12 BBQ式ホワイトシチュー・五右衛門風呂添え
あの現場は可愛い妹に見られていたらしくアッサリと2人にバラされた……
って可愛い妹よ、何してくれてんの!?
「ウメオなら別に構へんよ?」
「ウメオならいい」
……何故に?
いや、嫌われなくて良かったとは思うが……もしかして俺は男として見られていない?
「パンツ見られて騒ぐぐらいなら、わざわざ添い寝なんてしない」
あー……ごもっとも?
って朝のアレは寝惚けてた訳じゃなかったんだな。
「まーウメオならちゃんと責任を取るやろうし」
責任って何をさせる気なんですかね?
解らんけど、とりあえず夕飯はベーコンマシマシで作っておこう。
用意するのは皮を剥いたジャガイモ、タマネギ、ニンジン……ニワの骨付きモモ肉。
メンチカツサンドのお礼だとかで貰った、この辺で栽培されているらしい食べ頃のカボの実……これは間違いなくカボチャだわ。
それに小麦粉、バター、ウシのミルク、最後に当然ベーコンだ。
ベーコンはいつものスライスや厚切りではなく、豚の角煮ぐらいのサイズにカットして使う。
炭火はいつもの片側寄せにして、と。
骨付きモモ肉は塩コショウを振ったら火のない方に置いて、鉄屑を金属加工して作った小型の蓋をして蒸し焼きしておく。
で、火のある方でフライパンにバターを落として溶かし……小麦粉を炒めつつミルクを少しずつ加えてホワイトソースを作り、ボウルに入れて冷ましておこう。
このホワイトソースはあえて味付けをしない。
次に教会の備品の鍋にミルクを入れて火に掛けて、ベーコンもたっぷりと入れておく。
この鍋、やけに軽くてテカテカしてるのが気になるが汚れてる訳ではなさそうだし、別にいいか。
この辺りでモモ肉をひっくり返してまた蓋しておく。
ここらで野菜を切るんだがその前に……カボチャは丸ごと、炭火で焦がさない様に焼く。
その間にジャガイモ、タマネギ、ニンジンを細かくしといて……と。
こうするとカボチャは柔らかくなるからな……皮と種を取り除いて、裏漉しする。
洗ったフライパンにバターを溶かして切った野菜を炒めて……火が通ったらミルクの鍋に全部入れて煮る。
この頃には骨付きモモ肉も充分焼けているからな、同じくミルクの鍋に突っ込む。
ある程度放置して肉が柔らかくなったらホワイトソースを少しずつ入れて溶かして……全部入れたら味見する、と。
手間は掛かるがこうした方が焦げる事なく作れるからな。
「……よし」
最後に裏漉したカボチャを少しずつ入れて溶かして……これで甘くて美味いシチューの完成だ。
カボチャ以外にトウモロコシのペーストでも美味いシチューになるんだが……マリアはトウモロコシが嫌いだからな。
それに折角の頂き物だし、野菜は新鮮な内に食った方がいい。
「甘いのに強い塩気のシチュー……ニワも柔らかくて美味しい」
「こんな塊のベーコンも柔らこうて美味いわぁ」
ふぅ……こいつは非常に手間が掛かるが作って良かった。
予めホワイトソースを作っておけばざく切りの肉と野菜を水から煮て、ホワイトソースとミルクは後から入れるだけでいいんだが……
どうせならバーベキューらしく作りたいし、こうやって作った方が美味いからな。
何より可愛い妹もこれなら沢山のベーコンを食うし。
「お兄ちゃん、パンの追加炙って」
「はいはい」
おっと、可愛い妹には伝えておく事があったな。
「苺心、俺は明日コンロの掃除で丸1日使うからな……飯は頼む」
「あ、もうそんな時期だっけ……解った」
これで良し、と。
幸い今回は尊敬するピットマスター(故人)が御用達だったという洗剤があるからそんなに時間は掛からないだろうが……
ずっとある訳じゃないし、いい機会だからこの世界特有の粗塩で洗うやり方も試しておかないとならんな。
「コンロってその火ぃ起こしとる奴やっけ?」
「うん、コンロを1~2ヵ月に1回は掃除しないとお肉が美味しく焼けないんだって」
「それは一大事」
因みに定期的に洗わないといけないのは網や淵、蓋の裏に付着した肉や魚の脂が酸化して悪臭を放つし、錆の原因になるからだ。
それが肉や魚に付着なんてしてみろ、どんなに美味い食材も台無しになっちまう。
何より不衛生だし、錆び付いたコンロや鉄板で料理する奴は居ない。
錆は言い方を変えれば金属に生えるカビだからな。
網だけは毎朝洗ってるが、流石にコンロは時間が掛かるので仕方なく月単位で洗う事にしている。
とはいえ日本と違ってこの世界じゃ決まった仕事はないからな……これからは週単位でもいいか?
