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16 コンテスト本戦・特製レモンバター添え

色々とすっ飛ばしてコンテスト当日……


この1週間で試作が上手く行ったし、特に語る事もなかった。


強いて言うなら丼飯にハマってしまったマリアの両親に色々教えたぐらいか。


牛丼と親子丼から始まって……定番のカツ丼、ニワのささ身と野菜を天ぷらにした天丼、バラ肉でも作れる豚丼にベーコンをたっぷり食えるカルボナーラ丼なんかも教えたが凄く喜んでたよ。


昨日なんてハンバーグっぽい挽肉と目玉焼きを乗せてとろみの付いた醤油ダレを掛けたロコモコ風の丼飯を自作してたぐらいだ。


……終わったら鉄屑を集めてミンサーを作ってやるか、義両親になる(予定だ)から早目の親孝行って奴で。





「さてさて、それでは本戦を始めるかのう……肉は焼き立てが1番美味いから順番に焼いて出すんじゃぞ、まずはザックからじゃ」


ザック……いかにもなダークエルフの爺さんだな。


既に足がガタガタしてるんだが本気でマリアと結婚するつもりなのか?


「ザックさんは今年690歳……この身が清いままでは死ねぬ、が口癖」


もはや魔法使い所か大賢者様じゃねーか!


そこまで行ったらいっそ来世に期待するか、風○にでも行った方がいい気がするぞ……この世界に○俗があるかどうかは知らんが。


しかし例の掟があって何でまだDTなんだ?


だが、何故かあの爺さんの気持ちを解ってしまう自分が居る!


「因みにザックさんは例の掟の対象となった人の兄……この街で唯一のDT」


それでか!?


そういや近親婚は駄目だとか言ってたもんな……納得した。


そんな爺さんが出したのは……この匂い、チーズか?


とろけたチーズが焼きたてステーキの上に掛かって……あれは絶対美味い奴だ!


しかもあのチーズは恐らく、同じウシのミルクから作られた物だろう……狙いは俺と一緒らしい。


成程、肉を好むカーニズ族らしいステーキだ。


「ふむ……失敗したのうザック、熱したチーのせいで肉に余分な熱が入ってしもうたわ」


「味は良い、だが肝心の肉が課題通りでない以上は失格だ」


わざわざ別に火を入れて掛けたのか……


チーズは焼いた肉の熱で充分溶けるから後乗せすれば良かったのに。


まあ失格になったのは仕方ないだろう、俺としては助かったけど。


それにしてもこの世界のチーズはチーと呼ばれているんだな……覚えておこう。


「また駄目じゃったか……次の20年後まで絶対に生き延びねば!」


……尊敬は全く出来ないが、あの諦めの悪さは見習うべきだろう。


まあアレだ、頑張れ爺さん。






「次は……ノースじゃな」


あからさまに中年肥りをした商人風の男か……


あの下卑た笑いを浮かべる顔は見てるとぶん殴りたくなるが、この場は自重する。


説明が欲しかったんだがマリアはあの男が現れた途端に客席の方へ引っ込んだか……少なくとも苦手な相手だという事は解った。


で、何やら真っ赤なソースが肉に掛かっているが、あの色合いから察してチリソースか?


何でこの世界にあるのかはこの際どうでもいい、あの肉にも合わなくはないだろうが……いいのか?


「ふむ……っ辛!?」


「だ、大丈夫かハニー!誰か急ぎ水を!」


やっぱりあのロリババアは辛いのが駄目だったか……


そこは見たままだったな。


つーかマットさん、嫁をハニーって呼んでるのか。


「水じゃ駄目だ、氷を口に含ませるんだ」


何で水じゃ駄目かというと辛味の主成分であるカプサイシンが口中に広がって逆に悪化するからだ。


だが氷なら広げずに冷やせるから早く収まる、という訳だ。


他には牛乳やバターなんかが使えるぞ。


「解った、氷だな!【氷弾】!」


おお、この世界に来てから初めて魔法を見た!


だが使い道が……ロリババアの辛味にやられた舌の治療って、何かおかしくないか?


って、注意しておく事があったな。


「その氷は噛むんじゃないぞ、辛味が引くまで舌に乗せておくんだ」


「フガンガ!」


いや、無理に返事しなくていいから……何言ってるのか解らんし。





で、大体5分が経過してようやく収まったらしい……どんだけ辛かったんだ?


