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13 改良型肉バーガー・レモンジャム添え

ふぅ……凄いな粗塩。


炭の燃えカスや滴り落ちた脂の焦げ、フライパンの底の煤がみるみる取れたぞ。


特に煤がよく落ちる……今まで専用の洗剤を通販で買っていたのが馬鹿みたいだ。


だが塩はしっかり流さないと金属に錆が出やすくなるからな……その辺は洗剤の方が優れているんだろうけど、比べるのは一長一短って奴だろう。


後はしっかりと拭いて……ある程度乾燥させて、朝に組み立てれば終わりだ。


濡れたままじゃやはり錆の原因になるからな。


「よし、終わった」


さて、またリアカーに積んで戻るか。


朝から始めたのにもう夕方になってるし……いや、調子に乗ってフライパンや鉄板、その他調理器具まで洗ってた俺の自己責任ではあるが。


やはり可愛い妹に飯を作る様に頼んだのは正解だった。


そういや昼飯食ってなかったな俺……まあ1食ぐらい抜いたって死にはしないか。


後夕飯を食ったら徹夜してでもマヨネーズか、それに代わる調味料を見つけないとなぁ。





「ただいまー」


「あ、お帰りお兄ちゃん……夕飯出来てるよ」


ほう、この香りから推測するにカボチャのパイか。


可愛い妹はお菓子の他は甘い野菜かフルーツを使った料理が得意だからな。


しかし苺心は肉やベーコンの脂を嫌がる癖にお菓子に使う糖分はお構い無しなんだよなぁ……何故だ?


どっちも食い過ぎたら太るのは変わらないんだが。


「はい、パンプキンパイとイチゴタルト……それとサラダにレモンジャムを塗ったコッペパンのトースト」


可愛い妹よ……パイのサイズがシカゴピザ級だし、タルトはフライパンぐらいの大きさなんだが?


これに加えてサラダとジャムがたっぷり塗られたトーストまで食えと申したか?


流石にトーストは普通のサイズだが。


因みにカボチャは好き嫌いが分かれる野菜だが、可愛い妹は甘いから好きらしい。


「昼に食うたオレンジのオムレツも美味かったんやけど、このタルトいうんも美味いわぁ……ベーコンがないのに満足してまうで」


「肉がないのは淋しいけど、パンプキンパイというのも美味しい」


このサイズを前にしても平常運転の2人が心底頼もしい……しかもメシの顔しやがって、惚れてしまいそうなぐらいだ。


こんな美人に惚れない男は不能かゲイのどちらかしか居ないのは確実だが。


まあサイズに目を瞑れば確かに美味いんだよなぁ……特にこのレモンジャムが中々。


レモン果汁を砂糖と煮詰めながら皮の黄色い部分を千切りにした物が加えてあって、更にまだ熟していない青いレモンの皮も同様に入っていて……また腕を上げたな。


甘味は最小限に、酸味を強調しつつ微かな苦味がいいアクセントになって見事な出来映えになっている。


これを豚肉のソテーなんかに塗って食ったら美味いだろうな。


「……これだ!?」


「いや、どれや!」


いいツッコミだタープ、明日のベーコン料理は楽しみにしていろ。


「苺心、このレモンジャムはまだあるか?」


「え、あるけど……」


「マリア、朝になったら例の試作品を改良するから肉を頼む」


「解った」




よし、コンロを組み立てたし炭火も良い感じに燃えている……始めるか。


ベーコンは前回と同じ様にするから割愛して、ブタのロース肉をスライスしたら醤油とレモンジャムにコメ酒を混ぜたタレに漬けて、それを焼く。


ウシのランプ肉は女神様に貰ったソースを塗りながらミディアムに焼いて、少し休ませたら横の真ん中に隠し包丁を入れて柔らかく、噛み切り易くする。


ニワのムネ肉は半分にして叩いたら溶かしバターとパン粉をまぶして焼く……この付近だと卵が高いからな、1個で12バランとかぼったくりだろ。


なので溶き卵の代わりにバターを使ってみたが問題なくパン粉がまぶされたな。


後は前回同様に挟むんだが下段のニワムネにはレモンジャムを塗っておき、上段はソースを塗ればいい。


「どうやっても思い通りのマヨネーズが出来なくて苦労していたんだが……これならイケる筈だ」


「お兄ちゃん……私の手作りジャムをカロリー爆弾に使うなんて!」


待って、これはマリアを助ける為だから許して!


それと怖いからその鞭はしまって!お願いします!


