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99 大勢との再会・領主の愛馬添え

よし、ベーコンは用意できた。


ガンボ用のアンドゥイユも準備したし、コメ酒も入手した。


アンチョビも手紙でマレスに頼んであるから問題はないだろう。


後はジョニーさんが来たら出発するんだが……


「ウメオっち、ベラバーガーおかわりっす!」


既に12個も作ったのにまだ食うつもりかお前は……すぐに出来るから食えるなら作るけど。


というかこのベラバーガーは繁忙期の畜産農家や肉屋が賄いで食う物なんだがな……


要は有り合わせのハンバーガーって奴だ。


俺はダニエルさん達とポーカーをする度にボロ負けして食わされていたけどな……だがお陰で牛肉の良し悪しが解る様になったぞ。


豚や鶏に羊はまた別の物で良し悪しが解ったが……まあ生じゃ食えないしな。


「そんな手抜きのハンバーガーを、グリルちゃんの目の前で野菜狂信者に食べさせたお兄ちゃんの責任でしょ」


「それを言われると返す言葉がないな……」


遂に可愛い妹も連中を野菜狂信者と呼ぶ様になったか……とはいえ今までは呼んですらいなかったけど。


まあベラバーガーに関しては衛生面に注意してるし、生で食えるウシ肉のみで作ってるから当たる事はないだろ。


だかな、確かに簡単に作れるベラバーガーではあるが決して手抜き料理ではないんだぞ?


因みに他は俺が干物におにぎりと味噌汁、可愛い妹とキャリにハイドラ様の娘はアップルパイを、タープとマリアは両方を朝飯にしている。


話の通りならもう少しで安定期に入るらしいし、そしたらマリアを連れて報告に行かなきゃなぁ。


行ったら大量のサツマイモも買わされてマリアの両親に丼飯シリーズを教えつつロリババアにはベーコンエッグ・フライパンパイをおみまいする必要があるだろうけどな。


「何だ、まだモーニングの最中だったのか?」


「ここに居る小動物の食欲が旺盛でな、もう少し待っててくれ」


「ウメオっち、アタシを小動物扱いは酷いっすよ」


誰もグリルの事とは言ってないだろ……合ってるけど。


というか自覚があるなら少しは遠慮しろや。


「まあ仕方ないな、とりあえず俺にコーヒーを淹れてくれ」


「おう」


俺はコーヒーを毎朝飲むからすぐに用意できる。


物々交換前にコーヒーミルを作ったが、やはりこれは便利だしペスカタで買ったコーヒーの味も良くなった。


こうやって淹れたコーヒーはレクタさんも気に入ったみたいだし、ミルクで割ればキャリも飲める。


可愛い妹はミルクに加えて大量の砂糖も入れなきゃ飲まないし妊婦にカフェインは禁物らしいからタープとマリアには飲ませていないが。


まあ飲めたとしてもタープは好きじゃないだろう。


「ホゥ、ミルも作りやがったのか……豆はペスカタ産らしいが渋皮の雑味がなくなっていい味だな、仕事が終わったら俺にも作ってくれないか?」


「お安い御用だ」


って渋皮……もしかして多少感じたエグみは渋皮のせいだったのか?


あれもコーヒーの持ち味だと思って深く考えなかったが、そりゃない方が美味いよな。


「ウメオっち、もう1つお願いするっす!」


本当によく食うなお前は……


これじゃいつになれば出発できるのやら。


「ふむ、挽肉にチリにコショウをタップリか……出来たぜ」


「ふぉーっ!これはウメオっちのベラバーガーより若干美味しく感じるっすよ!」


いつの間に作ったのかも気になるけど食うの早いな!


