料理に疎いし、レクタさんはケンタンから動けないし、ハイドラ様の娘のクティ……だったか?はタープとマリアの護衛だから頼る訳にはいかん。
マットさんの力を借りるのも考えたが嫁であるロリババアはアンカーの姉?だから確実に参加者側だろうし。
「所でボーイ、その件に関する報酬だがオクラとアンドゥイユで払って貰うぜ」
「……まあタダじゃ手伝ってくれないとは思ってたけどな、どれぐらいだ?」
「オクラはそこの木箱一杯分、アンドゥイユは2箱分だ、来週までに頼むぞ」
多過ぎだろ!
このバーでガンボを振る舞うのにそれぐらいは必要なんだろうけど……だがジョニーさんの協力が不可欠な以上は作るしかないか。
それとオクラも……こっちはオヤッサンに頼むしかないな。
オクラは何とかベーコン10塊で引き受けてくれたか……また補充しておかねばならんな。
同時に大量のアンドゥイユも作らにゃならんが、こればかりは俺じゃなきゃ作れんから頑張るしかない。
終わったらミンサーとスタッファーの掃除とメンテをする必要があるかもなぁ。
「という訳で大量のアンドゥイユを作った後に、俺とジョニーさんは暫くペスカタに行かなくちゃならなくなったんだが」
「まあ領主様の依頼だから仕方ないね、その間の食事は私とクティさんで何とかするよ」
「さりげなくわたくしを巻き込まないで頂けません?やりますけど」
可愛い妹は甘味が中心だからなぁ……栄養バランスについては是非とも一任したい。
「パパ、ペスカタならキャリも行きたい!」
うーん……連れて行ってやりたいのは山々だが今回は領主から受けた仕事だからなぁ。
キャリの目的だろうマレスにも手伝って貰いたいし遊んでやる時間は余りなさそうなんだが……
「安心しぃ、今回はワイも客として呼ばれとるさかい……式の間はワイが見といたるわ」
「レクタさんも呼ばれてたのか……それなら」
「やったー!」
「ただし、料理中は邪魔したら駄目だぞ」
「はーい!」
まあレクタさんが居るなら野菜狂信者が襲撃に来ても何とかなるだろ。
それに頼れる護衛も居ない訳じゃない。
「ベーコン、エビフライ、トーフ、着いて来るならしっかり働けよ」
「ンナッ!」
「ヒャッ!」
「承知した!」
さて、暫くの間の食事は可愛い妹に任せた所でアンドゥイユを作る為に大量のブタの肩肉を燻製するか。
こいつはそのまま食ったら燻製香がキツいからな、タープやベーコン達につまみ食いされる心配がないのだけが救いだよ。
アンドゥイユをそのまま食うのは止めておけ(戒




