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異世界で頑張る  作者: 平田凡太
大会
36/50

第三幹部

途中まで名乗っていた人物は後ろによろめき鉄柵に手を掛ける。ファスタはそこに容赦無くラッシュを掛けるが、見えない何かに阻まれ直撃せず、後ろに跳び退けるする。


よろよろと立ち直り話を再開する。


「ふぅ……ボクが名乗っている途中に殴りかかって来るだなんて、これだからニンゲンという種は野蛮で嫌いなんだよ」

「さて、さっきは油断してたけど改めまして自己紹介を。ボクは魔王第三幹部ネロ・クラウド。気軽にネロとでも呼んでくれても構わない」


ネロ・クラウドと名乗る人物はローブを脱ぎ捨てる。ネロの顔付きは中性的で、身体付きは空気抵抗を最小にする様なフォルム。ローブで身体を隠していれば少年の様な者だが、声からして女と察することが出来る。


「あんたの目的は何よ!」


ファスタがネロに対し、悪側に対するテンプレートな問いを投げる。


「何を言っているんだい?そんなの聖剣が目的に決まっているじゃないか。ま、今回も嘘の情報だろうけどね」


「聖剣って何だよ。こちとら賞金稼ぎに来てたんだよ。今回の大会潰れたら無一文で旅せにゃならんのだぞ!」


割と真面目な話で死活問題に繋がっているので今回の大会が潰れてしまったらこの先の未来が見えない。この時ファスタが少し目を逸らしているので後で個人的に問い詰めるとしよう。後ろめたいと思うなら止めておけよ。


「ああ、君達は異世界からの旅人か。特に君達の扱いをどうしろとか言われてないんだよね」


ネロはそういうとこちらを品定めするように見つめてくる。


「そっちの女の子はもう戦闘態勢に入ってるね。でも闘うとなったら一対二じゃ流石に不利だと思うんだよね。平等にいかなくちゃ」


ネロは指を鳴らすと大きな翼を生やした竜がファスタを掴み飛び去って行く。


「心配しなくて大丈夫。あっちの闘技場に送り込むだけだから。ま、あっちの闘技場には今数十以上の魔物がいるけどね」


ネロが陽を手で遮って竜を見送っている間に、不意打ちを決め込むが、振り向きざまにネロは攻撃に気づき、目の前で風はかき消される。


「さっきの攻撃といい、今の攻撃。あの時のは君だったのか」

「忘れたとは言わせないよ?」


主語を使え。主語を。


「この街の下見をしている時に、攻撃を当てた上に電撃で気絶させておいて……そのお陰でボクは病院送りだよ」


「っと、そんな無駄話はいいか。それじゃ死んでね」


ネロが小声で呟くと深い闇が現れ、目の前にファスタを連れて行った竜よりも大きな竜が咆哮を上げる。耳をつんざく様な咆哮に思わず耳を塞ぎ座り込む。竜の奥を見ると涙目で耳を塞ぎ座り込んでいるネロの姿が見える。


お前も怯むのかよと言いたい気持ちを抑え竜を見ると目があってしまう。竜の目は鋭くこちらを睨み、本能的に膝がすくみ立つことすらままならない。多分、いや絶対に勝てない。


逃げるには遠すぎる扉、立ち向かうには大きすぎる敵──そんな絶望を消し去るように突如光が竜の右目を貫く。そしてそのまま光は屈折し翼に穴を開ける。そして足と次々と竜の身体を通り抜けていく。


「やぁ、助けに来たよ」


声が聞こえた方を見るとキラキラオーラを纏わせたシアンが立っていた。フリッカが来て欲しかった……などという贅沢を言っている場合ではない。誰かが来てよかったという事に感謝しなくてはならない。


「うるさい音を聞いてね、走って来たよ」


安心して会話をしている場合ではないと慌てて竜の方に振り向く。


「もう大丈夫既に拘束済みだよ」


既に竜は気付かぬうちに光の軌跡に絡まり、身動きが取れない状態になっている。


「僕の光は殺傷性がない代わりに相手の神経に直接作用して行動不能にする様なものだからね」


「ボクの竜が……まあいい、いくらでも代わりはいるさ」


ネロが何かを口ずさみ竜は灰になり風に乗って消え去った。


「む。一人称が僕だけど、君は女の子だね?」


「女だからって一人称がボクってのはダメなのかい?」


ふむ、ボクっ娘という者は、安易なキャラ付けが出来る素晴らしいモノだが、現実だと痛いだけだと思っていた。しかし、可愛ければ割と問題ないということに気づいた。

相手から質問を真正面から答えるには勇気が足りないので、ここにフリップとペンがあれば大きく『あり!』と書いて掲げたいが、生憎フリップとペンがないので個人の主張は控えておくべきだろう。


「いやぁ、僕は女の子を傷つけるのはちょっとね」


「こんな時にそんなこと言ってる場合か!?」


「大丈夫、身体の自由を奪うだけだから」


「光の効果を聞いて躱さない馬鹿がいると思っているのかな?」


「そうだね、でも光の速さで動くものを捉えられるのかい?」


「光の速さくらい──」


ネロが何か言いかけている最中にネロの足元から光が差し込み、ネロを覆い尽くす。


「馬鹿正直に真正面から攻めると思ったのかい?」


「ぐ……うぅ……」


ネロは必死に身体を動かそうと呻きながらも指先をゆっくりと重そうに動かす。


「おおぅ、包み込んだはずなのにまだ動けるのか。でもまぁ行動は十分に封じたから大丈夫だろう」


ネロは封じられ一件落着────

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