……いや、週だとベーコン食えないからって泣き出す奴が出るな。
主にエルフの200歳児と、ダークエルフの249歳児がベーコン食わせろって絶対に騒ぐ。
可愛い妹は野菜や魚はともかく、肉はほとんど料理しないからな。
さて、明日はコンロの掃除と決まっているが先に風呂で自分の掃除をしなければ。
毎回ドラム缶風呂でもいいが入って出て沸かして、を繰り返すのは大変だったからな……どうせならペスカタの宿にあった足を伸ばせる風呂を再現しようと五右衛門風呂を作った。
風呂桶には材木を使って大きく広く作ったから、大人3人までなら足を伸ばしながらゆったり出来る……まあ組み立て自体は職人を頼ったけど。
テレビで見た程度の知識しかなくて無茶な注文をしたにも関わらず組み立ててくれた職人には代金3000バランに加えてお礼としてベーコンを差し上げた。
更に風呂桶は教会の空き部屋に入れたし火は外で燃やすから覗きの対策もバッチリ、煙を逃がす煙突に湯気を逃がす通気孔も設置した……これがなければ1000バラン安くなったとか聞いたが必要だったから仕方ない。
それに広くした分沸かすのに時間が掛かるけど……それだけの価値はあるだろう。
既に可愛い妹達の入浴は終わったし、後は俺が入るだけだ。
「ふぅ……やはり足を伸ばせる風呂はいいな」
広い風呂に1人で入浴……これは中々の贅沢だな。
少し熱いが入ってる間に慣れるだろうし、一々薪をくべる手間を考えればこれでいいだろ。
ここに冷たい酒があればより良かったが入浴中に飲むと可愛い妹がキレるからな……酒は出てからにしよう。
買い込んだイチゴのワインはクーラーボックスの中で、風呂から出るまでにはキンキンに冷えている筈だし。
因みに氷は1キロ2バランで売っていた。
どうやって作ってるのかは知らんが魔法がある世界だからな……酒をちゃんと冷やせるなら気にせんぞ。
「冷たいイチゴのお酒……私も飲みたい」
「ウチはベーコンの方がええなぁ」
「なら出たら炙ったベーコンをツマミに一杯……」
……あれ?
おかしいな、今この風呂には俺しか居ない筈だが……余りにも熱過ぎてのぼせたせいで幻覚でも見えたのかな?
それとも欲求不満が溜まっていたか……そりゃあんな美人にくっ付かれたり添い寝されたりしてりゃ発散なんざする暇がないのは確かだが。
何とか1人の時間を作ってどうにか処理しないとならんな……
「ウメオ、どうかした?」
「水でも飲むか?」
って幻覚じゃねぇし!?
落ち着け俺……まさか二人が入ってた所に来てしまった可能性がある。
その時は……土下座しかないな。
「……何でお前等まで入ってる?」
さっき苺心と一緒に入ってたと思ってたんだがなぁ……って素っ裸ぁ!
余り長く入ってたらふやけるぞ……じゃなくて、肝心な部位は湯気で見えないけどせめてそういう所はタオルで隠せ!
俺の聖剣が敏感に、かつ過剰に反応してしまうから!
「大丈夫や、話で聞いた程度の知識しかないけど標準よりはデカいし、ちゃんと剥けとるで!」
「大丈夫、昔見た私のパパのよりも大きい」
「どこ見てんだお前等ぁ!?」
くそぅ……何で俺の周囲に漂う湯気は仕事をしないんだ!?
俺だけバッチリ見られるって不公平だろ!
「イチゴがゆーとったんよ、鈍感にはこんぐらいせんと進展せぇへんて……ウチかて恥ずかしかったんや」
「裸の付き合いは大事、それにタオルを湯船に入れるのはマナー違反……でも流石に恥ずかしかった」
風呂から出て開口一番にそんな事を仰りやがりますか?
マナーはその通りだが、なぜ入浴を男女で別けたかをだな……
あー、風呂上がりのミルクが美味い。
「安心して、こんな姿はウメオにしか見せない」
「ウメオ以外やったら頭どついて記憶を消したるわ」
やだこのエルフ達……こういう所が無駄に漢らし過ぎる!
肝心な所が見えなかったのが心底悔やまれる……俺って湯気に恨まれる様な事したか?
天然のぼかし加工を見れたと思えば貴重な体験だったが、俺だって健全な男だぞ……ぼかしよりもその先にある楽園が見たいに決まってる。
まあ、それはもういいとして……
ふぅ、やはりこのイチゴのワインは冷やした方が美味い。
タープは酒も飲まずにベーコンをがっつくな……マリアはいつの間にコメ酒を持ってきた、ってイチゴのワインをツマミにコメ酒を飲むな!
「でも安心した、ウメオのアレはちゃんと反応していた」
「せやなぁ……ウチ等に手ぇ出さんから不能を疑っとったんやけど」
俺の聖剣がいきり立つ所までしっかり見てんじゃねぇ!?
というかそれは蒸し返すな!
「イチゴが、ウメオはただのヘタレと言ってたのは本当だった」
「やっぱウチ等から行った方がええんか?」
「お前等……そういう話はせめて俺が居ない所でしてくれよ?」
こうなりゃ自棄だ……しこたま飲んでやる!
あ?その後はどうしたって?
真っ先にマリアが酔い潰れたから部屋に連れて行って、俺は車で寝たよ。
五右衛門風呂から出ると足が真っ赤になるのは何でだろう……




