夜の詩
「以前逢った女の髪に
花の香りがついていて
夜の満開の藤のように
ほのかに匂う
思い出し
また逢えるか考え
もう逢うことはないと悟る
夜の闇には
背景がごとく
暗闇がたちこめ
彼女の姿は
在っても見えない
君の笑顔だけは
大事に仕舞ってある
あの古びた引き出しに
いつか月のように
君があらわれると信じて」
という詩があって
訳したらこんな感じなんだけど
原文は古風な文体で
いいおじさんが
こっそり書いたものだと思うと
なんだか可笑しい
だって恋ほど
夢のような幻想はない
どんなに追い続けても
きっと目覚める
なのに彼は
昨日のことのように
ありありと思い出す
一番美しい現実として
そう考えると腹が立つ
あの夢というもの