「ノース、失格じゃ!?」


そりゃそうだろうな……苦手な辛味を食わされておきながら稼ぎ頭のマリアを嫁に、とかありえん。


余程の借金を抱えていない限りはそうもなるだろ。


まあマリア自身がかなり稼いで両親とこの町に入れてるらしいし、その心配はない筈だ。


俺の作ったベーコンも売れてるみたいだしな。


「し、しかしこのソースは2500バランもする高級品……不味い筈がない!」


こいつ、美味=値段って勘違いをしているタイプか。


こういったタイプはマリアを嫁にしたいんじゃなくて、マリアの持ってる金が欲しいだけというのが定番だが……多分間違ってないだろう。


前にマリア自身も言ってたし。


「確かにソースは美味いんだろう、だが強過ぎる辛味のせいで肝心の肉の味を感じない……失格にするには充分な理由だ」


試しに味見させて貰ったが俺の知ってるチリソースよりも更に辛味が強い……


というか辛味の中にあるべき酸味や甘味がない、奥深さもコクもない、ただ辛いだけの赤い液体だ。


これ、子供なら匂いだけで泣き出すレベルだぞ。


「おのれ……こうなったらマリアを拉致してでmはぶらぁっ!」


うわ……マットさんの強烈なボディーブローが炸裂しやがった。


しかも一撃で意識を刈り取っちまったらしい……そのまま衛兵の人がふん縛ってどっかに連れて行ったな。


「明確な悪意も確認出来た以上、まだ何かあるかもしれん……注意しておけ」


残心も欠かさない生粋の強者……やだ、カッコいい!


俺、この人とは絶対に敵対しないぞ。


「流石はダーリンじゃ!」


「フッ、この程度なら容易い事だ」


ロリババアも旦那をダーリンって呼ぶのかよ。


お熱いのは結構ですが……そろそろ肉を焼いてもいいですかね?





「最後はウメオじゃな」


「おう」


ミディアムレアに焼き上げたステーキに可愛い妹が作った特製バターを塗って、これで完成だ。


バターはステーキの熱で自然に溶ける。


「そのソース?を何でその包丁として使っておったナイフで塗ったんじゃ?」


「バーベキュースタイルって奴だ」


「ふむ……焼き加減は見事だな、手本よりも肉が柔らかく出来ているのは気になるが」


柔らかいのは焼く前にフォークで乱雑に穴を開けたからだ。


スジを包丁で叩くのも有効だぞ。


「ほぅ、口にしてようやく解ったがこれは脂じゃな?それも塩やレモの絞り汁を混ぜてある!」


「ふむ……確か君の妹が大量のミルクを買っていたそうだが、その理由がこの味付け、という事か?」


「あ、はい……そうです」


可愛い妹が大量のミルクを買って、そこから生クリームを作って、更にバターを作るまでにおおよそで10分の1まで減ったのはビックリした。


だが市販のと違って塩加減の調節も出来たし、レモン果汁と一緒に隠し味として醤油を1垂らし、ガーリックパウダーを始めとした香辛料を加えられた。


同じ場所で育てているウシから絞ったミルクが元だから当然あの肉にも合う、グラスフェッドを食うなら理想的な味付けだ。


……肝心の塩加減と香辛料の分量に手間取ってしまい、無駄に手間を掛けさせてしまったせいで報酬のハチミツが300グラムに増えたのは懐が痛いが仕方ない。


手間取っている間の試作品はタープとマリアが美味しく頂いたから問題ないだろう。





「では結果じゃが……最早言う必要もないじゃろうが、ウメオの勝ちじゃ」


うわ……スゲー拍手が!


でも怨まれてなさそうだから安心した。


約1名、怨念を込めた視線を向けてる爺さんが居るけどそれは気にしない……でもやっぱ気になる。


「良かった……ウメオ、ありがとう」


マリアさん、人前で抱き付かないでくれません?


怨念の視線が一層キツくなったから。


「まあ、アレだ……半分以上自分の為だから気にすんな」


ほぼ俺が脱DTしたいが為にやった様な物だし……


うん、100パーセント自分の為だったわ。


「よーやったわウメオ!これでウチとも結婚出来るんやな!」


タープぅ!突然背後から抱き付くな!


あの爺さんの怨念が呪いまで行きそうな勢いで凄みを増してるから!


あれはもう、確実に人を殺せる憎しみだから!


「何でもいいけど、約束のハチミツは忘れないでよね?」


可愛い妹よ……普段はやらない癖に、俺の左腕に抱き付いているのはわざとか?


あの爺さんの怨念が暴走して倒れちまったぞ?


こんな俺が言ってもムカつくだけだろうが……爺さん、身体は大事に長生きしろよ?

レモンバターを乗せたステーキ美味しいです

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