道連れ
コンビニから何処にでも居そうな、普通の青年がほっこりとした表情をしながら出てきた。
「来た、遂に、遂に!ラストワン賞!今日はついてる!このまま宝くじでも買いにいこう!」
どうやら、コンビニのあのクジを引いていたようだ。
あまりの嬉しさからか、少々声を出しすぎて周囲からは注目されているが嬉しさからか周りは見えていないようだ。
おまけに、かなり調子に乗っている。
「よし、そうと決めたら買いにいこう、そうしよう!ん?」
意気込み、そのまま宝くじ売り場え行こうとする彼の足下にいきなり輝く魔方陣らしきものが出現、それを唖然とみている。
「なんこれ?あれですか?最近人気の召喚もの?なにそれやだ、行きたくねー」
魔方陣は彼の意思など関係ないかのように、ますます輝きを増していく。
「くっ、俺はそんなどこともわからんとこに行く気はねー!お♪イケメン発見、お前が行け!」
「な、なんだよ!いきなり!」
隣に来たイケメン君を強引に捕まえ、自分のいた位置に立たせる。
「さー頑張ってこい、これがテンプレな人選だ。俺は今から宝くじを買いに行かなければならないからじゃな」
しゅたっと手を上げ敬礼しながら去ろうとする。
「意味わからんけど、取り敢えずまて」
ガシッと青年の腕を掴み、止める。
実は魔方陣は青年意外見えていない。
青年は見えている前提でイケメン君をその上に立たせ、唖然としたすきに逃げようと考えていたが、どうやら失敗のようである。
「て、手を離したまえよイケメン君、このままだとこことおさらばするはめになるんだぞ!いくならおま・・・・・・」
言葉は最後まで続かず、二人は跡形もなくこの世界から消えていった。
青年の現在状況
「くそっ!俺まで異世界にくるなんて。せっかくの人身御供が台無しじゃないか!でも、あれ?イケメン君どこいったんだ?」
一緒に跳んだ筈のイケメンの姿がないことに青年は辺りを見渡しながら探すも、その気配はない。
真相は実に簡単なことで、イケメン君は魔方陣の真上に立っていて、正規のルートで召喚されたのだ。
そして青年は、魔方陣の外におり、正規の召喚外の認識を受けたため何処かの森の中に落とされたと言うわけだ。
「まぁ、いいか。取り敢えずこれからどうするか考えよう」
理由やイケメン君のことはどうでもいいらしい。
胡座をかきながらひたすら考え初めてしまった。
イケメン君の現在状況
「おおっ!召喚は無事成功ですじゃ。しかも、中々よい男だの、これなら姫様もさぞ喜ばれましょうの」
「えっと、あれ?ここどこですか?さっきの奴は?てか、貴方はどちら様で?」
状況が一切わからないイケメン君は、パニック状態でキョロキョロしていた。
「ふぉふぉふぉ、なに心配することはないですじゃ。順番に説明させて頂くからの」
明らかに怪しいじいさんが髭を撫でながらイケメン君に話しかける。
「はぁ、それでここは?」
「うむ、ここはクラウハルー国の王宮じゃ。まぁ、ここはお主の居ったせかいではないからわからんじゃろうがの。ここは異世界じゃよ、お主からすればの」
「い、異世界ですか?」
ポカーンとした表情は色々台無しにしている。
まぁ、ここには誰も突っ込むものはあないが。
「そうじゃ、異世界じゃ。お主を召喚した理由は姫様の婿になってもらうためじゃ」
真剣に青年を見ながら、内容は聞くなと言わんばかりの威圧感を放ち話す。
「拒否権は?」
「あると言いたいがの、姫様次第じゃ。姫様がお主のことを気に入ったならば拒否権はなくなる、しかし気に入らなければ姫様に拒否権はないがお主には拒否権がうまれる、こんなところじゃな」
「わかりました」
「うむ、すまんの。まぁ、この話がうまくいかんでも、お主の生活は此方で面倒みさせてもらうので安心せい。では、謁見の間に行くかの」