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62 ベイクドビーンズ・ローストポテト添え

甘酢漬けのショウガ……いざ作ると決めたのはいいが俺は肝心の甘酢漬けの作り方を知らないのを忘れていた。


ダニエルさんのレシピには既製品の名前しかないし、ジョニーさんも知ってるかどうかは微妙……


俺はピクルスなら作れるがレシピだと「ピクルスの酢を使うのは止めておけ」と書いてある。


当然ピクルスがなかったこの世界に甘酢があるとは思えんし、後は可愛い妹に聞いてみるしかない。


「甘酢漬けのショウガっていわゆる【お寿司のガリ】でしょ?作れるけど何に使うの?」


本当に知ってるとは思わなかった……


もしかして名前に甘って付いていれば何でも知ってるんじゃなかろうな?


いや、助かったけど。


「ダチョウのマリネソテーを作るのにショウガを漬けた後の甘酢が必要でな……」


「あ、成程ね……ダニエルさんのダチョウソテーを作るんなら協力するよ」


良かった……今回は何事もなく作ってくれる様だ。


最悪ハチミツ1キロは覚悟していたがこれは言うまい。


後から請求されても困るし。


「その代わり、明日の夕飯はスコッチさんのベイクドビーンズが食べたいな」


スコッチさんのベイクドビーンズ……ああ、大量のインゲンマメを甘いトマトソースで煮込んだアレか。


そういやダニエルさんのピットでは肉以外の主食は基本的にチーズバーガーが出ていたが、ジャガイモや豆を中心としたサイドもあった。


可愛い妹は特にそのベイクドビーンズを好んで食っていたっけな。


甘味命でありながらケチャップやトマトソースの作り方を知ってるのもそのベイクドビーンズの影響だろう。


「この世界ってインゲンマメはあったっけか?」


「白いのと黄色のインゲンマメならあったよ?」


黄色いインゲンマメなんて聞いた事がないんだがそれは……


まあ、魚と同様に味は変わらんだろ。





という訳で明日食う為のベイクドビーンズを作ろう。


今日の夕飯はマレスに丸投げしてしまったが、これは手間が掛かるから仕方ない。


まず肝心の豆は水に一晩浸して柔らかくして、と。


スコッチさんは白インゲンマメ7、黒インゲンマメ2、鞘から剥いたばかりのインゲンマメ1という分量で作っていたが生のインゲンマメは見掛けなかったからな。


今回は白インゲンマメだけで作る事にしよう。


黄色も気になるが試すのは今度にする。


次はトマトソース、タマネギのみじん切りと叩いて潰したニンニクをバターで炒めてからイチゴのワインで煮込む。


アルコールが跳んだら潰したトマトとざく切りにしたタマネギを大量に入れて、量が半分になるまで煮込んでやる。


その頃には入れたタマネギの形がなくなる事があるが、むしろなくなった方が美味くなる。


それと別の鍋で丸ごとのタマネギとキャベツの芯でストックを取っておこう。


……よし、とりあえず出来る所は全部やれたな。


続きは明日にならなきゃ出来んし飯食って風呂に入ろう。





「ふぅ……いい湯だ」


「ンナー……」


何故かベーコンが一緒に入っているが、どうやらこいつは風呂が気に入ったらしい。


身体を洗ってやったが一切抵抗しなかった。


「普通の猫なら風呂や水場を嫌って逃げる筈なんだがなぁ」


「ンナー?」


まあ、綺麗好きなのは良い事だ。


四六時中キャリの側に居るからには清潔な方がいい。





うん、期待してはいなかったが風呂にタープやマリアが乱入する事はなかったな。


という訳で朝になったから続きを作ろう。


まずはトマトソースの中にキャベツの芯のストックを濾しながら入れて火に掛けておこう。


水に漬けてた豆をこのまま煮込んで、灰汁が出てきたらザルにあけて再び水から煮る……これを灰汁が出なくなるまで続ける。


出なくなったらこのまま冷まして、水気を切ったらトマトソースの中に入れて、塩で味付けして煮込むが……折角だからこのアマミズとかいう調味料も入れてみよう。


豆の甘味を引き出すには味付けを最小限にする必要があって、スコッチさんは塩と麦芽糖で甘味を付けていた。


というのも砂糖やハチミツではくどくなるからな、かといって麦芽糖なんてないからこいつで代用してみるが……多分上手く行く筈だ。


後はこのままソースがネットリするまで、時々混ぜながら様子を見ていればいい。


とはいえ夕飯がこのベイクドビーンズだけでは些か寂しいな。


あの時みたいにチーズバーガーでも作りたい所だが肝心のチーズがないからどうした物やら。


「ンナー!」


ってこらベーコン、そこにはジャガイモを植えてるから穴を掘るんじゃない。


「ンナー」


あぁ、まだ育ち切ってない小さいイモを掘り返しやがって……待てよ?


もしかしてこれは新ジャガみたいに食えるんじゃないか?


どの道このまま無駄にするのは勿体ないし、こいつをローストポテトにでもするか。


フライパンにオリーブオイルとベーコンと敷いて、そこに水洗いしたジャガイモを並べて塩コショウを振ったらコンロに蓋をして……暫く待つ、以上。


5分おきに様子を見つつひっくり返したりしながら45分もすれば完成だ。


後は……マレスのベーコンの出来栄えを確認する意味を込めて、いつものベーコンステーキを作っておこう。





「小さいジャガイモとお豆が美味しい!」


「やっぱりベイクドビーンズは美味しいなぁ……これってあの甘味料使った?」


うーむ……我ながら美味く出来たとは思うが食卓にベーコン以外の肉がないのは淋しい。


とはいえ今から肉を焼く時間はないから仕方ない。


「このベーコン、いつもより塩が濃い気がする」


「それにちょっと固ない?」


ふむ、見た目はバッチリだったが少し塩がキツいか……これは後日にでも酒の宛にしよう。


マレスは必死にメモを取ってるが、まずは夕飯を食ってくれよ。


「ンナー……」


「駄目だ、ジャガイモ畑を掘り返した罰だ」


今回はベーコンの取り分にベーコンは入れていない。


新ジャガみたいに使えると解ったのは嬉しい誤算だったが、悪い事をしたのは変わらないからな。


罪には罰、これは昔から決まっている事だ。


「パパ、ベーコンが可哀想!」


「いや、しかしだな……」


「パパ、ベーコンもはんせーしてるから許してあげて!」


くっ……例え可愛い娘のお願いであろうとこればかりは許す訳にはいかん!


「「「お願い」」」


「……今回だけだぞ」


可愛い娘に加えて可愛い妹と弟子にまでお願いされたら首を縦に振るしかないじゃないか!


むしろあんな潤んだ瞳の上目遣いに逆らえる奴が何処に居るんだ、って話だ。


居るなら連れて来い、割とマジで。


「「甘過ぎ」」


否定はしないが釈然としねぇ。


「まあウメオの気持ちは解らんでもないで、ワイも昔はタープのアレに逆らえんかったしなぁ」


レクタさんだけは解ってくれたか……


そして露骨にそっぽを向いたタープはこっち見ろや。

ベイクドビーンズに粉チーズとタバスコを追加すると更に美味い

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