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65 ダチョウの解体・バッファローウィング添え

結局明け方まで付き合わされた挙句、詫びの一言すらなかったな。


色んな意味で眼福だったから別に構わんけど。


……言っておくが手を出したりはしてないぞ?


俺には嫁が2人も居るし、あのロリババアの妹とか言われたら出す訳がない。


加えてダニエルさんの子孫となれば姉か従姉としか思えんしな……あのロリババアは確実に従妹か姪だが。


因みにあの夜、ベーコン以外の全員は何かを察したらしくアンカーの恥態を見る事なく寝たらしい。


……本当に良かった。


「で、お前達が話に聞いた2人か?」


どっちも可愛い妹やマレスと大して変わらない女の子じゃねぇか。


以前マリアからカーニズは女性の方が立場が強いとは聞いたが……街長にするには若すぎじゃね?


「私はトングと申します!」


「わ、私はヘラです!」


トングにヘラね……今から焼きそばでも作れというのか?


まあ名前はどうでもいい、今からダチョウを捕まえて解体と下拵えをせねばならんし。


「まずはダチョウ……もとい、スプリンを捕獲するから着いてこい」


「「はい!」」


「マレスは同行して貰うが、苺心はどうする?」


「私も行こうかな、ダチョウの解体を久しぶりに見たいし……例の人達が来る可能性もあるだろうし」


そういや野菜狂信者の目的でもあったっけな。


「キャリちゃん達はベーコンちゃんが居れば大丈夫だと思いますよ」


「ンナー!」


ならここはベーコンに任せよう。





さて、まずは大きめな黒い布をコメ酒に浸して、と。


キャベツを刻んで桶にでも入れといて、ダチョウが食い付くのを待とう。


「お兄ちゃん、来たよ」


早いな!


見た所あの牧場で飼育していたダチョウと同じサイズか……助かったな。


異世界だし、最悪3倍の全長は覚悟していたが杞憂に終わって良かった。


よし、布を軽く絞ったら腕に巻いて……キャベツの葉を持ちながら近づく。


葉に食い付いたら素早く嘴を掴んで、布を被せて、と。


「あ、あのスプリンが大人しくなった?」


「というか、全く動かない?」


ダチョウは目の前が真っ暗になると全く動かなくなるという習性がある。


これはその習性を利用した一番簡単なやり方で、牧場長にみっちりと仕込まれた方法だ。


ネットで見た限りだと黒い布だけで良いそうだが、わざわざ酒を使うのは牧場長流の慈悲……らしい。


そしたらこの聖剣(ブッチャーナイフ)で一思いに首を跳ねて、血抜きをする。


後はもう3匹ぐらい捕まえて、戻ってから解体しよう。


「よし、マレスもやってみるか?」


「は、はい!」


「お兄ちゃん、私もやるね」


そういや可愛い妹もここまでの作業は教わっていたっけな。


流石に解体までは出来なかったみたいだが。


「ってペティナイフじゃ流石に厳しくないか?」


「実はお茶会の時に勇一さんに短剣を貰ってね、ちょっと切れ味を試したくて」


あいつ、可愛い妹に何を渡していやがる。


……しかし刃渡りや長さ、重量、更に見た目まで俺の聖剣(ブッチャーナイフ)とほぼ同じか。


「私も師匠と同じ形の短剣を頂きました!」


マレス、お前もか。


だが俺の技能じゃ聖剣(ブッチャーナイフ)を……見た目はまだしも切れ味までは再現する事が出来なかったからな、ここは素直に感謝しよう。





「はい、終わり」


「やった!出来ました師匠!」


相変わらず飲み込みの早い弟子だな……


そして可愛い妹の手際も見事だ。


更にあの短剣の切れ味も凄い。


「次はトングとヘラもやってみるか?」


「「遠慮します!」」


まあこれは年頃の女子としてはごく普通の反応だよな……だがカーニズで街長になるならこれぐらい出来た方がいいと思うぞ?


