77 最高神の降臨・新しい称号添え
「あたしの時もそうでしたけど、電話がない世界で相手実家に妊娠の報告をしに行くのは安定期に入ってからでないと殴られますよ?」
「マジか……」
まあ、確かに報告は揃って行った方がいいが連れて歩く訳にもいかんわな。
しかしマリアが米を食いたいと言っているからには買いに行かねばならん。
「米なら皆さんの食欲から計算して……とりあえず1ヶ月分を渡しておきますから、次回の物々交換にベーコンで返して下さい」
「ウチからも少し融通してやるからバーボンで返せよ」
「利子と熨斗を付けてちゃんと返すよ」
という訳で大量の米まで頂いてしまった……
これが持つべきは友って奴か。
次回はまず……取引とは別でベーコン20塊にバーボン2樽を差し出す所から始めないとな。
その為にも野菜狂信者共に肉や魚を大量におみまいしてやらねば!
「……そういや人数はリセットしたと言ってたが、いつもの奴は食わせてカウントしてもいいんだろうか?」
「構へんよ、どうせ今後も兄ちゃんに絡んで来るやろうし……ただ物々交換前の2回目はノーカンやで」
つまりリセットする度に一回だけカウントしても良い、って事か。
ってかトゥール様、ヒュドラさんと一緒にBLTサンドを頬張りながら喋るのは止めてくれませんかね?
「時にトゥール様、確か今日は最高神様が演説をする日だった筈では?」
「いつの間に来たんやイグ……演説っちゅーてもお決まりの長話なんやから分体置いときゃバレへんやろ」
「ホゥ、トゥールよ……良い度胸をしておるのう?」
誰だこの爺さんは……珍しくトゥール様が固まってるし。
ってそれは可愛い妹が作った巨大パンプキンパイだが食って大丈夫なのか?
勿論、胃袋のダメージ的な意味でだぞ。
「ウメオさん、この方は最高神であるヨグソ様です」
「つまりトゥール様の上司で最も偉い存在……大変失礼致しました」
「何、今回は脱走したトゥールを捕まえに来ただけじゃからの……通りすがりのジジイが来たとでも思っとればよいわい」
仮にも最高神様を相手にそんな無礼は働けねぇよ。
しかしトゥール様を捕まえながらもシカゴピザサイズのパンプキンパイを一人で半分も食っていやがる……トゥール様の上司というのは伊達じゃないな。
ただ演説というか長話は嫌だというトゥール様の気持ちもよく解るし、少しぐらいは助け舟を出すか。
「まあ、余り怒ると身体に障るからこれでも食って落ち着いてみては……」
「おお、トゥールやヒュドラがさっきから食っておったびーえるてーサンドとやらじゃな」
やはり食いついたか……女神様にしろ最高神様にしろ食いしん坊しか居ないのか?
後、BLTサンドです。
「……美味い!」
よし、気に入ってくれた様だ。
「今回はこの男の顔を立てて許すが次はないぞい?」
「す、スンマセンでした!」
あのトゥール様が全力で土下座をする所とか……見たくはなかった。
いや、この場では目を逸らしておくのが精一杯の優しさって奴だろうな。
「あー、時にウメオと言ったかの?このべえこんとかいう肉はまだあるかのう?」
あー、一応ツマミ用にと持ってきたベーコンが半塊は残っているか。
別に差し出すのは構わんがこれ、食い掛けみたいな物だけどいいのか?
「そしたらキュアよ、そのべえこんでワシの昼飯を頼むぞい」
「やはりそうなりますか……少々お待ちを」
パンプキンパイにBLTサンドまで食っておきながらまだ食えるのか……
神って偉くなる程たくさん食えるのか?
「あのヨグソ様、今は演説の最中なのでは?」
「それなら分体にやらせとるから問題はないぞい」
あんたもトゥール様の事をとやかく言えねぇじゃねぇか!
やってる事は全く同じだぞ!
「おっと今の内に……セバスさんに土産でベーコンとカキのオイル漬けを」
「おお……カキは嬉しいですね、ありがとうございます」
カキは好物だと言ってたからな。
事前に解ればまた作っておくよ。
「はぁ、疲れました……」
昼飯を作り終わったか……ベーコン半塊分を入れた山盛りの塩焼きそばがみるみる消えて行く。
「神や女神って大飯食らいしか居ないのか?」
「あたしの知る限り6神中5神が大食いですから……否定は出来ませんね」
「確かに」
セバスさんまで認めてる辺り本当に食欲魔神しか居ないらしい。
まあ俺は残さず食うなら幾らでも焼いてやるけどな。
「ふぅ、満足したぞい……時にウメオよ、お主も中々良い腕をしておるのう」
「って、ベーコンを食っただけで解るんですか?」
「伊達に長生きはしとらんよ、そんなお主には【親方】という称号をやろう」
その字はダディとは読まないと思うんだが……まあくれるんなら有難く貰っておこう。
そういやレクタさんは神や女神のくれる称号には何かしらの補正があるとか言ってたっけか?
「その称号はウチのやった【職人】の上位互換やで……確か技術力が更に上がって喧嘩に強ぉなるって効果やったな、ヨグソ様が最後に与えた相手はダニエルやった筈や」
「因みに誰かに技術を教えるのが上手くなる、という効果もあるぞい」
マジか、これならいつもの奴が一人なら叩きのめせるか?
いや、過信は禁物だな……俺は筋肉を鍛えてはいても戦う為にやってる訳じゃないし。
それより教えるのが上手くなるというのとダニエルさんも貰った称号という事実が嬉しい。
「ではまた次回に」
「早くノルマをこなせよ」
「おう、またな」
ふぅ、毎度の事ながらこの転移による目眩だけは慣れん。
トゥール様もヨグソ様に捕まってたから今回ばかりは夕飯に来ないだろうし……何を作るかね?
「おっと、エビフライは初めてウチで食うからな……何かリクエストはあるか?」
「ヒャー!」
「うん、解った!パパ、エビフライはぎゅーどんが食べたいって!」
牛丼か……マリアの実家に行ったら必ず最初に作らされる庶民の味方だ。
和食に対して強い拘りがあった桃花の事だし、材料があるなら確実に作ってるよな。
「ウメオ、私も牛丼がいい……というよりコメがあるなら食べたい」
「ウチもそれで構へんよ」
「あー、苺心は味噌汁を頼む……マレスはベーコンでサイドを作ってくれ、品は任せる」
「はーい」
「解りました!」
明日からはまたベーコンを作り溜めながら2週間後のシーバスに備えないとな。
だがその前に……マレスには試験を出してやらなきゃならんか。
塩焼きそばなら豚肉よりベーコンのが美味い




