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92 2度目の物々交換・タルトタタン添え

「お待たせしました」


「ちゃんと酒を用意したんだろうな?」


来たな、いきなり酒の話はどうかと思うが前回は大量の米の代金代わりにベーコンとバーボンで返す約束だったから仕方ない。


何やら見慣れない人もチラホラ居るが……まあいいか。


どうせ酒盛りか物々交換の間に知れるだろ。


まずは前回の米の代金代わりのベーコンとバーボンを差し出して、サーマが桃花に礼を言って……ここから物々交換だ。


「試してみましたがリボベジは上手く行かなかったので、やはりキャベツは欲しいですね……それと紫芋も」


「ウチもリボベジは失敗だったからな、キャベツとアンチョビが欲しい」


「ならアンチョビは木炭、紫芋は例の甘味料だな……キャベツは生で食える卵と重曹がいい」


しかしリボベジは失敗したか……まあ土の栄養とか気候とかの問題だとしたら俺にはどうしようもないからな。


なるべく機会を作って大量に用意してやるぐらいしか出来ん。


「おっと、鰹節とカボチャも欲しいです」


「こっちは酒とベーコンだな」


因みに可愛い妹は子供達の面倒を見ているが……間違っても手を出すんじゃないぞ?





「今回も全部捌けたな……代わりに色んな物が増えたけど」


「モモちゃん……ちょっと回復魔法お願い」


って可愛い妹がボロボロに!?


「またこっぴどくやられましたね……強かったでしょう?」


「かなり……あの大盾を構えたエルフのアプさんって人、ひょっとしたら師範と同じぐらい強いかも」


「あたしの義母ですからね、体感ですが全力なら師範より強いですよ」


例のトゥール様の分体とかいう師範より強いって……


義母とか言ってたが旦那か嫁さんのどちらかの母親って事でいいのか?


「あたしの嫁の母親ですね、余談ですが我が家だと旦那のもう1人の嫁が最強です」


更に上が居ると申したか?


何やらロウと一緒になってキャリと話をしている様だが……


「そういえばあのクティって青い髪と目をしたメイドの人も強かった」


ああ、何故かハイドラ様の様な雰囲気のある美人のメイドさんか……


ってタープもマリアも俺を睨むんじゃない。


浮気する気は微塵もないから。


「まあ似てるでしょう、クティはそのハイドラ様の娘であたしの宿敵ですから」


「女神の娘が宿敵って……お前はどんな壮絶な生き方をしたんだ?」


「失礼な、クティから喧嘩を吹っ掛けて来たのを買っただけですよ」


いや、何があったのかは知らんけど買うなよ。





よし、夕飯の準備をするか。


今回は前にあいつと約束したラム肉を焼いて、大食いだらけなのを考慮してベンネのサラダにいつぞやのカボチャシチューも作ろう。


それとキャリのリクエストでハチミツ味のハンバーグも出す。


可愛い妹にマリアもキャリのリクエストならば嫌な顔はするまい。


ラム肉もローズマリーとマスタードを効かせたラムチョップとぶつ切りと大量の野菜を一緒に炒めるちゃんちゃん焼きの2種類を作る。


タープとマリアは妊娠中でローズマリーは毒らしいし、桃花もローズマリーの香りは苦手だとか聞いたからな。


「何か品数が多そうだし、手伝ってやるよ」


「私も手伝います!」


「助かる……そういや桃花はローズマリー以外に苦手な物ってあるのか?」


「確かセロリだけは食えないとか言ってたな」


よりによってセロリか……あれはオヤッサンの力を持ってしても育たなかったんだよなぁ。


まあ仕方ない、納豆の仕返しで嫌いな物があれば軽くおみまいしてやるぐらいの物だったし諦めよう。


「……所でハイドラ様の娘とか言ってたクティ、だったか?そんなにジーっと見られるとやり辛いんだが?」


「わたくしの事はお気になさらず、話に聞いた甘いハンバーグとやらが気になっているだけですから」


いや、作り方なら教えるから……せめてもう少し離れてくれないか?


