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61 カリカリベーコン・タンシチュー添え

かなりデカいワニだったがあれだけ人数が居れば残りはしないか。


ましてやほぼ全員が大食い自慢とあれば尚更だ。


一応捌きながら舌の確保はしたが、まあ夕飯か酒のツマミで無くなるだろう。


「では此方からは梅干しとソース、種麹……後は何か希望がありますか?」


とりあえず、帰る前にいずれ行う物々交換の品物をあいつや桃花と確認をしているが……


いかんな、確認すればする程ほしい物が増えてしまう。


「あー、あの猿が使ってた炭酸水とパイナップルはあるか?」


「炭酸水はデストさんが作る重曹が必要ですからそちらに、パイナップルは残念ながらありませんね」


「重曹なら幾らか用意してあるから少し分けてやるよ、炭酸水の作り方は妹さんの方に教えとくぜ」


パイナップルはないか……まあ仕方ない。


って炭酸水は作れる物とは知らなかった。


「こっちからはベーコンとカボチャにアンチョビ……他に何かあるか?」


「出来ればキャベツと紫芋が欲しい所ですが」


「後は鰹節があるなら欲しい」


「それならどっちも用意が出来るな」


ついでにリボベジの注意点なんかも教えておくか。


売る程作るのは大変だが家族で食うぐらいなら片手間でもイケるだろ。


「えっと後は……」


「あ、私ヒュドラさんから聞いた砂糖でもハチミツでもない甘味料っていうのが欲しい!」


「ああ、アマミズですね……それなら1瓶あるから差し上げますが味見してみますか?」


甘味料……確かセバスさんも言ってたアレか。


お、確かに甘いけど砂糖と違って後味がスーッと消える……いいなこれ。


「因みにこのアマミズは砂糖に比べると糖度が半分ぐらいで、茶会のアイスクリームとプリンもこれを使いましたよ」


やけにスッキリしてると思ったら糖分が少ないからだったのか。


あれだけ甘味を食っても胃もたれしなかった事を考えるといい調味料だな……気に入った。





「それではまた、物々交換で会いましょう」


「次はサシで飲もうぜ」


「おう、またな」


ふぅ、帰って来れたな。


ほんの一泊二日だった筈なのに随分長くあそこに居た様な気がするぜ。


「お疲れさんやったな、兄ちゃん……で、夕飯は何にするん?」


「あのトゥール様、何でまだここに?」


「そんなん、兄ちゃんが抱えとった肉が気になってしゃあないからに決まっとるやんか」


バッチリ見られていたか……やはり食い物に関しては目ざといな。


これは俺のツマミにしたかったんだが仕方ない、1塊しかないから添え物程度だが出すしかないな。


あ、どうせなら夕飯は舌に拘ったメニューにしてみるか。


「マリア、ウシの舌を大量に用意してくれ」


「それならすぐに用意出来る」


「タープはタマネギを大量に用意してくれ」


「りょーかいや」


「苺心はジャガイモとトマトを頼む」


「はーい」


さて、コンロに火を入れておくか。


……むぅ、何故か今回は中々火がつかんな。


もしかして海風で炭が湿気ったのか?


こういう時は紙や着火材に火を着けてから炭の下から上へ向ける様に風を送ってやるといいんだが……車に団扇でもあったかな?


「ベーコン、お願い!」


「ンナー!」


って、何か足元からコンロに向かって強い風が……あ、火が着いた。


「……もしかして今の風はベーコンが?」


「うん!ベーコンは風の魔法が使えるの!」


そういや桃花の旦那の……確かロウって奴の頭に乗ってた猫も水の魔法が使えたな。


炭火を興すなら風は有難いが危険な真似はしない様に注意しないとならんな、まあでも今回はいいか。


正直助かったし。




よし、材料を揃えた所で始めるか。


作るのはいわゆるタンシチュー、牛タンをどれだけ柔らかく煮込めるかがポイントだな。


まずウシの舌は皮を剥いでから正方形になる様にカットして、すりおろしたタマネギで漬けておく、と。


その間にウシの骨を焼いて、出汁袋に詰めたら刻んだタマネギと一緒に煮込みつつ皮を剥いたトマトを潰して……


夕飯まで余り時間はないしドビソースは作れんが、近い物なら何とかなる。


出汁が採れたら骨は取り出して、タマネギを追加しながら塩コショウ、ガーリックパウダー、ジンジャーパウダー、パプリカパウダー、醤油、コメ酒、イチゴのワイン、ソースで味付けだ。


