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70 恩師流の結婚式・クロカンブッシュ添え

今回は苺心視点

「よぅし、全員グラスは持ったな……乾杯だ!」


「「「「「「カンパーイ!」」」」」」


結婚式当日……前もって作ったクロカンブッシュを冷やしながらマレスちゃんと一緒にジョニーさんを手伝ってるけど、盛り上がってるなぁ。


それにしても、前菜とかオツマミはともかくメインの料理は外のコンロで作ってるのに……何でお兄ちゃんは留守番だったんだろ?


因みに私はずっとウェディングケーキを作ってて、マレスちゃんはジョニーさんを手伝っていたよ。


「今日の代金は新郎持ちだ、遠慮せずに食ってやれよ!」


「ハハハ、初日からカミさん泣かせとんやないで!」


「ほんなら少しぐらい遠慮せんかい!」


「「「「「ハッハッハー!」」」」」


新郎がドワーフだとは聞いたけど、新婦は……下半身が蛇みたいで可愛い声をしてる、ラミアって種族の人だった。


確かお祭りの時に捕まえたワニを仕留めてはお兄ちゃんの所に運んでた人だね。


「マレス、こいつをスライスして盛り付けてくれ」


「は、はい!」


あ、ローストビーフだ。


やっぱりこれは定番だよね。


「ストロベリー、仕上げのソースは頼む」


「はーい」


肉汁にイチゴのワインとバーボン、塩コショウを加えたソースだったよね。


確か煮詰めながらアルコールを飛ばすだけでいい筈だから火加減に注意してれば大丈夫。


これをお肉を盛り付けたお皿に見栄えする様に、スプーンで回し掛ければオッケー。


「やはりストロベリーに頼んで正解だったな、ボーイだと味はともかく見栄えがなぁ」


あー、お兄ちゃんは味に影響がなければ見た目に拘らないからね。


この前のダチョウステーキやネック煮込みはともかく、マリネソテーなんて焼いてお皿に乗せただけだったし。





「よし、そろそろメインを出すか……そこの大皿一面にレタスを並べておいてくれ」


あ、あのコンロで焼いてる料理だね。


洗って水気を切ったレタスを隙間なく並べて、よし。


「……ふぅ、流石に重いな」


うわ、網目に重ねた薄切りのベーコンで包んだ巨大なハンバーグ……


あれって確かダニエルさんがお兄ちゃんの誕生日に必ず作っていたベーコン・エクスプロージョン?


という事はあの中には大量のチーズも……


「マレス、娘と一緒に運んで人数分に切り分けて配ってやってくれ……少し腰を痛めた」


「わ、解りました!」


無茶し過ぎ……


って普通に立ってる?


「なぁストロベリー……最近のボーイだが何か変わった所はないか?」


「お兄ちゃんが変わってるのはいつもの事だけど?」


「オゥ、手厳しいな」


それに関してはダニエルさんを始めとしたあのピットメンバーの影響だし、私が産まれる前からだから今更どうしようもないんだけどね。


でもジョニーさん達が居なかったらお兄ちゃんもお父さんみたいになってただろうし、そこは感謝してるよ。


あ、そういえば最近だと……


「……相手に対して凄く頭に来てて、夕飯の時間が迫ってたからって躊躇いなくベラバーガーを出したりしてたよ」


「……そうか、大方ボーイをキレさせた相手はベジマニアだろうし同情の必要はないな」


でも、いつものお兄ちゃんならバーベキューに対して時間がない、なんて言い訳だけは絶対に使わなかった筈なのに。


日本に居た時は仕事よりバーベキューを優先するのはどうかと思ったけど、今はバーベキューが仕事みたいな物だし。


そう考えるとお兄ちゃんはこの世界に来て……何かおかしくなってる?


「安心しなストロベリー、話の通りなら今のボーイはピットマスターなら必ず一度は掛かる病気みたいな物に掛かっただけだ……ちょっとした切っ掛けですぐに治る」


「え、そうなの?」


「ただし、その病気を治せるのは……誰よりも長くボーイと本当の意味でのバーベキューをしてきたストロベリーだけだ」


えぇ……そこはタープさんやマリアさん、何ならジョニーさんでもいいんじゃないかなぁ?


でも本当の意味でのバーベキュー?





「さて、ようやくデザートだ……頼むぜストロベリー」


「うん」


筒状に焼いたスポンジケーキの上側を三角形に加工してから薄く水飴を塗って、シュークリームの底にカラメルを塗ってから素早く張り付けて冷やしつつ山の様な形にしたクロカンブッシュ。


これならハンマーで叩かなくても配って回る事が可能だよ。


シューを取る時に剥がれたスポンジケーキがくっ付く場合があるけど、そこはご愛敬って事で。


「よし、配る前に一仕事頼むぜレクタ」


「あーゴホン、新郎ダッチはいかなる時も新婦を守ると誓うんか?」


「おう、誓ったるわ!」


「ほなら新婦カーゴは?」


「誓いますわ」


いや、誓いの言葉も関西弁でするの?


それも微妙にいい加減な……色んな意味でこの世界らしい、って事なのかな?


私の結婚式は出来れば標準語でお願いしたいけど、何だかんだでお兄ちゃんを始めとしてジョニーさんやレクタさんも仕切ってきそうで怖い。


そして至る所でバーベキューコンロが火を吹きそう。


「そんじゃ誓いのキス……は初夜に2人きりでしときや、それよりデザート食わせてぇな!」


「ほなら今から配ったるわ!」


「「「「「「ウォーッ!」」」」」」


いや、それでいいの!?


本当に食いしん坊しか居ないよねこの世界……





何だかんだでつつがなく終了……後片付けも終わったね。


「今日は助かったぜストロベリー、マレスも中々いい腕だったな」


「し、師匠の師匠に褒められた!」


うん、ジョニーさんは女の子には甘いんだけどバーベキューに関しては贔屓しないから……文面通りに受け取って問題ないよね。


「レクタもお疲れだな、今夜はもう遅いし泊まっていくか?」


「ほなそうさせて貰うわ」


ってレクタさんはバーボンを飲みたいだけなんじゃ……まあいいや。


お兄ちゃんに頼まれてたトウモロコシの粉末と私が食べたかった生のトウモロコシは貰ったし、もうちょっとぐらいベルちゃんともお話したかったからね。


マレスちゃんもベルちゃんと仲良くなっていたし。


「……ストロベリー、帰ったら頼んだぜ」


「……うん、やってみる」

ベーコン・エクスプロージョンはホットソースが欠かせない

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