嫁の居る身ではあるが美人が近くに居たら落ち着かん。


「諦めろ梅夫、離れて欲しいならさっさと作った方が早い」


「そうか……マレスはベンネのサラダを頼む、マカロニは既に出来てる」


「解りました!」


そういや可愛い妹と桃花は……ベルと組手をしているのか。


まあベルはその為に来た訳だしな。


それにしても本当に桃花の左手から電気が出てるが……あれ食らったらただじゃ済まないだろ。




ふぅ、ラムチョップをアルミホイルで包んだしソースも出来た、後はシチューを夕飯の直前まで煮込んでハンバーグを焼くだけだ。


あいつにはちゃんちゃん焼きを頼んだけど、何か俺が作るより美味そうな匂いがするぞ。


「これでも名古屋で育った身だぜ、味噌の扱いならお手の物だよ……まあ転生した時間の方が長くなっちまったけどな」


そういや名古屋で肉屋をやってたんだったな。


とりあえず手が空いたし、何かツマミでも仕込んでおくか。


「ぅぅ……キュアさん強過ぎます」


「いやいや、ベルちゃんも中々の腕でしたよ」


組手は終わったのか……そしてベルが負けたと。


怪我はなさそうで良かった、もしも痕が残ったらジョニーさんに何をされるか解らん。


「お兄ちゃん、デザート作るから私のコンロに火を入れて、それとダッチオーブンも借りるよ」


「おう、それで何を作るんだ?」


「今回はタルトタタンだよ」


タルトタタン……酒豪のスコッチさんが唯一好んだスイーツか。


砂糖とバター、好みでラム酒を使いながら炒めたリンゴに生地を被せて焼くだけながら力量がハッキリと出てしまう、ある意味おそろしい奴だ。


そして相変わらず型がえげつない大きさだが今回は子供が多いし、割り当ては少なく済むだろ。


「モモちゃんが簡単に作れるスイーツを知りたいって言ってたからね……まあラム酒がないから代わりにレモンのワインを使うけど」


「確かに言いましたけどね……何しろあたし、日本に居た頃は甘い物より炭水化物を優先せざるを得ませんでしたから、そういうのに疎いんですよ」


あの時やけにパエリヤをがっついていたのはそういう事か。


そういえば確かあの時は桃花と可愛い妹にもう1人いたよな?


「……ふと気になったんだが、苺心と桃花の他に焼きリンゴを貪っていたのが居たけどそいつはどんな奴なんだ?」


「あ、リリーちゃんの事ね」


「まあ一言で言うなら現実の男には興味のない腐った女子ですかね?」


いわゆる腐女子って奴か……


逆に疑問が増えたんだが、趣味思考が丸っきり違うお前達はどうやって仲良くなったんだ?


「後、甘い物とカレーが何よりも好きだったな……何だか会いたくなってきた」


「とはいえ、こうしてあたしと苺心ちゃんが再会できたのも奇跡ですからね……流石に3人が揃うのは無理でしょう」


来たら来たでカレーのないこの世界は可哀想だろ。


まあ焼きリンゴぐらいなら幾らでも作ってやるが。


「いかんな……カレーと聞いたら食いたくなってきた」


「その気持ちはよく解る、だが俺はカレー粉の作り方なんて知らんぞ」


「あたしもカレー粉は解りませんね」


「私はお菓子やスイーツしか知らないから」


まあカレー粉は専門の知識が必要だとか聞いた事があるからな……


こうなったらトゥール様にソース味の料理をおみまいしまくってカレー粉を頼むしかない。


「お兄ちゃん、流石にそれはどうかと思う」


「……だな」


こうなったら後から来るだろう迷い人に期待するしかないか。


ってもういい時間だし、夕飯を仕上げよう。





「マスタードのソースがローズマリーの香るラム肉に合うな……美味い」


「あのシロガラシの種を砕いて砂糖と酢を混ぜれば出来るからな、後で詳しい作り方を書いてやるよ」


まあこいつの腕は確かだし、俺のと同じコンロも作ってやったから再現は可能だろう。


羊肉は余り食わない世界らしいが、これは牛のロース肉で作っても中々だからな。


「甘いハンバーグ美味しい!」


「これおかわり!」


どうやら子供達はハンバーグを気に入ったらしい……


だがおかわりは焼けるのを待ってくれ。


「美味しいですねタルトタタン……名前的に難しいだろうと思ってましたがかなり簡単に作れる様ですし」


「ラム酒があればもう少し香りが良くなるんだけどね」


この世界にも砂糖はあるからサトウキビもあるだろうし、作れなくはないんだろうが……今度ジョニーさんに相談してみるか。


あの人はバーボンを作ってるから、何か解るかもしれん。

タルトタタン、炭火で焼いた方が絶対美味い

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