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64 街長の苦悩・モンキーバナナ添え

あれから2日も掛かったが何とか全てのベーコンに焼き印を押せた……


いや、自分で作っておきながらアレだが溜め過ぎだろ。


まあ生活の為だから仕方ない。


そんなこんなで次はスプリン……ダチョウをバーベキューにしようとやって来たぜカーニズ!


「おお、ここがスプリンの現れる所か」


「うわぁ、何だかあの牧場によく似てるね」


一面の牧草に牛や豚が水を飲む為の溜め池、樫の木……ドングリが実る木々、確かによく似てるな。


牛や豚に羊はのびのびと歩いて鶏やひよこは木から木へと飛び回っているし、少数ながら馬も放牧されている。


……本当に、何で鶏やひよこが空を飛ぶんだか。


「ンナー」


「ベーコン、キャリから離れちゃダメ!」


……さては飛んでるひよこを狙うつもりだったな。


「ベーコン、ニワやひよこを狙ったら1週間ベーコン抜きだぞ」


「ンナッ!?」


とりあえず俺の言ってる事は通じてるだろうし、これで暫くは大丈夫だろう。


もし逆らったら本当にベーコン抜きにするだけだが。


さて、まずは宿を確保しないとならんな。


辺りを見渡せばロッジ風の建物や藁を重ねたテントらしき物が幾つかあるが……


「この辺りは街長が認めた相手以外との取引を禁止されている、だからまず街長に会う必要がある」


独裁者か何かなのか?


ロリババアはその辺が色々と緩かったが……ああ、だから仲が悪いのかもしれんな。





「よく来たな、私が街長のアンカーだ」


何だこのダイナマイトバディなダークエルフは……出る所は出て絞る所は引き締めている、まるでグラビアに載ってる様なプロポーションだ。


しかも金髪青眼、この世界のエルフって野菜狂信者以外は銀髪青眼だと思っていたんだが。


それにしても豚まんを2つ重ねたぐらいにデカいな……可愛い妹を始めとして嫁や弟子、他諸々がまな板なせいか新鮮に見える。


例外と言えばサーマぐらいだが、あれはバストじゃなくて大胸筋だしなぁ。


「貴様の事はマントルと姉から聞いている、目的はスプリンの肉でいいのか?」


マントルって領主じゃねぇか。


そりゃ領主は普通の人間だし確実に年下だろうけど呼び捨ては不味くないか?


「ん?そういや姉って?」


「族長の事、似てないけど彼女は族長の、れっきとした妹」


あのロリババアの妹……だと!?


え、逆じゃないの?


待てよ、って事はあの金髪やダイナマイトバディは間違いなくダニエルさんからの遺伝だな。


そこだけは納得した。


「えっと、スプリンの肉を料理しても構わないでしょうか?」


「スプリンの卵に手を出さないなら他は絶滅させない範囲でどうしようと構わん、好きにしろ」


良かった、これでマリネソテーとネックの煮込みを作れる。


最悪トゥール様をソース味の何かで降臨させて説得して貰う事も検討していたんだがな。


「……貴様もこの髪を見て何も言わんのだな」


「まあ、金髪なら知り合いにも何人か居るし娘もそうだからな」


「ふん、変わった奴だ」


否定はしないが態度悪くね?


ロリババアの妹と聞いてなかったら一撃入れ……返り討ちに合いそうだし無理か。





さて、ダチョウを料理する許可と一緒に買い物や宿の利用をする許可を貰った所で……


「お兄ちゃん、これ間違いなくモンキーバナナだよ!」


「パパー、これ甘くて美味しい!」


可愛い妹と娘に嫁達がモンキーバナナに舌鼓を打っていやがった。


だがバナナは栄養があるし下手なお菓子を食べるより健康にいい。


さて、他には何か……


「お、これはラズベリーじゃないか」


「ラズベリー!?」


ラズベリーはスイーツに使えるのは勿論だが、ステーキソースにしても美味いんだよな。


可愛い妹は特にあのソースが好きで牧場に来る度にねだっていた。


思い出したら久しぶりに牧場長直伝のラズベリーステーキソースを作りたくなってきた。


「お兄ちゃん、確かダチョウにもランプ肉はあるんだよね?」


「安心しろ、ラズベリーがあるならダチョウステーキは確実に作る」


これはキャリも気に入るだろうし、むしろ作らない理由がない。


何より俺が食いたいからな。





買い物を済ませて宿に入って……明日からダチョウを捕まえる為の準備をせねばならん。


なので今夜は酒と夜の営みは我慢して早く寝なければなるまい。


まあ1部屋しか借りられなかったからどの道夜の営みは不可能だが。


最中にマレスやキャリに見られたりしたら説明が面倒だし。


(コンコン)


ノックの音……ってこんな時間に誰だ?


