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29 巨大コンロ制作・二度目の接触添え

21歳の俺に6歳の娘が出来た……


自分でも何を言ってるのか解らないが、事実だから仕方ない。


結婚した後で聞くのもおかしな話だが、マリアから聞いた所によるとこの世界だとエルフは180歳で成人を迎えるらしい。


エルフ以外の種族はまちまちながら、遅くとも20までには迎えるとの事だった。


やっぱり俺はキャリみたいな大きな娘が居る歳ではなかった……まあ普通に受け入れたけどな。


可愛い娘となったキャリ自身も本当の両親については何も知らないらしいし、あんな場所に捨てる様な奴等の所へ送った所でロクな目には合わないだろう。


それに2人の嫁と可愛い妹もキャリを可愛がっているし、何より……


「パパー、お昼はベーコンがいいー!」


ハイエルフでありながら俺の作ったベーコンを美味そうに食うからな。


そんな子を放っておける筈がないだろ。


因みに他の子供達はケンタン領の皆さんが快く引き取ってくれた……全員がいい人過ぎて辛い。


特にオヤッサンは「丁度畑を広げよ思うとった所や!」って3人も引き受けてくれたからな。


今度またベーコンでも差し入れするわ。


「ウメオ、カーニズ領からウメオ宛の手紙が来た」


「カーニズ領から……悪いがマリア、代わりに読んでくれ」


「解った」


俺も可愛い妹も、勉強はしているが未だに読めん……


やはり勉強の時間は増やすべきだろうか?


「えっと……手紙はマットさんからで、十日後に黄金のブタが来るから料理を担当して欲しい、と書いてある」


黄金のブタ……いわゆる金華豚なのか、ガチで金色に輝くブタのどっちだろうか?


まあ鶏が空を飛んでる様な世界だからどっちもありえるな。


何なら金色に輝く金華豚だとしても今更驚かない自信がある。


「一応説明すると、黄金のブタは100年に一度だけ現れるという、空を飛ぶブタ……私は一回だけ食べたけど味は普通だった」


何処のジ○リだよ!


流石に戦闘機なんかには乗ってないだろうし、言葉を話したりはしないとは思うが……


「報酬として800バランを支払うとは書いてあるけど……どうする?」


ふむ、それだけあれば多少は家具も揃うか。


家はまだ出来てないし、地下の倉庫や食料庫が破裂する程に作り溜めたからベーコンも作れないので暇と言えば暇だし……


「キャリには色んな物を見せてやりたいし、行くか」


「解った、そう返事しておく」





そんなこんなで再びカーニズ領……あのロリババアが治めている街に来た。


滞在中はマリアの実家でお世話になるから宿代は浮くが、食費が凄い事になりそうだな。


「おお、よく来たのう!」


「お久しぶりです、ってか口の回りのハチミツを拭け」


まさかあのベーコンエッグを毎日食ってるんじゃないだろうな?


マッチョなマットさんが鍛える為に食うならまだしも、ロリババアが毎日食ってたらメタボになるぞ。


「いやスマンの……最近はあのベーコンを焼いてからハチミツを塗って食べるのに夢中になってしまったんじゃ」


そりゃ夢中にもなるわ……実際に美味い組み合わせだし。


リンゴやオレンジなんかと一緒に食っても美味いが……これは教えないでおこう。


「詳しい話は後にして、まずはあのベイケンエッグを作ってくれんかのう?」


いや、作り方は教えただろうが……


作れと言うなら作るけど。





そんな訳で再びベーコンエッグ・フライパンパイを作って、可愛い妹を除いた全員で食べている……


これはキャリも気に入った様だ。


「で、何で今回は俺を呼んだんだ?この街の掟とやらから察するにマットさんもかなりの腕だと思うんだが」


「うむ、確かにダーリンの料理は美味しい……じゃが黄金のブタを料理するとなると話は変わってしまうんじゃ」


腕が良いのは否定しないんだな……今度何か食わせて貰おう。


たまには俺以外の誰かが作った肉料理を食いたい。


「黄金のブタを美味しく食べるには、可能な限り手を加えずに料理せねばならんらしくての……なのに皮を剥ぐだけで変色するわ、生肉に包丁を入れたら金属の臭いが付くわ、内臓から毒が出てくるわでお手上げなんじゃよ」


なんじゃそりゃ……まるでフグみたいなブタだな。


それも内臓は食えないっぽいから抜く必要がある、けど包丁を入れると金属の臭い……丸焼きにしろってか?


