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82 義父のパイ・墓参り添え

よし、コンロに炭火は入れたし5分もすれば煙も落ち着く筈だ。


今回このコンロを使うのはレクタさんだが炭はあいつから交換して貰ったのを使ってみた。


というのもパイを焼くなら火力は高い方がいい。


あいつは鍛治職人になって炭を自作しているとか聞いたがまるで備長炭みたいな燃え具合だ……これで塊の肉を焼いたらさぞ美味いだろうな。


「ほな、借りるで」


「どうぞ」


レクタさんが用意したのは可愛い妹が作ったパイ生地と大量のトマトとタマネギ、それに卵とオリーブオイルか。


肉や魚、果物を一切使わないトマトのパイというのは初めて見たな。


「スマンがタマネギを半分はみじん切りに、半分を薄切りにしてくれへんか?」


「解りました」


まずは薄切りから、と……その間にレクタさんは卵白と卵黄を別けているのか。


そして卵黄は醤油を垂らして溶いているから焼く前に塗るんだろう。


おっと、次はみじん切りに……一方でトマトの皮を剥いて種を取っているな。


それを手頃なサイズにカットして、半分は潰している。


熱したフライパンにオリーブオイルを垂らして、みじん切りのタマネギ半分とトマトの種を一緒に塩コショウを加えて炒めているが……


残りのみじん切りタマネギは塩コショウしてカットしたトマトと卵白を加えて混ぜている。


「ウメオ、あのアルミホイルっちゅー銀色の紙をくれへんか?」


「あ、どうぞ」


アルミホイルにオリーブオイルを塗って、薄切りのタマネギはオリーブオイルで和えてから包んでコンロに……成程、先に蒸し焼きにしておくのか。


おっと、潰した方のトマトは炒めてる方に入れて煮詰めている。


そしていよいよパイ用の鉄型(可愛い妹の私物)にパイ生地……ちゃんと油を塗っておくのも忘れていないな。


下段に卵白と合わせた野菜、中段は蒸し焼きにしたタマネギに溶いた卵黄、上段に煮詰めた野菜……


仕上げに少し残した卵黄を塗って、ダッチオーブンに入れたらコンロに乗せて蓋、と。


しかし卵と野菜だけのパイか……どんな味になるのやら。


「このパイはトマトが好物やったカミさんがいっちゃん好きやった料理でな……命日には必ずお供えしとるんや」


奥さんの好物と来たか……そりゃ欠かす訳にはいかんよな。


俺が死んだら俺の好物ではなく塊のままの肉しか供えられない気がするけど。


タープは料理が出来ないしマリアも大雑把な肉料理しか出来ないしなぁ……それに可愛い妹はスイーツしか作らん。


可能性があるとしたらキャリやマレスだが、マレスはペスカタだからわざわざ通わせるのも申し訳ない。


キャリも最近はスイーツ作りが楽しいらしいし……


「ワイは後何回作れるか解らへんっちゅーにタープは全く料理が出来へん上に覚える気もあらへんからなぁ、次からはウメオに頼むわ」


「わ、解りました……」


まあ、レシピは見て覚えたし……忘れない内にメモしておこう。


どうせ見るのは俺だけだろうし英語でいいよな。


可愛い妹に聞かれたら改めて日本語で書けば済むし。


「せや、ついでやしベーコンも一緒に供えさせてくれへんか?」


「お安い御用ですよ」


とはいえただ切っただけというのも味気ないし、奥さんはトマトが好きらしいからな……いつだったか可愛い妹のリクエストで作ったトマトとベーコンのホイル焼きを作ろう。


幸いカーニズに行ったばかりでチーズもあるし、ついでにベーコンステーキも出すかな。


「……ベーコンにエビフライ、お供えをつまみ食いしたら1ヶ月は肉抜き、かつ晩飯はマスタードのみだからな?」


「ンナッ!」


「ヒャッ!」


やはり居たか……本当に油断ならん奴等め。





お供えが出来上がったからタープを連れて教会の裏から更に進んで、拓けた場所に出たと思ったら小型のピラミッドみたいな物がチラホラと……


これはこの世界の墓標か?


「この世界の墓参りはな、まず黄の水晶を墓標の中に入れるんや……アンデット化を防ぎつつ盗人に荒らされへん様に必ずやるんやで」


成程、火葬はせずに棺桶ごと埋めるやり方か。


「因みに墓標は女神はんが作ってくれるんや、せやから黄を毎年交換しとれば結界が張られるんやで」


あの火災があって無事だったのはその結界のお蔭か。


本当にトゥール様は仕事をしない訳じゃないんだよな……


ただ真面目に働く時間が短いだけで。


「したらお供えを置いて祈るんや」


「解った」


とはいえ何を祈った物やら……


えっと、タープは妊娠しましたので無事に産まれる様に見守ってて下さい。


「よっしゃ、ほな同じもんをもっかい作って皆で食おうやないか」


お供えは下げずにまた作るのか……まあ大して時間も掛からない料理だしオヤツの時間には食えるな。


それにあのパイの味も気になるし。





「じいじのパイ、ちょっと酸っぱいけど美味しい!」


成程、奥さんはトマトが好きだから酸味を生かして作ったんだな。


トマトの酸味は煮詰めれば消えるし、あのコンロならそんなに時間も掛からずに出来るがしなかったのはそういう事だろう。


しかしトマトの酸味の中からみじん切りのタマネギがシャキシャキ、薄切りのタマネギが甘くて最後まで飽きずに食える。


だが俺自身が辛党なのもあって同じサイズの可愛い妹のパイはこの半分も食えんからな……いつもの様にベーコンやエビフライに分けてやろう。


「ねえお兄ちゃん、このパイの作り方を覚えたなら私にも教えて欲しいんだけど」


「確かにパイ生地は苺心が居ないと作れんが……」


「構へんよ、カミさんも作れるもんが増えるんは嬉しいやろ」


許可は出たか……


だが今からまた作って食うのは胃袋的な意味でキツいからな……日本語で書いて渡す事にしよう。

トマトとケチャップだけで作るパイも中々美味い(らしい)ですよ(ケチャップ苦手)

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