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94 おにぎり・サンタマリアアルゼンチングリル添え

うっぷ……久しぶりの酒だったからかつい飲み過ぎちまった。


だがこの機会を逃したら次は出産が終わらないと飲めない可能性が高かったからな、後悔はしない。


途中からレクタさんが加わってあのアプさんとかいうエルフの美人とサシで……ってまだ飲んでいやがった。


まあレクタさんなら大丈夫だろ。


そういや今回の朝飯は……俺とあいつは二日酔いだし桃花は可愛い妹達と何か話してるしで誰が作るんだ?


「そういや朝飯の事を一切考えてなかったな……」


「お前の嫁は?確か唯一酒が飲めないって人は料理出来たよな?」


「ああ、ミラは今回2人目を身籠ってたから留守番だ」


見掛けなかったのは来てなかったからか……


まあ安定期に入らん内に連れ回すのはいかんからな、仕方ない。


「因みにお嬢……嬢ちゃんの嫁も同様だ」


あ、あのハーフエルフか……


ついでに言うとあのハイドラ様の娘とかいうメイドも見事に二日酔いだった。


「朝ごはん出来たよー!」


「そういやナクアが居たな、良かった」


「見た所ピーマンや納豆を使ってないな……助かった」


確かあのメイドも大量の酒を飲んでた筈だが二日酔いにはならなかったらしい。


だがこの大量のサンドイッチにおにぎり……まあ残ったりはしないだろうけど、ちょっと作り過ぎじゃないか?


「ごめんね、私はサンドイッチとおにぎりしか作れないから」


「別に構わないよ、どうせ全部食べ切るだろうし……ってこのおにぎりの中に納豆がはぁっ!」


「ぐはっ!サンドイッチの中心に、よりによって生のピーマンが!」


ふと見たら可愛い妹と桃花がいい笑顔でこっちを見てやがった……つまりこれは飲み過ぎた俺達への罰って事だな。


やはり飲み過ぎはいかんな。


ってかピーマン嫌いな奴に生のピーマンは駄目だろ……しかも緑だし。


赤や黄色のパプリカならまだしも緑は苦いからな。


「おいナクア、醤油を塗ったおにぎりの具に小豆の餡子はどうかと思うんだが……いや、調子に乗って飲み過ぎた俺が悪いんだけど」


「ちょっと、このサンドイッチにタマネギ入れ過ぎではありませんの?」


「あ、それはキュアさんの指示だから……因みにそこのおにぎりの中にも入ってるよ」


こいつは餡子が、ハイドラ様の娘はタマネギが苦手だったのか。


そして作った本人はキャリや子供達と一緒に何か黄色い粉をまぶしたおにぎりばかり食っていやがる。


中身は同じく餡子みたいだがそれ、おにぎりの具にして美味いのか?