腹を切らずに内臓を抜く方法はあるが面倒くさいんだよな……必要ならやるけど。


「そんな中で唯一美味しく料理を出来たのが800年前……ほれ、例の本に描かれておったあの迷い人が作った時らしいんじゃ」


成程、俺が唯一尊敬しているピットマスターが料理したのは美味かったのか……流石だぜ。


それで俺を呼んだって訳だな。


そういやあのレシピ本にも豚の丸焼きがあって、珍しく辛味を加えずに作っていた料理があったが……そういう事か。


「ハチミツとコメ酒を可能な限りに、それと前日までに大量の鉄屑を用意しておいてくれ」





さて、やるか。


この大量の鉄屑を金属加工で……今回は長方形のコンロを作る。


それも成熟した豚三頭を入れてもまだ余裕があるぐらいにデカい、かつ蓋はスライドで開閉出来るコンロだ。


完全に鉄しか使ってないせいで重いのが難点だが、そこはマットさんや助手を買って出てくれた奴等に頑張って貰おう。


尊敬するピットマスターが亡くなる前に行った最後のバーベキューで作った料理がこんな巨大なコンロで作った豚の丸焼きだった……


あの時は豚1頭に対して大き過ぎるコンロだなぁとは思ったんだよな、まあダイナミックな性格だったし気に留めてはいなかったけど。


多分だが彼はこの世界の、それも例の空を飛ぶとかいうふざけた豚を焼く為にこのコンロを作ったんじゃないだろうか?


そう考えればこの大きさにも納得が出来る。


おっと、組み立てが終わったら大量の薪をくべて空焼きしておかないと。


流石に嵩張るから終わったら解体するけど図面ぐらいは残しておいた方がいいか?


次に料理する時が来るのは確実に俺が寿命でポックリ逝った後だろうし。


「……よし、こんなもんか」


後は自然に鎮火するのを待てばいい。


さて、夕飯は何に……


「動くな」


俺の首筋に刃物……コンロに映ってる姿は金髪のエルフ、野菜狂信者か!?


「明日、この地に訪れるという黄金のブタは私が貰う」


「……何だ、美味いと聞いて食いたくなったのか?」


「そんな訳があるか!?」


チッ、数少ない肉が食える野菜狂信者ならばと思ったが違うらしい。


「黄金のブタは女神の元へ向かう為に必要な移動手段だ、食べる訳がないだろう」


いや、ただ金色に輝いて空を飛ぶだけの豚にそんな能力があるとは思えんのだが……俺からすれば非常識な存在に変わりはないけど。


そもそもあの自由過ぎるトゥール様の元に行った所で留守にしている可能性が圧倒的に高いんだが……ん?


タープがコンロの裏で身振り手振りに口パク……要約すると、【じかんをかせげ】?


成程、マリアがマットさんを呼んでくれているんだな。


「……そういやあんた等、野菜狂信者共は何で女神様の元に向かおうとしてるんだ?」


「知れた事を、今の女神に代わり我々が世界を管理する為だ……というかその野菜狂信者とは何だ?」


世界の管理ねぇ……アチコチに分体を送って自由に動き回るトゥール様だが仕事をしていない訳ではないんだぞ。


それに野菜狂信者が世界を管理したら肉や魚が食えなくなってしまうじゃないか。


ピットマスターとして絶対に阻止しなければ!?


「おい質問に答え……っく!」


お、野菜狂信者の刃物を握ってる手に鞭が……苺心か!


「ムン!」


マットさんも来てくれ……野菜狂信者の身体がくの字に曲がって悶絶してやがる!


あれは……確実にアバラがイカれたな。


とりあえずこいつはふん縛っておこう。


「で、こいつはどないするん?」


「トゥール様からの難題もあるから肉を食わせてやる……マリアは食材を頼む、出来るだけ固い肉でな」


「解った、とびきり固い肉を用意する」


こいつに食わせるのはマリアと結婚する為にと作った肉バーガー、ブタ肉マシマシバージョンだ。


ただしブタは赤身、ウシはスジ肉、ニワはムネ肉を2つ使って作る。


しかも柔らかくする措置は一切せず、ステーキは最も噛み応えがあるベリーウェルダンに焼いてベーコンは使わない、可愛い妹のレモンジャムも使っていないぞ。


俺の命を狙ったんだからこれぐらいしたってバチは当たらんだろ。


「スマンがマットさん、そいつの口をこじ開けてくれないか?そしてこいつを突っ込んだら口を押さえつけて欲しいんだ」


「了解した」


「ふぁ、ふぁへほぉーっ!」





ちょいと大きめに作ったとはいえあれ1つで腹いっぱいになるとは情けない。


だが飲み込んだ瞬間何かが抜け落ちた様に脱力していたからな、暫くは投獄するそうだが何かする事はないだろう。


それと、いわゆる獄中飯は炙ったベーコンのみにしてやった。


ちゃんと食える様になったら釈放してやるからな。

ガチで半日は掛かる丸焼き……

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