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50 思い出のビーフシチュー・マカロニサラダ添え

ワニを焼くまで後13日……今日のノルマとベーコン作りの前に夕飯で食うビーフシチューの用意をしよう。


何故かって?


この料理は時間が掛かるからだ。


さて、まずはコンロに火を入れてっと。


「あ、お兄ちゃん手伝うよ」


「苺心……って珍しいな」


「お兄ちゃんの事だからあの時のビーフシチューが食べたくなったんじゃないかって思って……私も食べたいし」


流石は俺の可愛い妹……お見通しか。


「ケチャップと生クリームに専用のバターは私が作るから、他はお兄ちゃんね」


「おう」


よし、まずはコンロで半分に割った牛骨とステーキサイズにカットしたスジ肉をじっくりと炙って……


これ等と大量のタマネギを出汁袋に詰めたら弱火でゆっくりと煮込むんだが、これが時間かかるんだよな。


牧場長のボランティアを手伝わされた時は前日の夕方から泊まり込みで煮込んでたけど、今回はそこまで時間を使えん。


沸騰し始めたら潰したトマトを加えて更に煮込んで……ここから大体3時間って所だな。


「あ、そういや朝飯は……」


「マレスちゃんにお願いしておいたよ」


なら大丈夫だな。





うん、いい出汁が取れたな。


こいつを濾したら鍋に戻して、再び弱火で煮込むぞ。


「はい、ケチャップは出来たから入れちゃうよ」


「よし、頼む」


牛骨の出汁にケチャップ、それと醤油にトゥール様から貰ったソースを加えてビーフシチューのベースとなるドビソースは出来上がった。


ここにペスカタで買ったイチゴのワインにコメ酒を加えて更に煮込みつつ……塩コショウとパプリカパウダー、ジンジャーパウダーで味付けして、と。


「よし、次は具の用意だな」


丸1日掛けて煮込む余裕はないから柔らかさ重視でウシのランプ肉、それにタマネギとジャガイモ……後はひよこ豆っぽい豆の水煮を使う。


本当ならニンジンとブロッコリーも欲しかったがこの世界だと高いしな。


ブロッコリーに関しては存在してない可能性がある。


まあいい、ランプ肉は1口大にカットしたらフォークで刺して直火で炙ってから鍋に入れる。


タマネギは頭と根を取って4等分、ジャガイモは皮を剥いてから6等分にして、豆はそのまま突っ込んで煮込めばいい。


後はこのまま半日掛けて小まめに灰汁を取りながら煮込んで、皿に盛ったらバターを落として生クリームを垂らせば完成だ。


長時間煮込む内に豆以外の野菜が溶けて消える場合もあるが問題ない。


何なら溶けて消えた方が美味いぐらいだ。


因みにランプ肉ではなくバラ肉で作っても美味いが、ベーコン用を使う訳にもいかんしな。


俺の唯一と言っても過言ではない収入源だし、何よりマリアに怒られる。


ついでに言うとビーフシチューをベーコンで作ると確実に胃もたれする……タープとマリアなら平気だろうが。





「所でお兄ちゃん、ベーコンがないと約3人が怒るんじゃないの?」


あ、うん……俺の嫁2人と可愛い娘は確実にキレるよな。


「この前のBLTサンドも作るか……でもあれは作ったばかりだし」


「ならアレは?このビーフシチューと一緒に出してたマカロニのサラダ」


「おお、それがあったか……よし作ろう」


「灰汁取りと継ぎ足しは私がやっておくね」


ならば可愛い妹に一任して副菜作りに取り掛かるか。


ジョニーさんに設計図を書いて貰いながら頼まれて作ったパスタマシンだが、試運転という名目で使わせて貰おう。


それと新品の洗濯板もどきに鉛筆ぐらいの太さの麺棒を用意して、と。


洗濯板もどきというのは暇を見繕ってはチマチマ作っていたマカロニ用のまな板で、正式な名前を知らんから俺はこう呼んでいる。


薄く伸ばしたパスタ生地を正方形に切ったらそれに乗せ、溝から見て40度ぐらい傾けて手早く麺棒で巻いてやるとベンネというマカロニになる。


綺麗に作るコツは纏めてやらずに1つ1つ丁寧に巻く事だ。


時間は掛かるがこうしないと美味いマカロニにならんからな。


後は塩を効かせた大量のお湯で茹でてやって、くっ付かない様にオリーブオイルをまぶして冷ましておく。


次はベーコンとジャガイモを賽の目に切って、ベーコンはフライパンで脂を出し切るまで炒めてやる。


そして溜まった脂でジャガイモをカリカリになるまで素揚げして脂を切りながら冷ます。


最後に皮を剥いたリンゴも賽の目に切って、ベンネとベーコン、ジャガイモと一緒にボウルに纏めて……粒マスタードとマヨネーズに塩コショウ、乾燥パセリにレモン果汁を混ぜてやれば出来上がりだ。


