表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で頑張る  作者: 平田凡太
森の館
46/50

館内部

 ベッドの上で横になっていたらいつの間にか寝てしまったようで、陽は完全沈み、部屋は闇に包まれていた。


 その時、静かな部屋にコンコンコンと三回ノックが鳴る。建て付けが悪いのかそのノックだけで扉が軋みながら開く。


 寝返りをうつフリをし、扉の方へ寝返り、心眼を駆使し薄目で様子を見ると、部屋を覗いているベルの姿が見える。

 ベルは静かに扉を開け、扉の軋む音に小声を漏らし、部屋を静かに歩き、床の軋む音にも小声を漏らしながらも近づいてきた。


 何やら面倒ごとに巻き込まれる予感がしたのでもう一度寝返り、目を閉じてベルが帰るのを待っていると、体を軽く揺さぶられる。


 ベルは何やら必死な様で揺れが段々と強くなってくる。やがて、これで起きない方が不自然なくらい揺れが強くなる。

 これ以上を誤魔化すのは無理があると判断し、寝ぼけたフリをして向き直る。

 そこには二つの大きな山が顕在し、二つの大きな山は躍動を減速し鎮まっていく。


「あ、あの夜分遅くにすみません……えっと……」


「どうしたんだ?」


「あの、その……お手洗いに……」


 この姫様は箱入り娘なのだろうか。もう夜中に付き添いを連れていく歳でもないだろうに……


「部屋は変わってるし……カインさんは起こしても起きないし……」


「そんなに怖いなら朝まで我慢すれば──」


 そう言い切る前にベルの顔を見ると、涙目でもうこれ以上は無理と訴えてきているのが伝わってくる。


 だからなんだって話なんだが。

 別にこいつが漏らしたところで関係は──

 ここである一つの考えが脳裏をよぎった。

 もしもベルが漏らした場合、大声で泣くかも知れない。

 すると隣の部屋からカインが飛び出してくるだろう。

 現場には泣く女とそれを眺める男、そして正義感の強そうなカインが集うわけだ。最悪この館が戦場になる。


 ここで恩を売るってのもあり、と自分を言い聞かせて付き添う。

 ただ向かう途中、付き添いで恩を売る事は不可能ではないのか、むしろ弱みの部類なんじゃないかと閃いたが考えるのをやめた。


 姫様の護衛として手を繋ぎながら暗い廊下を進んでいく。手を繋ぐと言ってもルンルンで歩いているわけでない。


「だ、大丈夫? いる? ちゃんといる? これ本物の手?」


 などどずっと小声で生存確認をされながら歩いている。

 相槌をうたなかったり、廊下の劣化具合を見ているとすぐさま振り向き、安堵の表情で向き直るという工程を行う。


 トイレに到着すると、ベルはやや小走りになり、トイレの近くで待っている様に強めに言われた。トイレも暗いはずなのに平気なのだろうか。


 待ってる間にある事象に気付いてしまった。

 この音が静まり返っている場所で音が発生したら、その音だけに意識が集中してしまうのではないか。

 現に布の擦れ合う音が聞こえる。


 流石に音を聞くのはまずいと思い、トイレからあまり遠ざからないようにうろうろしていると、壁に窪んだ長方形を見つける


 その周辺を見てみると、薄っすらと線が見える。ほとんど壁の模様に同化している扉があるようだ。

 スライド式の扉なのだろうか、と横にズラすがビクともしない。こういうものはスライドすると見せかけ、押すものだと、押してみるも開かず、引いてもみるが開く様子はない。

 まさかと思い、人差し指力を入れ上に持ち上げると扉が持ち上がる感覚がある。

 指先に力を入れ持ち上げるが、思った以上に重く、数センチ程しか浮かない。浮いた空間に足先を挟み、隙間をつくり、持ち上げる。


 扉を音が鳴らないようにゆっくりと扉を降ろしきる前に、支え棒として代用出来るものを探すが、部屋内には物干し竿以外に代用できそうなものはなかった。

 縦に挟むには長すぎるので、最低限の隙間が出来るように物干し竿を差し込む。


 その部屋は埃っぽく数ヶ月は掃除されてはいないようであらゆる所に埃が溜まっている。

 物干し竿があった事から倉庫と推測出来るが、倉庫にするには不便な扉の造り……


 何か閃きそうだったが、ベルの呼ぶ声が聞こえ思考が中断される。トイレの近くに居なかったから探しているのだろう。


 段々と声が近くなってくる。扉を軽く持ち上げると、ベルが棒に躓いたのか悲鳴が響く。

 棒は内側に蹴り飛ばされ、悲鳴に驚いた時に手を離してしまい扉が閉まった。


 扉を落とした音は大きく、扉を挟んでも聞こえるほどの悲鳴が聞こえ、悲鳴は次第に小さくなっていった。


 仕方なくもう一度持ち上げよう窪みを探すが、窪みはどこにも見つからない。

 どうにかして扉を開けようとするが滑って持ち上げられない。


 ダガーは……部屋に置いてきてしまったようだ。寝る時は流石に外しているからそのまま持ってきていなかった。


 今夜は倉庫で過ごし、救援が来るまで待つことを決意する。少し埃っぽいが仕方ない。


 寝る場所の埃を払っていると、床に棚を引きずった様な跡が残っている。

 棚にあるものを外に出し、棚をズラすと奥に続く階段が出現してしまった。

この話を去年七月初旬に書いていたのに、森での戦闘や便利枠のフィアを出したかったという理由で、今の時期での投稿と相成りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