とりあえず2人共マイナス1、と。


「師匠!復習を兼ねてもう1匹やってもいいですか?」


「いいぞ、それが終わったら宿に戻ろう」


「お兄ちゃん、重量を減らしたいし使わない足は外さない?」


「そうだな、足は切り落として埋めておくか」


これはこれで煮込むといい出汁が出るんだがな。


だが今回はそこまでする余裕がないし、可愛い妹はその出汁で作るスープは余り好きじゃない。


出せば食べるが進んで食ったりはしない、そんな感じだけどな。






よし、戻った所で次は解体だ。


タープとマリアにキャリやベーコンも見学しているが、そんなに面白くはないだろうに。


まず羽を残さずむしり取って直火で軽く炙り、ダチョウの皮は固すぎて食えんから残らず剥がす。


アメリカではオーストリッチレザーとかいう素材としてワニ革と同じく人気があるらしいが……食えないからどうでもいい。


そしたら皮下脂肪も取り除いて、塩水で洗いつつ更に血抜きをして、と。


この作業は可愛い妹とマレスに教えながらやっているが見事な手際で手伝ってくれている。


「イチゴちゃん、こんなに出来るのに何で普段はやらないの?」


「私はお肉より甘い物が好きだからね……今回はどうしても食べたいから手伝ってるけど」


ラズベリーソースにワイン煮込みだろ、解っているさ。


イチゴとレモンのワインはちゃんと用意したし、ラズベリーも充分な量を買ったからな。


なお、トングとヘラは途中で血の臭いが気持ち悪いとか言って吐いている。


肉料理を好むというカーニズで肉の解体から目を反らすとは……マイナス1、と。





ふぅ、各部位に別ける作業も無事に終わった。


ランプ肉は明日の夕飯だが他は明後日の夕飯、そしてむね肉は更なる血抜きをしてから仕込みをしてトゥール様にも捧げなくてはならん。


「た、大変です!街長がヴィガンの連中に襲撃されてます!」


やけに静かだと思ったら、今回はそっちに行きやがったのか野菜狂信者め!


しかしトゥール様との取引もあるし放っておく訳にもいかん!


「マレス、肉を部位別に分けながら塩水に漬けて見張りを頼む!それとベーコンはキャリ達を守れ!」


「解りました!」


「ナー!」


「切羽詰まってもバーベキューの事をないがしろにはしないお兄ちゃん、本当に尊敬するよ」


何を言う、バーベキューは大事だが流石に家族を一番に考えているぞ。





「動くな!こいつがどうなってもいいのか!」


居た……8人ほど倒れていて、内3人が野菜狂信者だな。


そしてアンカーを人質にしているあいつは本当に、何度目だよこの野郎。


ノルマの邪魔になるからたまには留守番でもしやがれ。


「苺心、俺が奴の注意を引くからこっそりと背後に回って……全力でぶん殴ってやってくれ」


「オッケー」


よし、行くか。


「よう、久しぶりだな野菜狂信者」


「貴様は……またか!また我等の邪魔をするのか!」


「それはこっちの台詞だバカヤロウ、俺の行く先々で楽しいバーベキューを邪魔しやがって……何の恨みがあるってんだ」


「恨みなら貴様に遭遇した数だけあるわ!」


そりゃ遭遇しただけ肉や魚をおみまいしているからなぁ。


でも全てはトゥール様の指示なんだから仕方ない。


「で、狙いはスプリンなんだろうが……トゥール様はスプリンより早く走れるらしいぞ?」


「何……だと!」


まあ実際は走るより早く移動できるからって転移をするだろうけどな。


何なら空を飛んで移動するかもしれん。


「……【雷】!」


「ゴフゥッ!」


よし、可愛い妹の一撃が野菜狂信者の後頭部に入ったな。


しかし雷って……確か使えるのは風じゃなかったか?


「この前モモちゃんと組手した時に使える様になって、後は拳から炎も出せるよ」


つまり可愛い妹の拳からは風と電流と炎が出せる、と。


風と炎はバーベキューには便利そうだが……段々と人間離れしている様で複雑な心境だ。






さて、倒れてる奴等もふん縛って起こしたら食事の時間だ。


ダチョウはまだ食える状態じゃないから、同じ鳥の肉という事でバッファローウィングを作ってやった。


簡単に言うと素揚げしてから大量のチリソースや唐辛子で味付けした手羽先だな。


これは俺の好物にして、ダチョウのマリネソテーに使う為にとトゥール様に頼んだチリソースがある今しか作れない料理だ。


本当なら明日の酒のツマミにしたかった料理だがまあ仕方ない。


特に毎回現れるこいつは唐辛子マシマシで食わせてやる。


……それにしてもギャラリーが多いな。


「アンカーと、ギャラリーの中で力に自信がある奴もこれを食わせるのを手伝ってくれ……連中の口をこじ開けるだけでいい」


「ふむ、いいだろう」


「ふがっ!熱っ!辛っ!」


なお、トングとヘラは可哀想だと言って目を反らしている……マイナス1。


ここまでマイナスしかないんだが、本当にこれで多少はマシな部類なのか?


「師匠!追加の手羽先が揚がりました!」


「このハーフの娘は本当にペスカタ産まれなのか?そこらの純血ダークエルフより遥かに優秀なのだが……今すぐ後任として引き継ぎして欲しい」


そりゃ優秀だろう、俺の一番弟子だからな。


マレスを街長にした方がいいんじゃないかという意見には同意するが、肝心のマレスは肉より魚が好きだから諦めてくれ。


「おっと折角だ、手伝ってくれてる皆さんやギャラリーの皆さんにも塩コショウを振って配ってやれ」


「解りました!」


ってあの2人は手羽先に手を出そうともしないのか。


……何か引っ掛かるな。

美味しいですよ、バッファローウィング

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