例のボランティアではリンゴじゃなくてパイナップルを使っていたがこの世界にはないからな……


仮にあっても高いだろうし、種を入手したって南国並の気候じゃないと美味くはならんらしいから諦めるしかない。


尊敬するダニエルさんはよくパイナップルを使っていて、あのレシピ本にもパイナップルを使った料理が多くあるんだが……まあ仕方ない。


何なら桃花の世界から物々交換するって手もある、確か炎の女神が創った世界とか言ってたし南国並に暑い可能性は充分にある筈だ。





よし、ノルマとベーコン作りは終わったし……夕飯の時間だ。


今回は久々にトカゲを出さないからレクタさんも一緒に食う。


本当に効き目が抜群だからなアレは……レクタさんは知っていたらしく別の物を食ってたが。


「何やこの肉……噛む前から口ん中で溶けてもうた!」


「このスープ、パンを浸して食べると美味しい!」


「久しぶりのマカロニサラダが美味しいな」


「リンゴ入ってるのが美味しい!」


うん、家族の受けも上々だな。


手間が掛かり過ぎるから滅多に作らんが……次は1晩かけて煮込むのもアリか。


「ホンマに美味いやんか、豆と肉多めでお代わり頼むで!」


「あ、私にもお願いします」


「せめて食べる前に一言下さいよ、トゥール様と……ハイドラ様でしたっけ?」


いや、確かにベースのドビソースにはトゥール様のソースも使ったが……これもアリなのか?


まさか目玉焼きにソース1滴垂らすだけでも来るんじゃなかろうな?


「そんなん言われてもなぁ……兄ちゃんの料理が美味いのがアカンのやで」


「このマヨネーズ味のサラダも美味しいですね」


「え、俺のせいなんですか?」


何で美味い物を作って攻められねばならんのだ……解せぬ。


ってかハイドラ様、そのマカロニサラダは俺の取り分です。


それとレクタさん、女神が2(ふたり)も居る状態で祈りたくなる気持ちは解りますけど飯の最中は止めてくれ。





「今回はこのビーフシチューが美味そうやったんもやけど、兄ちゃんとイチゴちゃんに頼みがあってなぁ」


俺と可愛い妹に頼みがあると申しましたか?


……まあ、確実にバーベキューの依頼だろうな。


「来月にウチ等女神の同僚が集まって茶会をすんねんけど、そん時は眷属か原住民がお菓子や料理をその場で作るんが決まりなんや」


成程、その料理を俺が……お菓子は可愛い妹が作ればいいんだな。


「先に言うとくけど炎のトゥグアはキュアちゃんを、地のツァトゥはデストを連れて来るゆーとったで」


「あ、モモちゃんも来るんだ……絶対行く!」


デストって確か桃花の転生した世界であいつが名乗ってる名前だったか……


物々交換より先に会う機会を得られるとは思わなかったが、可愛い妹も行く気満々な以上断る理由がない。


「ってセバスさんでなくていいんですか?」


「あー、イグはこの前無理矢理休みを作ったらしくてなぁ……当日は休めへんそうや」


マジか……それは大変申し訳なかったな。


再会の折には塊のベーコンと牡蠣のオイル漬けを渡そう。


「その茶会とやらにはこのコンロを持ち込んでも?」


「構へんよ、それと食材なんかは此方で用意するさかい、前日までにはメモっといてな……それと家族の同伴は可能やからタープ達も連れてきてええで」


よし、言質は取ったぞ。


タープとマリアにキャリも茶会と聞いて興味津々らしいし、1食分の手間が浮く。


まあ、その時は無難にパエリヤとステーキでも焼くか。


「それで……ハイドラ様は何でまたここに?」


「いえ、私が連れて行く者は初見で必ず目と現実を疑いますので……先に会わせておこうかと」


目と現実を疑う様な奴?


もしかしてロリババアみたいな見た目だとか、足がない幽霊とかですかね?


「パパ、この子カワイイ!」


「ウギッ!」


何だこの真っ黄色なニホンザルは?


キャリに対してやたらとベタベタしてるが嫁にはやらんぞ。


ってこら、可愛い妹が使ってるペティナイフでジャガイモをスライスするな……え?


「え……猿が厚めのポテチを作ってる?」


いや、ポテチと言うよりアレは……扇いで冷ましたら再び油に……まさか?


「ウギッ!」


「すごーい!まんまるのポテチだ!」


「口ん中でプシュッて潰れておもろいなぁ……しかも美味いやんか」


……何で猿がポムスフレなんて作れるんだ?


あれは人間でも作るのは難しいんだが?


俺は作り方ぐらいは知っているが成功した試しがない。


「あの猿はライコと言って、10年前キュアさんから料理を習っていたのですよ」


「何をしてるのモモちゃん……しかも私より上手だし」


成程、言われなければ確かに現実を疑うわ。


可愛い妹所か下手したら俺より料理の腕がある猿とか……異世界だから、じゃ納得出来ん。


ってかタープがやけに落ち込んでいるのは何故だ?


「ウメオ……猿に負けとるウチって何なんやろな?」


「気持ちは解らんでもないで……ウチも初見で自分の女子力と存在意義を見失いかけたわ」


「安心しろ、あの猿は下手したら俺より料理が上手い」


そもそも俺はタープやトゥール様に女子力なんて求めてないからな?





「そういえば、貴女はキャリと言いましたね?」


「うん、キャリだよ!」


「貴女には素質がありそうですのでこの指輪を渡しておきましょう、大事にするのですよ」


「はーい!」


ハイドラ様が何やら綺麗な蒼色の宝石が付いた指輪をキャリに渡してるけど……まあ、喜んでるみたいだしいいか。


それにしてもワニの次は女神様達のお茶会って……この世界は本当に退屈しないな。

マカロニサラダにはミディアムレアの薄切りステーキ入れても美味しい

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