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異世界で頑張る  作者: 平田凡太
異世界篇
27/50

隠密乱用

「……なるほどフィアさんはあの時の妖精で、心さんはフィアさんと星を眺めていた時に私たちが帰って来たから木の後ろに隠れた、という訳で良いんですね?」


「そういう事だ。」


 フィアが来た理由とフィアが心を読める事は面倒いから話さなかった。言ってもややこしくなりそうだし。


「それで、フィアさんはこれからどうするんですか?」


「天界いてもやる事ないから暫くの間ここに居ようかなって思ってるよ」


 天界いてもやる事ない……? あっ……これ以上は考えないでおこう。

 それが優しさだ……フィアが睨みつけてくるが気にしない。


「暫くの間ここに居るんですか。妖精さんでもパーティって入れますかね!? もし入れるならパーティに入りませんか!?」


 フリッカがそう聞くと、フィアが前の空間で何かをしている。

 あ、もしかしてステータスの確認に出てくるやつって自分以外には見えないようになってるのかな。

 今知った新事実、この世界の人ってそれ使えるのかな。使えなかったら使った瞬間異世界から来たってバレるって事か!?


 アレってどういうシステムで出来てるんだろ。押してる感じがあるんだよな。

 ステータスで確認出来るのは現在の状態とアビリティとスキルくらいだしな。

 スキルはステータス見ないと取得したか確認出来ないし、直接脳内に浮かぶ感じが良かったな……と考えていると


「それは天界でそういう世界観の作品が流行ってて、それに乗っちゃった感じだね。実際に確認出来るようになったのは今回の転移からだから不具合があったら言ってね」


 と横からフィアが小声で説明してきた。

 不具合って……何だかゲームの中みたいだな。


 スイスイと操作していたフィアの指が当然止まる。


「……どうやってパーティに入るの?」


 フィアが困ったように聞く。よくわからないまま操作してたのかよ。


「あっ! 入りますか! それはですね──」



 紆余曲折七転八倒あってフィアが勇者の仲間に加わった。


「仲間に加わった事ですし、中でお話ししましょう! フィアさん!」


 そう言われフィアがフリッカに連れて行かれる。

 何故今まで家の中でやらなかったのか。家の中に入ると不思議そうな顔でファスタが近寄ってくる。


「ね、ねぇ……フリッカちゃんが何も居ないとこに喋りかけてるんだけど……さっきまで二人で何話してたの?」


 ファスタには見えないのか。どう説明すべきか。見えないし、聞こえないなら説明しても無駄な気がするんだよな。


「フィアはな、清く、そして純粋な心を持つ者にしか見えな──」


「それは嘘ですから聞かなくて良いですよ」


 フリッカが俺の言葉に被せて言った。ああっ! 俺を見るファスタの目が! 廃棄物を見るような目に!

 ファスタに対する信用度が下がってしまった。雑用をクビにされる時期が近くなりそうだ……これは良いことなのでは。


「嘘は許してあげる。それでどうやったらフィアちゃん?は見えるようになるの?」


 とファスタが聞いてくるが、そんな事より重大な事に気付いてしまった。

 この家は狭くは無いが、広くも無い。

 ベットがあり、ソファがある。

 物置棚があり、机と椅子がある。

 この中で休めるスペースはソファとベットしかない。

 つまり、ゆっくりと休めるスペースは二つ。

 今はフリッカとフィアが楽しそうに話している。

 ベットは二人に譲るとすると、必然的に狙うはソファ!

 幸いファスタはこの事に気付いていないだろう。

 隠密を使いソファへと向かう。


「心さんっていつも何考えてるかわからないですよね」


「……想像以上にくだらない事考えてると思うよ」



「何やってるの雑用? そんな格好で」


 至近距離じゃ流石に無理か。何か注意を逸らさないと……

 何もないな……何かを考えている間にファスタがソファに寝そべる。


「それじゃ、詳しい事は明日の朝聞くからね? おやすみ」


 そう言うと、ファスタはゴロンと横になり、寝始めた。フィアが少しにやけていたような気がするが気のせいだろう。


「私達ももう寝ますか。それじゃあ光弱めますね。おやすみなさい」


 二人ともベットに潜り込み、やがて光が消え、星の光だけが見える程の暗闇となった。


 仕方が無い……床で寝るか。

 そう思い、床に倒れると、冷たく硬い感触に苛まれる。

 ……眠れないな。寝心地もあるが、流石に三度寝してすぐ寝られるわけない。

 という事はフィアも起きてるのか? そう思いフィアの方を見るが、寝ている様だ。すぐ寝れる体質が羨ましい限りだ。


 音の少ない静寂に包まれる。聞こえてくるのは三人の寝息だけだ。


 やる事が無い。こうなれば第一回街の探索夜の部を開幕する他ない。

 そう思い立ち、隠密を使い家から出る。

 夜の街は何があるかわからない。常に隠密を使って行動しよう。

 そう心に誓い夜に街へと、青年は飛び出した。

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