妖精は少し抜けてる
扉に手を掛ける、が開かない。嘘だろ?、締め出された…?鍵なんて持って来てなないし、壊すか?壊すしかないのか?……普通にノックすれば良いだけか。一時困惑したが、冷静になりノックをする。ついでに聞き耳を立てておこう。
「__誰か来ましたよ。私が出ましょうか?」
「うん。フリッカちゃんお願い」
という会話が聞こえ、フリッカが笑顔で出迎えてくれる。ああ、穢れた心が浄化される。もう女神として崇められても何も可笑しくない。
「あ、心さん!おかえりなさい!__あれ、その後ろにいる可愛らしい子は?……まさか誘拐してきたんですか!?こんな可愛い女の子が二人いるのにも関わらず……これ以上のハーレムを望むのですか!!」
とフリッカにまくし立てられる。いや誘拐してないし、後ろにいるファスタが誘拐ってワード聞いて立ち上がってるし、自分で可愛いって言うのかよ。可愛いけどさ。あとハーレムって…というか何でフリッカにフィアが見えてるの?
「この子真実の指輪をはめてるから見えてるんだと思うよ。どうする?」
とフィアが聞いてきた。どうするって聞かれてもな……妖精って常に見えない存在だと思ってたし、妖精ってバレても平気なのか?そもそも妖精って言って信じるかな……魔物が存在する世界だから妖精は信じるかも知れないけど、どうして俺が妖精といるかが問題なんだよな。
「……もう何でもいいから誤魔化して」
とフィアが小声で喋る。誤魔化すって言われても……その場しのぎの嘘でもいいか
「この子は…街に行ったら一人で暇そうだったから声掛けてちょっと遊んであげてた」
完全に内容が誘拐犯じゃねえか。言い訳は得意なんだけど誤魔化すのはあまり得意じゃないんだよ……たまにうまくいく程度だし。フィアに視線を少しやると呆れた顔で見ている。
「心さん?それは誘拐行為と何も変わらないですよ?分かってますか?」
フリッカの顔は笑っているが、目が笑っていない。フリッカの周りに何か出てるんだけど、かなり怖い。このまま誤魔化して進めるか?それと本当の事を言うべきか?何を言うべきか言い淀んでいるとフィアが切り出す。
「えっと私はこのお兄さんに街で迷ってる時に助けられたの。だからお兄さんは誘拐なんかしてないよ?」
ナイスアシストだ!フィア!これでフリッカが納得してくれれば全て解決する。そう思いフリッカを見ると
「そうだったんですか。一度この街を周りましたが人の様子は確認出来ませんでしたよ?」
「助けられたのは昨日でその御礼に……」
「昨日は朝早く街を出て、半日くらいダンジョンに居ましたからその余裕はないと思いますよ?」
フリッカが同年代の見た目での子でも敬語なのか。……まだ大丈夫だ。昨日の朝は図書館に行った筈だから。一応別行動を取ってると思う。そう心の中でアドバイスする。思考読めるって便利すぎじゃない?
「昨日の朝に道を教えて……」
「最初は暇そうだったからという理由なのに、途中から迷った事になってますよ?」
詰んだ。これは勝てないわ。正直に白状するしかないか。頑張ったけどもう無理だよね……何でここまで誤魔化してたんだろ。妖精という事がバレない為?
「それは数人程度なら知られても平気だよ。数人程度なら消せるからね」
物騒な事を言いよる。というかバレても良いなら誤魔化す必要無かったじゃないか。
「君が頭の中でゴチャゴチャ考えていたから、何でも良いから進めて欲しくて」
「あ…あの心さん?その子大丈夫ですか?」
「何が?」
「さっきから独り言を…」
あっやべ。考えてるだけで喋ってなかった。フィアの方を見ようとすると俺の後ろに完全に隠れた。やっちまった感があるな……普通に喋るのと思考の声は変わらないものなのか?
「違うけどさ……話してる感じだったから」
フィアの声からするにかなり恥ずかしかったようだ。
とりあえず全部フリッカに話そう。
※ファスタにはフィアの姿は見えてもないし、聞こえてもいません。




