ワンターンスキル
全ての方に、感謝の意。
彼はいつのまにか、山にいた。
普段遠くの山を見て、自分があそこにいけたらな・・・と思っていた彼。
しかし、突然見知らぬ山のどこかに瞬間移動されて彼は動揺していた。
彼女は、家で料理を作りながら待っていた。
今日は彼の好きな料理でいっぱいだ。きっと彼も喜んでくれるだろう。
子供の元気な笑い声を聞きながら、彼女はいつもと同じ穏やかな日常を送っていた。
彼は山を下山していた。
遠くからの山の景色は綺麗だが、突然放り込まれても彼にはどうしようもない。
彼は、彼女と自分の子供の所へ帰りたかった。
彼女は、子供と遊んでいた。
料理を作り終えた彼女は、子供に絵本を読んであげていた。
早く彼の喜ぶ顔が見たい。彼女は、早く彼に会いたかった。
彼は自分の命もここまでだと思っていた。
熊の恐ろしさは、TVやネットでよく知っている。
熊は、容赦なく彼の方へと突進していた。
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「・・・・・・・!」
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彼女は、玄関の明かりをつけるのを忘れていた事に気がついた。
自分の自慢の料理を作り終えたこと。
子供の小さな成長に気を向けていた彼女は、つい忘れていたのだ。
自分の自慢の料理・・・。彼女は微笑む。彼はどんなに喜ぶだろう。
そして、あの知らせを聞いた彼はどんなに驚くだろう。
彼女は玄関の明かりをつけた。
闇は光で包まれる。
彼は、いつのまにか家の玄関の前にいた。
目の前にはぽかんと口を開けた彼女の姿。
彼は思わず涙ぐむ。
そして、彼女をギュッと抱きしめた。
彼女は最初わけが分からなかった。
しかし、彼女も彼と同じように抱きしめる。
光の下で、3人は暖かい気持ちでいっぱいだった。
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連絡員「状況はどうだ?」
彼女「どうやら、この世界に害をおよぼすような力ではありませんでした。いまから次の現場に向かいます。」
二人を監視していた彼女は報告する。
連絡員「しかし・・・、君は優しいな。もっと前に対処をしていれば早く済んだと思うんだが。・・・まあ、君らしいといえば君らしいがな。」
通信終了。彼女は、秘密機関へとその足を向ける。
今回は、運が良かったのかもしれない。最悪のケースも考えられた。自分があの時ああしていれば・・・。
彼女は、帰る途中で色々考えていたがやめることにした。いまさら考えたところで変えようもない。それに、彼女はこの結末に満足していた。
読んでくださった方、ありがとうございました。自分の中では、3部作にする予定なので、過度な期待はしないで待っていてください。・・・、面白く書けるだろうか・・・?