「相変わらずナクアは黄粉が好きだな……」


「あれ黄粉か!」


確か大豆を砕いて作るんだよなあれ……この世界は大豆がないから作れんな。


あってもバーベキューじゃ使わんからどうでもいいけど。


「このおにぎり、モチモチしてて甘くて美味しい!」


試しに1つ……ああ、これぼた餅に黄粉をまぶしたのと変わらんな。


そりゃ美味いわ。


「では次回に小豆と黄粉も追加で」


「こっちはオクラとキュウリを出すね」


何かと思えば取引してたのか……


まあ可愛い妹は餡子が好きだし小豆は欲しいだろうな。





ふぅ、納豆おにぎりはあいつに出されたピーマンサンドイッチと取り替えて食う事で片付いた。


やはりピーマンは多少は火を通した方が美味い。


今回は可愛い妹が作った訳じゃないから遠慮なく取り替えられたのは助かったけどな。


「おっと、忘れる所だった……実は今回、新しいコンロを作るのも目的なんだ」


「この前作ってやったばかりだと思うんだが……ってそれはワイヤーか?にしては随分と太いが」


「お前なら知ってるだろ、サンタマリア・アルゼンチングリルを……それに使えそうなワイヤーは作れたんだが肝心の本体が上手く行かなくてな」


サンタマリア……ああ、よく知ってるよ。


ハンドルで網を上下に動かせる、しかも網はへこみを付けた独特な形で脂や肉汁が炭に垂れる事がない、ダニエルさんが最強のコンロと呼んでいた一品だ。


当然俺もこの世界に来てから何度か作ろうと思ってはいたんだが、網はどうにかなったけどあのワイヤーを作る事が出来なかった。


因みに日本で買おうとするなら小型でもオプションや予備パーツ、送料やら何やらを含めて5万は覚悟しなきゃならん。


それだけいい物ではあるんだが……いかん、買っても使う時間がないからと購入を後回しにしていた過去の自分をぶん殴りたくなってきた。


いや、そもそも使う時間がなかったのはあのゴミ上司のせいだからな……やはり辞表を叩き付ける時もう10000発ぐらい殴っときゃ良かった。


「余ったワイヤーはお前も使っていいが、どうだ?」


「とはいえ俺も細かい構造を知ってる訳じゃないからな……その辺は試行錯誤せねばならん」


詳しいだろうジョニーさんもこの場には居ないし。


いや、作れば飛んで来る可能性はあるけどな。


「ま、時間ならあるからゆっくりやろうぜ」


「だな」


まずは記憶を頼りに設計図から描くか。


多分だが作ればジョニーさんも欲しがるだろうし、無駄にはならんだろ。






よし、網は魔鉄で作ったから焦げる心配はないしハンドルで上下に動かせる。


ワイヤーの強度も充分で熱にも強い……この炭火でびくともしないのは流石だ。


「……自分で作っておいて何だが意外と何とかなる物だな」


「ハンドルを回す時の音がちょいとデカいが、油を差せば改善するだろ……ってかこれを3つも作る必要あったのか?俺とお前の2つで良かったんじゃ」


「いや、確実に必要になる」


というかあの人の性格からしてそろそろ来るであろう予感がする。


「ハハハ、よく解っているじゃないかボーイ!」


「やはり来たなジョニーさん……そのサンタマリアは1つプレゼントするから遠慮なく持って行ってくれ」


「サンキュー、有り難く使わせて貰うぜ」


それはそうと勇一は何で固まっていやがるんだ?


ダニエルさんの動画のファンだとは聞いたけど、ジョニーさんは基本的に裏方だったから顔は出してない筈だが……


「その人はもしかして、【キッチンで出来るバーベキュー】って本を出してたジョニー・デイビットさんじゃないか?」


「オゥ、あの本を読んでくれたのか?サンキュー」


「おいジョニーさん、いつの間にそんな面白そうな本を出版しやがったんだ?」


「ハハハ、ボーイは炭火じゃないと美味く作れんから読んでも意味がないだろう?それに日本語版ならストロベリーにプレゼントしたぜ」


「あ、この前トゥール様にお願いして持ってきて貰ったよ」


マジか、知らなかったのは俺だけか。


まあ俺には炭火じゃないと普通の味にしかならんという謎補正があるのは確かだからなぁ……でも内容が気になるから後で貸して貰おう。


「おっと、ベルの頼みを聞いてくれたのとサンタマリアの礼にランチは俺が作ってやろう」


「そいつは助かる」


正直何を作るか決めてなかったからな……やってくれるんなら遠慮なく頼らせて貰うよ。


「それにしてもお前、凄い有名人と知り合いだったんだな……」


「ま、色々あったからな」


その色々は次回以降の物々交換の酒の席で語ってやるか……流石にシラフで話すのは恥ずかしい。


俺もあいつに何があったか知りたいし、酒の席の話題には丁度いいだろ。

サンタマリア……欲しいけど買えねぇ(値段的な意味で)

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