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02 女神の無理難題・衝撃の事実添え

早くもブクマが……ありがとうございます!

なんやかんやあってタープの案内の元、教会にやって来た。


壁がやや煤けてるが建物としての体裁を保っているのはタープの必死の抵抗が上手く行った証だろう。


うん、今日からはここで寝泊まりすれば雨風を気にしなくて大丈夫だな。


「ほな、そこの女神像の前に立っとってや」


ほう、像だからハッキリとは解らんが中々の美人なのは間違いないな。


胸部が薄いのはアレだが。


「お兄ちゃん、変な所見てるとバチが当たるよ?」


「仕方ないだろ、これは男の本能という奴なんだ」


おっと、可愛い妹とタープが汚物を見る様な目で俺を睨んでいるな……自重しよう。


何だかよく解らん詠唱めいた声が響いてるが……この世界特有の言語か?


像が段々と光って……あ、光が収まって誰かが下りてきた。


「何や、えらい久しぶりに呼ばれた気ぃすんなぁ……ってタープやん、今日はどないしたん?」


本当に関西弁の女神(?)が来やがった!


しかも金髪黄眼で予想通りのすんごい美人……そして像と同じく胸部が薄い。


「って、そこにおるんは……まさか苺心(いちご)ちゃんか?何でこないな所におるん?」


「あの女神(?)様……仮にも自分で作った世界をこんな所呼ばわりはどうかと思うんですが?というか苺心、いつの間にこんな美人と知り合った?」


「私に聞かれても何が何だか……記憶違いでなければ初対面なんだけど?」


「あのー、とりあえず言いたい事は順番に話さへん?」


うん、そうだな……一遍に話すとややこしいからな。





厳正な審議(ジャンケン)の結果、女神様から話す事になった。


女神もジャンケンは知ってるんだな……


「ほなウチからやな……ウチは【風】と【喜】を司っとる女神でトゥール言うんや、よろしゅーな」


「はぁ……それで何で可愛い妹の事をご存知だったんで?」


「ウチはこの世界をより良くしよ思うてな、アチコチの異世界からこの世界でも使えそうな技術を学ぶ為に分体を送っとるんよ……その内の1人が【蓮田 留美子】、苺心ちゃんの通っとる空手道場の師範や」


「え……えぇーっ!」


めっちゃ驚いてるな……まあ無理もないか。


よく知る人物が実は女神の分体でした、とか……普通なら驚くより妄想か頭の病気を疑うわ。


実際に目の前で見た俺も半信半疑なくらいだ。


「あ、でもあの師範なら女神様の分体と言われても納得かな……むしろあの強さに説明が付くっていうか」


どんな師範だよ……まさか素手で熊を倒したりしちゃうのか?


いやでも、女神の分体なら普通にやれそうだよな……うん。


「まあそんな訳で、苺心ちゃんの事はウチが一方的に知っとったゆー事や……死後なら眷属にスカウトしたんやけど、まだ生きとるし頭の隅にでも置いといてや」


「あ、はい……」


「あの……眷属って何だ?」


女神様は可愛い妹に何をさせる気なんだ?


「簡単に言えば直属の部下みたいなもんや……因みにあの道場に通っとる子達は全員ウチの眷属候補やで」


そういえば以前可愛い妹の通う道場には門下生が10人足らずしか居ないとか聞いた覚えがあるな……


つまり分体を通しながら素質がありそうな子をスカウトして、空手で鍛えると……


こんな美人の女神にスカウトされるとは、流石は俺の可愛い妹だ。


「じゃあ、もしかして……モモちゃんも?」


「モモちゃんって、あーキュアじゃなかった桃花(とうか)ちゃんの事やね……残念やけどあの子はウチの同僚の信者になってもうてなぁ、フラれてもうたんや」


女神にも同僚とか居るんだな……それは知りたくなかった。


というか強盗に殺されたと聞いたんだが生きてたのか?


「安心しぃ、桃花ちゃんは転生してその同僚の造った世界で元気にやっとるよ……今では4児の母や」


「そっか……モモちゃん、生きてるんだ」


転生という事は一度死んだって事実は変わらないんじゃ?


個人的に可愛い妹と対して違わないであろう歳で4児の母という所にツッコミたいんだが……茶化せる空気じゃないよなぁ。


兄貴という生き物は可愛い妹の前でだけは空気を読めなくてはならんのだ。




とりあえず聞きたい事は一通り聞かせて貰ったから技能とやらを貰おうと思ったんだが……


正確には技能を貰うのではなく何かしらの職業を与えられるらしい。


また一部の職業には上位職という物があるそうだが、流石にそれは無料では出来ないとの事だ。


「ふむ、苺心ちゃんはまだしも兄ちゃんは無理やなぁ……素質の有無でなくて、既に職業持ちっぽいで?」


俺が既に職業持ち?


おかしい……俺が魔法使いになるのは9年後の筈だぞ?


心底なりたくはない職業だが、他に心当たりが全くない。


「んな都市伝説を信じとるアホウは初めて見たわ……そうやなくて、ウチも初めて見る職業なんやけど、何やこの【ピットマスター】っちゅーんは?」


え……この世界にピットマスターは居ないのか?


というかそれ職業として成立するとしたらテキ屋みたいな商売ぐらいしか思い付かないんだが?


「技能も【着火】、【金属加工】、【料理】……ぐらいやな、とてもやないけど戦うのはオススメせぇへんよ」


着火は火を興すのに使う技能としたら金属加工はコンロや竈の事だろう……料理は言わずもがな。


つまり俺には鹿を仕留める程度の力しかない?


