46 牡蠣のオイル漬け・BBQ式焼き牡蠣添え
本日は3話更新(予定)
例の巨大タコのバーベキューが終わり、明後日には帰る事になった……
なので今日はセバスさんに渡すオイル漬けと、夕飯の牡蠣料理を作ろうと思う。
「言われた通りにあのヴィガン族共は全員解放したけど、良かったのかい?」
「まあ、奴等の次の目的は判明したからな……女神様からは肉か魚を食わせろとしか言われてないし問題ないだろ」
それにあのマットさん達から逃げられる様な奴も居るし、サーマやペグさんなら何とか出来るだろうが逃亡の際マレスに危害を加えないとも限らん。
可愛い妹の友達にして俺の弟子が怪我でもしたら申し訳ない。
「キャリちゃん、オヤツだよ」
「わーい!」
マレスの作ったデザートは海藻……テングサを使ったゼリーだった。
それもリンゴ果汁をたっぷり使って、甘く煮たリンゴと生のリンゴを混ぜて固めてあって中々美味かったな。
テングサは乾燥させた物が大体200グラムで15バラン、可愛い妹への土産には丁度良い値段だったから約2キロ程買っておいたぞ。
俺は使う予定がないけどな……冷やして作る料理は苦手だから。
それにしてもマレスとキャリは随分と仲良くなったな。
「ヴィガン族の次の目的ですが、翌月にケンタン領の湖がある街に現れるというアリゲと呼ばれる動物の確保だそうで……ウメオさんに解りやすく言えばワニの事ですね」
ワニか……俺は一度しか食った事がない高級食材じゃないか。
俺が中学に進学した時に尊敬するピットマスターが丸焼きと唐揚げにしてくれて、凄く美味かった。
可愛い妹も一緒だったが丸焼きには難色を示していたな……唐揚げは沢山食ってたけど。
味は豚と鶏の中間の様で割とアッサリしていたが料理した事がないのは不安だな。
だって日本じゃ通販でしか買えない上に爪だけで1800円の税別、送料別だし。
「……ウメオ、その街に行く時、私は留守番をしている」
「まあ、ケンタン領じゃまだ商売が出来ないだろうし案内はタープがするだろうが」
「その街はモロコシが名産品で、私はモロコシが苦手……あの匂いと、皮が歯に詰まる感覚は耐えられない」
成程、トウモロコシね……
となるとその街は俺とタープ、可愛い妹で行く事になりそうだな。
そもそも俺が行かないという選択肢はない……何故ならピットマスターだからだ。
だが例のレシピ本にも書かれていないワニ肉……不安だ。
「師匠、言われた通りにカキの殻を剥がして塩水で洗いました!」
おっと、野菜狂信者共が翌月まで動かないなら今はバーベキューに集中するか。
まずはセバスさんに渡す土産のオイル漬けからだ。
水気を切った牡蠣は表面をサッと焼いて、みじん切りのニンニクと生姜を瓶に詰めたら焼いた牡蠣を汁ごと詰めて、冷たいオリーブオイルを注いで真空保存する。
冷蔵保存すれば大体2日で食べ頃になって、一週間は楽しめるが……
「ご心配なく、冷蔵庫はありませんがトゥール様お手製の冷蔵鞄に冷凍鞄がありますので」
そんな便利そうな鞄があるとは知らなかった……クーラーボックスで事足りてるしいいんだけど。
ってかセバスさん、その鞄は何処から出したんだ?
