城へ
「……ふぅ」
二人を見送り、ため息をつく。
「……ふぅ、じゃない!」
「何?」
「何で君も行かなかったの? 頭沸いてるんじゃないの?」
「頭が沸いてるからこうして留まっているわけで」
「屁理屈はいいから何で行かなかったの!?」
「聞きたい事あるし、あと考えたい事もある。一番の理由は自分で妖精見えるのに、妖精を正式に見るための指輪探すのは気分が上がらない」
前半部分はこの場しのぐためだけの発言だ。だが後半部分の理由は本当だ。
妖精見えるのにイベントクリアにならないのは正直やる気が削がれる。指輪の場所のヒントの一つでもくれればいいのだがそれすらない。一斉にイベント出すんじゃなくて分けて出せばいいのに。
「……まあいいよ。あの子達が戻ってくるまでソファで寝るから聞きたい事があったら今の内になんでも聞いて」
そう言いながら眠そうに喋る。
「じゃあ、まず何で俺が行かないと言ったら慌ててたんだ?」
「一人でやろうとしてた事があったの」
眠そうだし昼寝でもしようとしてたのか?
とりあえずやろうとしていた事の内容には触れないで、とりあえず謝っておいたほうがいいだろう。なんとなく。
「そうか。それはすまなかった」
「もう一個、ガイア……俺を運んできた時にいた男はお前が見えるのか?」
これは少し重要だ。ガイアがどんなアビリティ持っているか分からないし、それを知る事に損はない。
「普段は見えないと思うよ。でもあの時はあの男の人にちょっと力渡して一時的に見えるようにしたの」
「最後、なぜあの時運んでくれたんだ?」
これは全く見当がつかない。気絶する前に不審者フェイスでフィア見てた気がするし。
「私が見える人なんて居なくてなんか舞い上がっちゃって……じゃあ質問は終わりね? 寝るから戻ってきたら起こして。寝てる間に悪戯したら消し炭にするよ」
少し物騒な事を言いフィアは眠りに入る。
この空間じゃ寝ようと思えばすぐ寝れるが妖精にも適用されるようだ。妖精も睡眠を必要とするのか。この空間じゃ眠くならない筈なのに妖精は眠くなるんだな。
そういえば、この空間に来てから何も食べてない。空腹感や疲労感、眠気が感じられない。不思議と起きている間は頭が常に冴えている。そのおかげで余程の事がなければ冷静になれる。
……やる事なくて暇だ。前もファスタが放心状態に時もこんな感じだった。その時は漁ろうとしたらバレて縛られたんだよな。
今回のお相手は妖精。不戦敗でいいや……寝る前に消し炭にするとか言ってたし、加護が使えるなら消し炭にするのは朝飯前かもしれない。
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扉が開き、見覚えのある顔が二つ、笑顔で入ってくる。
ソファの方へ向かう二人を静止させ、フィアを軽く叩くが完全に寝ている。仕方はないのでベットに向かい寝かせる。
勿論この運んでいる動作は二人にとって何をやっているか分かっていないようで、ファスタは少し暖かい眼差しを、フリッカはキョトンとしたような目でこちらを見てくる。ファスタの暖かい眼差しは心にくるものがある。
「……おかえり。そんなに嬉しそうでどうしたんだ?」
「なんと指輪を見つけました! これで残るイベントは一つですね!!」
フリッカが嬉しそうに話してくる。ファスタにどうやって指輪を見つけたか聞くと、普通に店で売っていたらしい。価格は八万と一つのイベントしては安いのかもしれないと思うz
フリッカに指輪を見せて貰うように頼むと仕方ないなぁ……と言わんばかりの顔を表し、手に指輪を乗せる。
ポケットにしまってたのか。不用心だな……本物かどうか確認するため心眼を使って見る。
真実の指輪という表記の隣にイベントクリアの文字が見える。
しっかりと本物のようだ。これでこの空間ともおさらばだ。
フリッカに指輪をはめるように勧め、フリッカが指輪をはめるとフリッカは指輪に見惚れ、見惚れるフリッカにファスタは見惚れていた。
その間にフィアを強く揺さぶり起こし、二人が帰ってきて指輪を見つけた旨を話す。
「あとは妖精さんを見つけるだけで……」
フリッカはそう言いながらベットの方向を見る。フリッカの瞳にはそこには俺とその隣に可愛らしい耳を生やした少女が写っているのだろう。
フリッカは少し混乱してフィアと俺の顔を交互に見る。
「妖精さん……?」
「はい。そうなりますね。一応この人にも見えていますね」
ファスタは不思議そうな顔をしている。一人だけ見えていないんだ。当たり前の反応だろう。
フリッカは混乱しており指輪をはめたり外したりして最後には外し、ポケットにしまった。
心眼でフィアを確認すると?は無くなっておりイベントは全てクリアした事になるのだが……
街の上空から声が一定の声量を保ち聞こえてくる。
「イベントが全てクリアされました。イベントのクリアチームは一時間以内に城に来てください。もう一度繰り返します。イベントが──」
「やりましたね! イベント全部クリアですよ!!」
フリッカは笑顔で喜び、ファスタもそれにつられて笑う。強い光を感じフィアの方向を見ると扉のようなものを形成し入っていく。ひょっこりと顔を出し
「では、また今度」
そう言い残し去って行った。
「それじゃあ! お城に行きましょう!」
そう言うとフリッカはファスタの手を引き走る。そんな二人の後をついて行った。