「いや、普通ならナイフだけで鹿を仕留めたりせぇへんよ?」


俺は……俺は兄貴として可愛い妹を守る事すら出来ないのか!?


「……まあこのアホウな兄ちゃんは置いといて、苺心ちゃんの適正を見よか?」


「あ、お願いします……因みにモモちゃんはどんな職業に?」


「桃花ちゃんは……狂信者(ヒーラー)から狂信者(プリースト)になっとったよ」


……何やら一部言い淀んでいた所があった気がするんだが、まあ触れないでおこう。




で、可愛い妹は【舞子(ダンサー)】という……主に短剣か鞭を使って戦う職業になった様だ。


また特定の踊りにデバフ効果があるらしく味方の支援も出来るそうだが……上位職はないらしい。


「折角やしウチが装備一式を用意したる」とか言って渡したのはやけに布が少ない衣装と短剣に鞭?


おい女神様、俺の可愛い妹になんて露出の多い服を着せようとしてやがる。


可愛い妹にロクでもない男が寄ったらどうしてくれるんだ!


「……お兄ちゃん、キモい」


「ぐはぁっ!?」


効いた……180連出勤プラス3日徹夜の後に強制参加させられた飲み会でウォッカのストレートを一気飲みさせられた時の胃袋の痛みより遥かに効いたぜ。


あの時に酒を無理矢理飲ませた上司には仕返しとしてデスソースのバーボン割りを飲ませたが俺は悪くない……筈だ。


救急車を呼ぶ騒ぎまで発展して、それ以降の飲み会がなくなったのも俺のせいではない筈だ。


だって同僚達には感謝されたからな!


「さて、一通り終わった所で……何や外の見晴らしが良すぎへんか?」


「あ、それな……実は」


気が付いたらタープが外の惨状についての説明をしてた……


女神なのに自分で造った世界の異変に気が付かなかったのかと言いたい所だが、あちこちに分体を送ってるそうだしな……仕方ないのかもしれん。


「はぁ!まぁたあのドアホウ共がやらかしたんか?つい300年前もペスカタ族を攻めるからやゆーて川に毒薬を流したばっかやんか!」


どうやらヴィガン族のあれは初犯ではないらしい……つい、の間隔がおかしいがそれは聞かなかった事にしよう。


やはり肉と魚を食わなきゃ心が豊かにはならんな。


「まあ、ある意味ナイスなタイミングやったのかもなぁ……ちゅー訳で兄ちゃん、1つ頼まれてくれへんか?」


「え……そこで俺に振るの?一体何をさせようってんだ?」


女神様の様な美人の頼みなら喜んで引き受けたいが、出来る事と出来ない事があるぞ?


というかバーベキュー以外なら出来ない事の方が圧倒的に多いぞ?


「そんなムズい事やあらへんよ、兄ちゃんにはヴィガン族のドアホウ共に肉か魚をたらふく食わしたって欲しいんや」


……それ、何て無理ゲーですか?


野菜狂信者共に肉を食わせるとなると身体の自由を奪って無理矢理口に詰めるか、直接胃袋に押し込むぐらいしか思い付かないんだが?


女神的にはやっていい事なのか?


「確実に食わせられるんなら手段や方法にその後の生死は問わへんよ、仮に殺人で訴えられてもウチが許したるわ……それに報酬も用意しとくで?」


流石に生死ぐらいは問うた方がいいと思うぞ?


俺は肉なら何でも食うし、食えない生物はなるべく殺さない主義だが……カニバる気は一切ないからな。


というか報酬ねぇ……何でもいいのか?


「例えば女神様かタープが俺の嫁になってくれたりとか?」


「お兄ちゃん、何言ってるの?」


「ウチはアカンけど、タープが欲しいんならそれはアリや」


「ちょっ、女神はん!?」


「タープも、もう200歳なんやからええ加減に身を固めぇや……長生きのエルフとはいえその歳になっても純血守るって痛々しいだけやで?」


ほほう、タープは未だに……いい事を聞いた。


女神様にフラれたのはショックだがそれは仕方ない……どうせ駄目元で聞いただけだし、悲しくなんてないぞ……グスン。


とはいえ無理矢理に迫る気はないけどな……どうせ結婚するなら本人の意思で惚れてほしい。


「お兄ちゃん、最低」


「がはぁっ!?」






とりあえず、ヴィガン族に肉か魚を食わせるのは焼けた森の跡地を何とか元通りにしてからとして……


その間に何を作って、どうやって食わせるかを考えないとな。


その為にまずはカーニズ族とペスカタ族に会って、使えそうな食材や調味料がないかを見ないとならんか。


それに野菜も、どんな物があってどうやって食べられているのかを調べないと。


俺が日本から持ってきた調味料も限りがあるし。


「……1つ聞いていいか?今回の件を何で俺に頼んだんだ?ハッキリ言うが俺はバーベキューぐらいしか能がない素人だぞ?」


「あーそれなぁ……まあこの世界に来る迷い人の作った料理が美味いっちゅーこれまでの事例と、兄ちゃんがこのタイミングで来たんは何かしらの意味があるんやないかってゆーウチの勘の様なもんやね」


まさかの勘かよ……だが凄く美人な女神様の勘ならば信じるしかない。


こりゃ責任重大だ。


「……報酬の件だが、可愛い妹をその別の異世界に行ったとかいう桃花とやらに会わせてやってくれないか?勿論成功したらで構わない」


「ふぅん、それでええんなら何とかしたるわ」


よし、可愛い妹が友達と再会するチャンスを得られたな……精々頑張らせて貰うよ。


……でも期待だけさせておいて失敗したら泣かれそうだし、苺心には黙っておこう。

ある意味セルフコラボ回だった……

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