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25 エビフライサンド・レンコンのピクルス添え

滞在8日目……夕飯は何か話があるらしいサーマと一緒に食う事になった。


今はマリアに頼まれたからクルエビのエビフライを作っているんだが……可愛い妹も気に入ってるし余分に作っておこう。


しかし何だかんだでほぼ毎日食ってるなクルエビ……1尾1バランでなければ絶対に無理だったぞ。


一応飽きない様に味付けは工夫しているんだが、流石にレパートリーが尽きて来た。


なので今回はお手製のパンを炙って挟むエビフライサンドにする。


それもタマネギと酢漬けした赤パプリカ……ピクルスのみじん切りをレモン果汁で和えた物を一緒に挟む。


このパプリカのピクルスは俺が日本で作っていたとっておきなんだが……まあ仕方がない。


それに真空保存してあるとはいえ冷蔵庫のないこの世界じゃ後1週間も持たなかったろうしな。


なら美味い内に食うのが食材に対する敬意という物だろう。


……しかしこうなると食パンが欲しくなる。


何故かこの世界にあるのはコッペパンだけなんだよなぁ。


いや、コッペパンに罪はないし使い道は山ほどあるんだが……このエビフライを挟むにはサイズが足りない。


更に俺がコンロで焼いて作るパンはナンみたいな奴だからな……これはこれで美味いんだけどサンドイッチにするとなるとちょっと使い勝手が悪い。


こうなったらまたあの鉄板を集めてダッチオーブンを作るか。


それがあれば……流石に食パンは作れないが、具材を挟むのに向いてるパンなら作れるからな。






「んー、このみじん切りの野菜がエビにメッチャ合うとるやん!」


「あ、これお兄ちゃんがよく作ってたパプリカピクルス……美味しい」


「あの殻が硬すぎて食えた物じゃなかったクルエビがこんなに美味しかったなんてね……」


まさか市場でやたらと安かった理由はあの殻なのか……そのせいで下処理が面倒だというのは同意するが。


って、クルエビを殻ごと食おうとしたのか?


桜エビみたいな小型から車エビぐらいまでなら殻ごと食った方が美味い場合はあるが、流石にあのサイズのエビの殻は食えんぞ。


出汁にするならまだしも、口を怪我しちまう。


「サーマ、これなら条件に合う筈だけど?」


「ああ、確かにこれならクルエビが売れる様になるね……最も料理しなきゃ売れないのは変わらないだろうけど」


話ってクルエビの事だったのか。


そりゃあんな値段じゃ大した儲けにはならんだろうからなぁ……買う側からすれば有難かったけど。


「所でこの赤い野菜って何だい?」


「ああ、パプリカっていうんだが……この世界にはないだろうから別のピクルスを作る必要があるな」


「そのピクルス?にはどんな野菜が必要なの?」


まあピクルスにするだけならどんな野菜でもいいんだが……こうやって使うならシャキシャキした歯応えがあった方がいいよな。


「レンコン、キュウリ、大根、カブ辺りがいいんだが……あるか?」


「ダイコンとカブというのは聞いた事がない……キュウリはヴィガン族だけが育てている貴族ですら滅多に食べられない高級品で、レンコンは1本8バラン」


値段が気になったがキュウリとレンコンはあるのか……今度女神様にキュウリの種を頼んでおこう。


高級品という事は上手く育てば立派な資金源になり得る。


大根とカブはあってもバーベキューじゃ余り使わないからどうでもいい。


「ピクルスを作るのに最低でも半日は掛かるからな……朝から作れば夕飯には使えるが」


「ならレンコンは此方で用意するよ、そのピクルスとやらにするのと私の娘に作り方を教えるのを任せていいかい?」


「ああ、構わないぞ……マリアは今から言う物を朝までに揃えてくれ」


「解った」


最悪明日は徹夜になりそうだが可愛い嫁の幼馴染の為だ、頑張らないとな。


「というかサーマには娘が居たのか?」


「前に言った、前回の景品となった娘……それがサーマ」


ああ、ロリババアと同じくオークと結婚したとかいう……納得した。





さて、材料は揃ったな。


「えーと……」


「あ、初めまして……私はマレスっていいます」


マレスね……よし、覚えた。


見た所可愛い妹と同世代ぐらいか?


でもサーマと同じハーフのダークエルフっぽいし、ダークだとあのロリババアという前例があるから油断は出来んな。


「マレスは幾つなん?」


「14ですけど?」


あ、見た目通りだったわ。


多分夕飯も一緒に食う事になるだろうし、苺心と仲良くしてやってくれ。


「よし、始めるか」


「は、はい!」


レンコンの皮を剥いたら後でみじん切りにしやすい様に1~2mm幅にスライスして薄い酢水に漬けて、と。


赤い唐辛子……この世界じゃハラペって呼ばれていたが、こいつの頭と種を取り除いて半分に切っておく。


形はまさにハラペーニョだったから試しに囓ってみたがそんなに辛くはないな……シシトウの当たり程度の辛味しかない。


鍋で酢と砂糖を煮立てて砂糖が溶けたら水気を切ったレンコンを入れて、沸騰する直前に火から下ろして冷ます。


冷めたらジャム用の容器に移してレモン半個分の果汁とコショウの粒を少し、切ったハラペを入れて密閉、このまま半日も放置すれば完成だ。


これはタープに目印を付けて貰って夕飯に使う。


「ふぅ……後どんだけのレンコンがあるんだ?」


「えーと……リアカー1台分やね」


幾ら何でも限度って物があるだろ!?