これはこのまま煮込みながら……水とコメ酒を1対1で割って塩を加えたら火に掛けて、タマネギに漬けていたウシの舌を湯がいて表面を白くする。


水気を切ったら直火で炙り、焼き色を着けてスープの中に入れて煮込む。


最後に6当分にしたジャガイモを入れたら潰したトマトも入れて、味を調節したら夕飯まで煮込み続ければいい。


「お兄ちゃん、言われた通りにバターも加えた生クリーム作っておいたからクーラーボックスで冷やしとくよ」


「おう」


煮込むのはマレスに頼んで次はワニの舌だが……大勢に分ける必要があるからなぁ。


よし、皮を剥いたら極薄切りにしてコメ酒を沸騰させたらしっかり湯がいて、と。


水気を切ったらタマネギの極薄切りを水に晒して和えて、塩コショウとレモン果汁で味付けする。


ワニの舌は歯応えが凄いし旨味もある、これなら少量でも満足するだろ。


後は何かベーコンを使った何かを出さないとタープがすねるからな……


あ、今まで作ってやった事がないカリカリベーコンでも出してやるか。


フライパンに薄切りのベーコンを並べて焼いて、ベーコンから出る脂で揚げる様にするとカリカリとしたベーコンが出来る。


これはスクランブルエッグなんかと相性がいいんだが卵は高いから諦めよう。


代わりにオヤッサンから貰ったキュウリを野菜スティックにして、一緒にコップに差しておこう……これなら見栄えもいいだろ。


おっと、余った脂が勿体ないしこれでフライドポテトでも作って出すか。


ジャガイモをくし形に切って揚げて塩を振るだけだがこれが美味いんだ。





よし、晩飯の時間だ……


タンシチューは皿に盛ったら可愛い妹の作った生クリームを垂らして、仕上げに乾燥パセリをふりかけて、と。


「これがアリゲの舌……こんなに薄いのに、コリコリとした歯触りで美味しい」


そういやキャリとマリアにマレスは留守番してたからワニの舌を食ってなかったんだった……


その内カーニズで害獣扱いされてるとかいうクロコダイルを捕まえて丸焼きにして……いや、あれはトウモロコシが必要になるから無理だな。


まあ穴埋めは後々考えればいいか。


「煮込んだウシの舌はトロトロやんか……美味いわぁ」


「カリカリしたベーコンもイケるで」


おいタープ、ベーコンだけじゃなくてキュウリも食え。


可愛い妹もキュウリだけじゃなくてベーコンを食ってくれ。


「ナー……」


「ん、ああ……お代わりが欲しいんだな」


こいつはタマネギたっぷりのタンシチューを平然と食っていやがるが……元居た世界の猫と違って何を食っても平気だと女神様達が声を揃えて言ってたから同じ物を食わせている。


そしてこいつも俺の作ったベーコンを気に入ったらしい。


……ベーコンを食うベーコンって、文字にしたら意味不明だな。


って可愛い妹とタープがキュウリとベーコンを入れ替えていやがった……まあ今日ぐらいはいいか。




「んで、兄ちゃん等は今後どないするつもりなん?」


「とりあえずスプリンとかいう鳥をバーベキューにして……羊を料理してその次はトビバスですかね」


「おー、スプリンはマリネして焼いたら美味い鳥やな!ほなそん時はウチも行くからちゃんと用意しとってな」


マリネして焼く……成程、ジョニーさんに貰ったダニエルさんのレシピにあったアレか。


トゥール様の希望とあらば作るしかないし、俺もどんな味か気になるからな……


ネックはワイン煮込みにすると決めていたし、作る物は決まった。


あ、あのレシピを再現するにはショウガの甘酢漬けが必要になるから作っておかねばならんな。

牛タンネギ塩を肴に飲む一杯が堪らない

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