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56 次の目的・グリルバナナ添え

ふぅ、夕方になってようやく吐き気が治まった。


毎度の事だが何でこうなると解っていながら飲み過ぎてしまうのやら。


だからって酒を辞めるつもりは一切ないが。


「そういえば、ヴィガン族の次の目的って何だったの?」


「えっと、来月カーニズ領に現れるスプリンって鳥が目的らしいよ」


そういやまだマリア達には言ってなかったか。


しかしスプリン……解らん。


「スプリンは鳥の中では唯一空を飛べない、でも身体は大きくて走ると馬と同等に早い、肉はイマイチだけど卵が大きくて美味しい」


馬並に走れて卵がデカい鳥……ああ、ダチョウの事か。


でもダチョウの肉は普通に美味いんだがなぁ。


「確かダチョウは解体に失敗すると血の臭いがキツくて食べれなくなるんじゃなかったっけ?」


ああ……思い出した。


俺が初めて解体したダチョウはストレスを与え過ぎたせいで血が溢れるわ肉は固くなるわで処理に困ったんだった。


何せ失敗した肉はカラスや野良犬すら避けてしまうぐらいだ。


「まあ、今ならストレスフリーで絞める事は可能だけどな」


牧場長から徹底的に仕込まれたし、少なくともワニよりは簡単だ。


何なら少量のアルコールを用意すれば誰でも美味い肉を取れる。


「でもダチョウかぁ……あのネック肉をカレーやワイン煮込みにすると美味しいんだよね」


ネック、いわゆるダチョウの首は大量のコラーゲンが詰まってるからな。


焼いても充分に美味いがあの独特の食感を活かすなら煮込みの方がいいだろう。


「だがこの世界ではカレー粉が手に入らんからな……トゥール様も加工食品やこの世界で採れる物で再現出来ない物は駄目だと言っている」


マヨネーズや一部の香辛料は作ろうと思えば作れるんだろうが、俺がやると上手く行かないので買い出しをお願いしているだけだ。


カレー粉ならもしかしたら再現が可能かもしれんけど、俺はスパイスの分量とか一切知らんからな。


とはいえ数多くの迷い人がやって来た筈にも関わらずカレーがないという事はこの世界の材料では作れないと見て間違いないだろう。


「仕方ないか……でもワイン煮込みは期待してもいいよね?」


ブドウのワインはないがイチゴとレモンのワインでも大丈夫だろうし、ワイン煮込みは作ろう。


だがまずは来週に迫った女神達のお茶会を片付けないとな。





そんなこんなで夕飯を食いながらお茶会に参加する者の確認だ……まあ俺と可愛い妹は確定だけど。


因みに夕飯はマレスの作ったローストビーフのカルパッチョだった。


……酸味の効いた味噌ダレが意外と肉に合ってるが、ゴマの風味が欲しくなる味だな。


この世界にゴマはないらしいが。


「所でキャリちゃん、これレアのお肉なんだけど大丈夫なの?」


「うん!お肉のオサシミ美味しい!」


そういやキャリは生肉やレアに焼いた肉が苦手だった筈なのにバクバク食ってるな……刺身は平気で食ってたけど。


「師匠が留守の間に習ったローストビーフを作って、それをお肉のオサシミって教えたら沢山食べてくれまして……スミマセン」


「いや、良くやってくれた」


どうしても食えないなら仕方ないにしろ好き嫌いはないに越した事はないからな。


明日はレアのステーキを出してみるか、無理そうなら改めて焼けば済む。


「……って訳で来週、俺に同行するのは?」


「ウチは行くで」


「私も行く」


「キャリも行くー!」


「勿論、私も行くよ」


「今回は私も行きます!」


「ワイは遠慮しとくわ……女神様達、それも4神と対面したら精神が持たへんで」


つまりレクタさんだけが留守番か……まあ神職だしな、女神様に頭が上がらないというのは解る。


同じ神職の筈のタープは行く気満々だが……まあいいか。


「それで、何を作るかは決めたの?」


「最初はパエリヤとステーキでも作ろうかと思ったんだが、あの猿のお陰で火が着いたからな……猿でも食える物も作ろうと思う」


既に必要な物はトゥール様にお願いしてあるし、後は当日を待つだけだ。


……しかしマレスの作ったマリネの時もだったが、我ながら単純な性格してるよな。


改める気は一切ないが。


「そんでな、猿でも食えるっちゅーもんが気になってしゃあないねん……材料は持って来たから作ってな」


「本当に唐突ですねトゥール様……いや、作るのは構いませんけど」





うん、いい感じに熟してるバナナだ。


「苺心、リンゴでジャムを頼む……レモン果汁は使わないでな」


「はーい」


まあ作り方は至極簡単だ……バナナは皮を剥かずに丸ごと直火で焼く。


皮が真っ黒になったら剥いて、リンゴのジャムを塗って食べる、以上だ。


これは前から持っているダニエルさんのレシピにあったデザートを参考にした。


レシピだと同じ様に焼いたバナナにチョコレートソースを掛けていたが、食わせたいのは猿だからな。


チョコよりはリンゴの方がいいだろう。


「甘っ!何やこの果物、メッチャ甘いやんか!」


「ホクホクでネットリしてるけど不快じゃない、リンゴの酸味にも合ってる」


大抵の果物は熱を通すと酸味が際立ったり、苦味が出たりするんだがバナナにはそれがない。


しかもバナナに含まれる栄養は熱を通しても殆ど変化しないという凄い奴だ。


「このバナナっちゅー果物はウメオのおった世界にしかないんか?」


「カーニズにはこの半分ぐらいの大きさだけど似た物がある、だけど採って2日で腐るから現地でしか食べられない」


半分ぐらいの大きさって事は……いわゆるモンキーバナナか。


小さい分だけ甘味が強いのが特徴だけどそんなに腐りやすかったっけか?


「この世界だと冷蔵とか冷凍はなさそうだし、その差じゃない?」


何か別の理由がありそうな気がしてならないが、一先ずそれで納得しておくか。


どの道来月にならなきゃ行けないし確認しようがない。


「そういえば、スプリンが出るのもその果物がある場所……だけど族長とは管轄が違う所か、その街の長と仲が悪いから余り力にはなれない」


マジか……マリアの人脈にはかなり助けられていたが、その時は自力で何とかする必要がある、と。


しかしあの人懐っこいロリババアと仲が悪いって……全く想像がつかんな。

バナナを焼く時は手早くしないとすぐに崩れる

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