しかもタープは料理が出来ない、マリアは肉料理以外が作れない、可愛い妹は教えれば作れるだろうが今はマリアと一緒にカボチャを売りさばいている最中!


マレスは今教えたばかりだから馴れるのに時間が掛かるだろうし。


……やはり俺が1人でやるしかないか。


くそぅ、引き受けたのを後悔するぞ。





何とか夕方には終わったか……疲れた。


最後の方に作ったのは明日にならなきゃ食えないが、約束は果たしたぞ。


「ウメオ、クルエビ買うて来たでー」


「おう、それじゃもう一踏ん張りするか」


いつもの様に頭を外して足の方から殻を剥がして……


ってマレス、何でジーっと俺の手を見ているんだ?


まあいいか……小麦粉と溶き卵とパン粉をまぶして油で揚げる、と。


「よし、次は……」


「あ、頭と殻は全部剥がせました」


何……だと!


俺が1尾にパン粉までをまぶしている間に全部を?


しかも俺より身が綺麗に剥けてる!?


「捌き方は見て覚えました……私、お魚の料理だけは得意なんです!」


成程な、魚に親しんだ分だけ俺より上手かったという訳だ。


つまりマレスならアレを作れるんじゃ?


「マレスはタタキって料理を知ってるか?」


「あ、ママが皆さんに食べさせた料理ですか?あれ私が作ったんですよ」


何て都合が良い……だが助かった!


あのタタキは俺がミネストローネを作ってる間にタープが残さず食っちまったからな……もう一度だけでも刺身が食いたかったんだ。


「この1尾をタタキと同じ様にそぎ切りにしてくれ、切ったら氷水に浸してから水気を切るんだ」


「は、はい!」




さあ夕飯だ。


昨日と同じくエビフライはサンドにして、レンコンのピクルスを使ったタルタルソースを掛けてある。


そしてクルエビの刺身……山葵が欲しくなるがタープとマリアは苦手だろうし諦めよう。


それと調子に乗って作ってしまったエビの殻から取った出汁の味噌汁を付けた。


いや、マレスは魚料理を教えた端から吸収して物にしちまうから段々楽しくなってしまったんだよなぁ……


いっそ海鮮専門のピットマスターに育ててやるべきだろうか?


「このピクルス、シャキシャキしてて美味しい」


「エビのお刺身が甘くて美味しい!」


おい苺心、いくら可愛い妹であろうと独り占めは許さんぞ?


俺だってたまには刺身が食いたい!


「あのクルエビが生でも食べれる上にスープにまでなるとはねぇ……マレス、作り方は覚えたかい?」


「うん、バッチリだよ」


因みにこの世界にも味噌はある。


なので味噌汁自体は簡単に作れるが基本的に何かに塗って焼くという使い方しかしていない様だ。


「そういやマリア、資金はどうなった?」


「家具は怪しいけど家は建てられる、後はギリギリまで稼ぐだけ」


「今日は875バランで落札だったよ」


もう少しで3倍まで届く額になってやがるな……売り方もえげつないが買う方もどうかしてる。


売ってるのが可愛い妹と嫁だから口には出さんけどな!





「ウメオ、明日はどないするん?」


「ピクルス他必要な事は全部マレスに教えたからな……」


市場にある魚で俺が作れる物は殆ど教えてしまったからな……本当にもう教えられる事がない。


そもそも俺は肉料理がメインだから魚のレパートリーがそんなにないし。


あ、作った料理はちゃんとタープが美味しく頂いたから無駄にはなっていないぞ。


でもなぁ……


「師匠、明日は何を教えてくれるんですか?!」


いつからマレスが俺の弟子になったんだ?


そんなキラキラした目で見たって本当に何もないぞ……


「ウメオ、浮気?」


「安心しぃや、マレスにその気はあらへんよ……アレはホンマにウメオの料理の腕を尊敬しとるだけやで」


可愛い妹と大して違わない歳の子に手なんざ出さんわ!


俺はシスコンであってロリコンではないし、そもそも2人のお陰で飢えてはいないからな!


あ、そうだ。


「苺心、明日はこのマレスにもあのパンプキンパイの作り方を教えてやってくれないか?」


「ハチミツ200グラム」


「それで頼む」


これでよし。


面倒事を押し付けただけに見えるだろうが可愛い妹が友達を作るチャンスだからな、上手くやって欲しい。


だがここで80バランの出費は痛い……やはり明日は屋台だな。


「いいかマレス、魚を美味しく食うなら肉や野菜も疎かにしてはならん……また魚を使わない料理にも魚を美味しくするヒントがある、よって明日はこの可愛い妹の元で野菜の使い方を学んでみるといい、きっと役に立つ」


「はい、師匠!」


スマンな苺心……面倒だろうが宜しく頼む。


本当に、悪い子じゃないんだけどなぁ……俺なんかを過大評価し過ぎて信頼が重たいんだよ。

最近エビフライのホットプレスサンドにハマった……マジで美味い

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