「執事の嗜みですよ」
……うん、これは深く聞いてはいけない奴だな。
チラッと見えた冷凍鞄とやらの中に大量の牡蠣が入っていたのはツッコまないぞ。
よし、大量のアンチョビも作ったし夕飯用の牡蠣を焼くか。
殻は上の平たい方を剥がしたら塩水で洗って汚れや殻の破片を取り除き、そのままコンロに並べて、と。
バターを1欠片乗せて、コンロに蓋をして……焼けるまでにタレの用意をしよう。
まずはお馴染みの醤油、それと醤油にレモン果汁を混ぜたポン酢。
アルコールを飛ばしたコメ酒で溶いた味噌、最後にタルタルソースだ。
特にタルタルソースはカキフライにも合うし、個人的にも焼き牡蠣はタルタルソースで食うのが一番美味いと思う。
作り方さえ解ればオイスターソースも使いたかった所だけどな。
よし、焼き牡蠣はこれでいい……続けてもう一品に取り掛かるか。
殻から外した牡蠣を塩水で洗ったら水気を切って、溶かしバターとパプリカパウダー、塩コショウで合えておく。
アルミホイルで器を作ったら薄切りのタマネギをたっぷり乗せて、牡蠣とエリンギにベーコンを入れて包んで焼く。
久しぶりに作るホイル焼きだが牡蠣を入れると何故か肉より贅沢感が増すんだよな……しかも美味い。
そういや野菜狂信者が次に狙う所は湖があるんだよな……川魚とか居たらまた作るのもアリか。
特にヤマメで作ると美味いんだが、ニジマスやナマズでも中々だ。
「師匠、クルエビの料理は出来上がりました!」
早いな……エビのカルパッチョと同時にエビフライまで作ってるし。
キャリやマリアが残さず美味しく頂くだろうから構わんが。
「エビフライと焼いたカキが美味しい!」
「このホイル焼きも美味しい……ケンタン領に牡蠣がないのが悔やまれる」
オイル漬けにすれば最大で10日は持つけどホイル焼きには出来んからな……
というかマリアに教えたら酒のツマミとして1日で食い尽くされそうだから絶対に秘密にせねばならん。
それにしてもクルエビのカルパッチョも美味いな……刺身も美味かったし色々と可能性がありそうだ。
とはいえやはり毎食は避けたいからな、次にまた来るまではお預けだ。
「うむ、この酸っぱいショウユのタレが一番酒に合うな」
「味噌のも中々だよ」
そういやセバスさんは……一心不乱にタルタルソースの焼き牡蠣を食っていやがった。
あの分だとまだ食えそうだし、追加も焼いておこう。
ってか俺自身が醤油の焼き牡蠣を1個しか食えてねえ!
「おっとそうだ、ウメオに頼みがあるんだけどねぇ」
「何だ、ベーコンの仕入れ数でも増やしたいのか?」
保管庫を増やしたから多少は増やせるが限度はあるぞ?
というかそういう相談はマリアとした方が確実だが……
「いや、用意した所で運ぶのにも限度があるからねぇ……そこでマレスにベーコンの作り方を教えてやって欲しいんだよ」
成程……海鮮以外の腕前は見てないから何とも言えんが、マレスの腕はかなりの物だからな。
それに今回は可愛い妹は留守番だったし、マレスも可愛い妹に会いたいだろう。
「教えるのは構わんが……此方はいいのか?」
「ああ、禁漁期で旦那が暇になるからね」
「この辺りでは魚の絶滅を避ける為に巨大オクトパスが現れてから数えて3ヶ月、漁をする事を禁止される……その間は養殖した魚以外を料理出来ん」
言われてみればペグさんもあのコンテストを得てサーマを嫁にしたんだよな……ならそれなりの腕はあるか。
というか養殖なんてしてたのか、多分迷い人から習った技術を元にしてるんだろうけど。
「今回使ったクルエビもその養殖で育てたんですよ?」
マジか……以前食ったのと変わらない歯応えに甘味と旨味だったぞ?
俺が今まで食ったのが全て養殖だったという可能性もあるけどな……肉ならまだしも魚の良し悪しは解らん。
「ウメオ、空き部屋ならあるし、私は構わない……多分タープも反対しないし、イチゴも賛成する」
「そうか、といってもベーコン作りに特別な技術は必要ないしコツさえ掴めばすぐ覚えられる様な物だが」
「いえ、折角なら師匠の肉料理も色々と習いたいです!」
「マレスお姉ちゃん、エビフライおかわり!」
「うん、ちょっとだけ待っててねー」
キャリ、お話してる時は……まあいいか。
期間は大体3ヶ月だが可能な限り教えて立派なピットマスターにしてやろう。
というか俺にバーベキュー以外の料理を期待するなよ?
牡蠣はホタテみたいに焼くと殻の破片が口に入る……