「マヨネーズと違ってサッパリしてる……でも、美味しい」


「ウチはこっちのが好きやで、ホンマ美味いわぁ」


よし、反応もいいな。


カーニズ族の味の好みを知ってるマリアに、味覚だけは鋭いタープが絶賛したんだ……他の参加者が何を出してくるかにもよるだろうが、これなら勝機があるだろう。


明日にはカーニズ族の領土へ向けて移動しなきゃならんし、改良が上手く行って良かった。


「はぁ、マリアさんの為なら仕方ないか……レモンジャムは後で追加を作っておくよ」


「スマン、助かる」


こういう甘味系は可愛い妹が作った方が美味いからな……


近い内に渡す小遣いは弾んでおくぞ。





「やっぱり、ウメオにお願いして良かった……ありがとう」


おいおい、まだコンテストで勝った訳じゃないんだから礼を言うのは早いぞ?


そもそも引き受けたのはいつぞやの続きが気になったからだしな……自分で言うのもアレだが下心満載だったわ。


「ねえ、マリアさんにタープさん……本当にこんな下半身とバーベキュー欲で動いてる朴念仁でいいの?考え直すなら今の内だよ?」


それはどういう意味だ可愛い妹よ……


いや、朴念仁なのは自覚してるが言われると傷付くぞ?


「構わない、私はウメオがいい……実家ではそれか固い肉しか食べられず、むしろ嫌いだった脂肉をあんなに美味しく、しかも売れる様にまでしたウメオが好き」


え……まさかベーコンがフラグになっちゃってたの?


そんなのタープだけだと思っていたぞ。


ってさりげなく好きとか言うな、不意討ちでドキッてするから。


……不意討ちでなくてもドキドキするだろって?その通りだ。


「ウチもウメオが好きやで、それに気ぃ失っとる間に婚姻の儀もされてもうたみたいやし?」


……ん?


「……そのコンインノギって何だ?」


全く心当たりがないんだが?


というかタープまでさりげなく言うな。


「あー、ウメオは迷い人やったから知らんのやな……ウチみたいなエルフの婚姻は男が相手の耳の先端に触れた後で、女が相手にハグして、最後に女神はんから許可を貰うんや」


えっと確かあの時は俺が気を失ったタープの耳に触って……飯を食わせてやったタープが俺にハグしてきて、翌朝に現れた女神様が「タープが欲しいんならそれはアリや」って言ったよな?


あれって婚姻として成立しちゃうの?


「あん時はウチが気ぃ失っとったからか、女神はんが保留にしとるみたいやけどなぁ……せやからマリアの件がカタ着いたら改めてな」


「因みにダークエルフの婚姻は女神様の目の前でキス、それだけ」


割とアッサリ!


だがどちらも日本と違ってたった1回しか着ないウン百万のドレスが数着とか、給料3ヵ月分の指輪とかに金が掛からないのは助かった。


それはいいとして……うん、少し整理しよう。





方や食欲もといベーコン欲に支配されたエルフ……方や酒に弱い大酒飲みで守銭奴のダークエルフ。


2人揃って黙ってさえいれば美人の類なんだが、俺の作る料理を美味そうに食ってくれるんだよなぁ。


欠点が目立つのはお互い様だし美人なら許される、ってか俺なら許す。


悩むまでもなかったわ。


というか俺はこの2人を逃がしたら一生結婚出来ない自信がある……マジで魔法使い一直線コースだ。


それだけは嫌だ。


「……本当にこんなバーベキューしか脳がない、シスコンでヘタレな俺でいいのか?後悔はないのか?」


「構へんよ」


「構わない」


……こんなハッキリと言われたら覚悟を決めるしかないじゃないか。


「ああ……幾らでも相手が居そうないい人達がお兄ちゃんの毒牙に」


可愛い妹よ……そろそろ止めてくれないと俺が泣くぞ?


というかお前がツバ付けたショタ共が逃げ出すぐらいに厳しい指導かますぞ?




夜……風呂も済ませて酒も飲んで後は寝るだけなんだが、今夜からは俺とタープとマリアで1部屋を使うらしい。


……なしてや!?


「スゥ……スゥ」


「ンー……ムニャ」


2人曰く、「結婚するまではお預け」だそうで……さっさと寝ちまいやがったよ。


ただでさえ溜まりに溜まった欲望を発散する暇がない所に美人2人の抱き枕という状態で……どうやって寝ればいいんだ!?


チクショウ……絶対コンテストに勝って、2人をヒィヒィ言わせてやる!


しかし今は何としても寝なければ身体が持たん……仕方ない、残った酒を全部飲んでやる!

レモンジャム塗ったポークソテーが美味いんです

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