俺以外の全員は風呂に入っているから仕方ない、出るか。


「はい、どちら様で」


「おい貴様、一杯付き合え……ヒック」


このマントでも隠し切れていないダイナマイトバディはアンカーか、って街長がこんな夜中にコンビニ行く様な気軽さで、かつ酔っぱらいながら来てんじゃねぇよ。


とはいえこのまま追い出すとダチョウをバーベキューに出来なくなる可能性がある……仕方ない、程々に付き合ってやるしかないな。





「私はな……もう500歳だというのに未だに独身なんだ!あんな子供みたいに小さい姉が3回も結婚して子供が3人もいるというのに!私は男と手を繋いだ事すらないんだぞ!」


いや知らんがな……俺が飲む前から出来上がってんじゃねぇか。


仲が悪いとか言ってた原因はそれだろうが、こればかりはなぁ。


ってロリババア、子供が3人も居たのかよ!


「私だって幸せな結婚生活を送りたいのに!この髪がヴィガンの連中に似てるってだけの理由で、誰からも……姉の街に居るDT爺からすら求婚されなかった、この気持ちが貴様に解るかぁ!」


こいつメッチャ面倒臭ぇぇぇ!?


見た目は確かに美人だがそれを帳消しにしかねん性格や態度の悪さではなく、ただ金髪に生まれただけでそれか……例の掟がありながら、かつあの爺さんですら避けてる辺り野菜狂信者がどんだけ嫌われているかは伝わった。


それとテーブルに突っ伏すのは止めろ、胸元を強調する様な服の隙間から豚まんの先端に付いたチェリーがチラチラと見えてるから。


ってか嫁達との行為中ですら毎回邪魔をする湯気と謎光線はこういう時にこそ仕事しろや!?


「……グスン、そんな私にもようやく出会いがあったというのに、つい先週に告白もされたのに、相手が領主なせいで結ばれる為には、私が街長を辞める必要がある!どうしろと言うんだぁ!」


相手ってあの領主かよ……先週って事はロリババアからチーズを受け取った足で寄って告白したのか?


だがあの領主は間違いなくいい男だし、確実に相手は幸せになるだろう。


ってそんな相手が居るなら今日初めて会った俺に絡んで、あまつさえ豚まんの先端を見せてんじゃねぇよ!


こちとらタープやマリアのは未だに見れていないというのに!


っと、いかんいかん……冷静にならねば。


「まあ、客観的な意見を言うなら街長を辞めた方がいいんじゃないか?」


「……後任を任せるに値する人材が居ない、下手な奴に任せたらヴィガンの連中の言いなりになる可能性があるし、肝心の仕事を出来ない奴に任せる訳にもいかん」


後任か……それは確かに重要だ。


必要なのは野菜狂信者をはね除けられる奴、かつ仕事の出来る奴か。


「……その理屈だとお前の姉は仕事が出来て野菜狂信者をはね除けられる奴という事になるんだが?」


仕事に関してはマリアから値引きするとか、納得できなくはない部分はあったが。


「姉はあんな見た目と性格をしているが、ヴィガンの連中を魔力で叩きのめせるぐらいには強いぞ?」


……マジで?


もしかしてあのロリババアはゲームなんかで良く見る、見た目は子供の大賢者とかそういうタイプだったのか?


でも魔力で叩きのめすってどうやるんだろうか……気になるけど聞くのが怖い。


「というか姉はどうでもいい、貴様に頼みがある……任せるに値しない中でも少しはマシな奴が2人だけ居るのだが、どちらが後任に適しているかを見定めてくれ」


「あのな、俺はバーベキュー以外に能がないただのピットマスターだぞ?そんな大事な人事を今日初めて会った様な奴に任せていいのかよ」


「構わん、それで街が滅ぶならそういう運命だったというだけの事……それで貴様を恨みはせん、私の幸せの為の些細な犠牲という奴だ」


色々と拗らせてやがるな……後任を決めると言ったり滅んだら些細な犠牲とか何か矛盾してね?


だが気持ちは解らんでもない。


そもそも俺はダニエルさんの子孫の頼みを無下にする気はないし、この態度が悪過ぎるアンカーはあの領主を逃がしたら絶対に結婚が出来んだろう。


加えて人となりを見るなら今回の獲物はある意味丁度いい。


「明日からスプリンの捕獲に入るから、その2人を俺達に同行させろ……3日で答えを用意する」


「解った、明日から3日だな」


だがあくまでも参考程度に聞いてくれよ……それ以上を求められてもどうにも出来んから。


「時に貴様、全然酒を飲んでいないではないか……もっと飲め」


いや、タダ酒とあれば飲むが……お前はまず着ている服を正せ。


はだけすぎてほぼトップレスになってるから!


こんな所を嫁に見られたら絶対に誤解されちまうから!

ぼかし加工を寒いギャグ?に変換するスタイル

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