「若干か、ちょっと見ない間にボーイも成長した様だな……次から挽肉を纏める前に手を冷やすか捏ねる時間を短くしてみろ、更に美味くなる」


「そうか、手の熱で挽肉がダレちまっていたか」


その辺は注意しているつもりだったが、まだまだ及ばないなぁ。


だが目標があった方がやりがいがあるって物だ。





何やかんやあってペスカタに到着、と。


領主の住まいはシェラフが居るのと同じ街だが可愛い妹はハイドラ様の娘と留守番して貰った……妊娠中の2人の食事の面倒を見て欲しかったし。


今回来たのは俺とジョニーさん、式に呼ばれていたらしいレクタさんとキャリ、何故か同行してたグリルだ。


宿の手配をする前に領主に挨拶するんだが……先にマレスと合流しないとな。


式に出す料理には頼んでおいたアンチョビが必要らしいから。


「おお、ウメオではないか!」


「ロ……インナーさんとマットさんも呼ばれてたのか」


「ヒャッヒャッヒャ、可愛い妹の晴れ舞台じゃぞ?呼ばれんでも強引に参加するわい」


「安心しろ、ハニーはこう言っているが領主から正式に招待されている」


まあ仲は悪いらしいが唯一の身内みたいだからなぁ。


それにロリババアはカーニズの族長だし領主の結婚となれば呼ばれもするだろ。


「おおそうじゃった、ウメオには言っておいた方がいいかのう……今回の式は各地の貴族の他にも4部族の長が呼ばれておってな、ヴィガンの族長かそれに近い身分の者も来る筈じゃ」


「マジか……」


そりゃ領主はペスカタだけを治めてる訳じゃなくてエルフの里全体を治めてるらしいからなぁ……


ペスカタだけでなくカーニズにケンタンも、となれば野菜狂信者だって呼ぶよな。


まあ多少の危険はあるかもだが野菜狂信者を束ねる奴のツラを拝みつつ肉か魚を食わせるチャンス、確実に物にしないと。


「警備についての心配はいらん、領主の私兵は腕利きが多いし領主自身も強い……問題はウメオ達だが何かしらの対策はしてあるだろう」


そりゃ今までの事を考えると野菜狂信者が来るとなれば真っ先に俺が狙われるだろうからなぁ……だが謝る気は一切ないぞ。


そもそも全てはトゥール様の指示なんだから仕方ない。


「……そういやケンタンとペスカタの族長って誰なんだ?」


「言っとらんかったか、ワイがケンタンの族長やで」


まさかのレクタさんだったのかよ!


道理で呼ばれた訳だ。


「因みにペスカタの族長はパパですよ」


おっとマレスも来たな……ってペグさんが族長だったのか!


そりゃ酒屋のあいつもサーマには逆らえんわな。





マレスにサーマ、ペグさんとも無事に合流して領主邸に来た……のはいいが随分と普通な建物だな。


貴族の屋敷ならそれなりに豪勢かと思ったらウチの新居と比べても大差ないぐらいだ。


横の馬小屋は貴族らしい凝った作りをしてるが広さに対して3頭しか居ない……って領主とアンカーが自ら馬の世話をしていやがる。


因みに馬は以前も見た芦毛の馬、やけに大人しい鹿毛の馬、逆に気性が荒そうな鹿毛の馬だな。


「おお、来てくれたか」


「あ、ども……来ました」


って何故か芦毛の馬が俺に近付いてスリスリしてるんだが……


「ハハハ、タマはこの前餌をくれた君を気に入った様だぞ」


リンゴと砂糖と豆、それも手を加えてない素材そのものしか与えてないんですがそれは……豆は水煮にしてたけど。


好かれるのは悪い気がしないからいいけどな。


「パパ、このお馬さんカワイイ!」


キャリはキャリで気性が荒そうな鹿毛の馬に好かれたらしい……そう見えただけで俺の気のせいだったか?


だが馬よ、キャリと仲良くなるのは構わんが嫁にはやらんぞ。


「これは珍しいな、スイプが私とアンカー以外の者になつくとは……因みに鹿毛のスイプとベルは牝馬だから安心するといい」


見透かされていたとはお恥ずかしい。


そしてやっぱり荒いのか……凄いなキャリ。


ベルとやらはさっきから黙々と餌を食っててこっちを見やしねぇが。


ってずっとスリスリされてると段々くすぐったくなってくるな……キャリのオヤツにと持ってきていたバナナでも与えておこう。





ふぅ、領主とアンカーに挨拶したし宿の手配は済ませてくれていた。


と言ってもいつもの宿じゃなくて領主邸のすぐ裏にある宿だったんだけどな。


風呂が広いからいつもの宿が良かったんだが「私とアンカーの警備に大多数の人員を裂いているから近くに居てくれた方が都合がいい」とか言われたら断る事は出来ないだろ。


アンカーが「折角だから夕食は貴様が作れ、ベーコン以外の食材は用意してある」と言いさえしなければ納得も出来たんだがなぁ!


まあ作るんだけど。


とはいえマレスはキャリに掴まってしまったから俺とジョニーさんでやるしかないが……


「領主のご指名だ、ディナーはボーイ1人で作るんだな」


つまり手助けはないって事か……ちくしょう。

愛馬は添えても食べません

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