図書館はお静かに♪
図書館はお静かにってコトですねw
図書館なんだな。
ゆるか先生の命令(命令?)で、とりあえず図書館に来たんだな。ワタシは乗り気はぜんぜんしなかったんだが、言われたモンはしょーがない。でもってここにいる。勉強道具持参。こないだの試験範囲、もう一回おさらいしろってサ。
この学校はちょっと丘のようなところに立ってる。
丘とゆーより、坂の上と言った方が正解だが。名前もズバリ坂上中学校。つか、このあたり一帯が「坂上町」なので、そーゆう名前なんだが。
この席から見える風景がワタシは好き。木々の隙間から、街全体が望めるこの場所。仮に勉強がはかどらなくても、この風景見れただけでも、十分でないかと。
窓を開ければ風が気持よさそう。
心地良い風景、包みこむ静寂、図書館も悪くない。ここに座ってるだけで頭のレベルが5段階ぐらい上がってしまいそう。ま、錯覚だけどなw
とりあえずワタシは勉強を始めた。バカ過ぎるのも困るし。それなりに勉強して、それなりの高校行って、その先はまぁ、短大ぐらいは行きたいしね。
別に無理していい学校行きたいとも思ってないんだ。そこそこでいい。欲は無い。普通に暮らせて、普通に生きてりゃそれで十分!この国はすげぇ金持ち。経済ナントカも今は米国を抜いて一番とか誰かが言ってたし、ワタシが生きてる間は、しばらくずーっとこんな感じだと思う。いい国に生まれたモンだ。
(この頃の私は、日本がこんなガタガタになるなんて想像もしてなかった。そしてあの時の一時的繁栄が、後戻り出来ない程の大量の国債によって賄われていたなんて知ったのは、それからかなり後になってからの事だ)
でもって、私がよーやく勉強に集中し始めた時、ノキが来たんだよ。。。
「よ!タム!何やってんのこんなところで!」とノキ。ジャージ姿。おまぇ、部活はどーしたんだよ!
「ちょいと休憩♪」
…おまえは人生、常に休憩だろうが。。。
ニコニコな笑顔。明らかに邪魔する気まんまん。ノキのこの笑顔は誰かの邪魔をする時に見せる笑顔なんだ。ワタシには分かる。分かってしまう!
「見て!見て!百科事典調べてたらちんこの断面図とかあったんだよ♪」とすごく嬉しそうに、百科事典を広げて見せつけてくる。いかにもノキがやりそうな事で、情けなくて涙が出そうになる。。。
「図書館もいろいろ調べると、実は結構エロが潜んでてサ!最初は百科事典で"オナ○ー"とか調べてたのね!そしたら「→手淫へ」みたいに書いてあって、その項へ移ると、"手によって性器を刺激し、快感を得る事" とか書いてあんの!そこでオレ一瞬、じゃ道具とか使ってる場合は、それはオナ○ーじゃないのか!って思ったんだけど、考えてみたら、道具使う場合も結局手でやってるから、それはそれで間違ってねぇよな!なんて思って!あははははっ!!!!」とノキ。
…頼む。。。誰か黙らせろ、コイツを。。。
この場所が図書館の死角である事を神に感謝する。こんな事聞かれたらワタシまでバカと思われる。
「タムさん手淫は?」
「しねーよバカ」
「やり方教えてやろっか!」
「これ以上続けると、警察に突き出すぞ!」
まるで集中出来ない…。。ノキを前にして集中しろってのも無理な話だが、こーゆう話始めっとノキは止まらないんだ。ワタシはひたすらノキと目を合わせないよーにしてたが、ノキのどーでもいい話は続く。
オナ○ーはドイツ語だとか。
ま、どーでもいいんだ、そんな話は。
「ドイツ行っても、オナ○ーって言えば通じるんだねぇ…」とノキ、フムフムと感心げな表情。アホだなぁこいつ。。。ノキはこのまま一生アホなんだろうか?この先治らないんだろうか??
ワタシは下を向き、勉強を続ける。なるべく耳は閉じるような感じで。ノキに付き合ってたら、こっちもアホが移染する。
ただ、どーしても、ノキの言葉は耳に入ってしまう。でもって時々、全く不覚、不本意にも、ミョーに納得してしまう事がある。
「オレ今だに、父親のキンタマん中にいたってのが信じられないんだよねw」とノキの発言。ぽつりと。確かにそうだ。。あの中にいたんだな、ワタシも。。。
って、げげげげ。。。。。。。。。。。想像したくない。。。。!!!!
つか、ウチの両親がそーゆう事をして、あーしてこーして、ワタシが生まれたってのが今だに信じられないんだよ!そもそも親同士チューしてる姿とか、状況とか、経緯とか、もはや一切想像ができん!!!!
考えてみたら、子供の数だけせっく○があるワケだよ!理論的に考え!
例えば、ひとクラス45人だとしたら、最低45回のせっく○があったとゆーコトなるんだよ!1億人なら1億回!!!!
現在のワタシは、そういう行為自体がとてもとても遠くの先にある出来事のよーに感じる。イメージ沸かないとゆーか。
そういうことする時がワタシにも来るんだろうか。いずれは来るんだと思う。たぶん。だけど今はいまひとつピンと来ない。遠くの出来事のように感じる。次元が違う場所で起きてる遠い裏側の出来事のように感じる。
少なくとも、ウチの両親がそれをしてたって事も、信じられんなぁ…。。既に夫婦仲、冷め切っているし。愛し合っていた時期もあるんだろうか。
あるんだろうなぁ…。
一夜の気の迷いで、ワタシが生まれたとか?ただ、ワタシが生まれたのは結婚して二年目だから、それは無いだろう。
けど、両親を見てると、正直、愛とか恋とかに夢を抱けなくなる。若いのに。漫画やテレビでは "恋万歳!" みたいに描かれてるけど、ワタシの視点はどーしても冷めてしまう。
いずれはこうなるんでしょ?
両親を見てると、そう思えてしまう。
ただ、いずれそーなるとしても、一瞬ぐらい、本当に好きだって思える人にそーゆう事して欲しいと思う事はある。一瞬で終わるのだとしても。
…好きな人。。。。
…好きな人ねぇ。。。。
…いるのかねぇ、そんな人。。。。
目の前のノキを見ると、百科事典の空白部分に「オナ○ー」ってでっかくマジックで書いたのを手にして、ずっとワタシが顔を上げるのを待ってた。
オマエ頼むから死ね!!!!!!!!! 今死ね!すぐ死ね!ここで死ね!!!!
ハラ抱えて、ワタシの反応に大笑いしてるノキ。ヒーヒー苦しそうなぐらい。もう一度、ここが図書館の死角である事を、心から感謝した。その時ワタシはあせってたのか、驚いてたのか、何にせよ、まぁ、ノキにとっちゃワタシの反応が至極おかしかったよーで。…油断してたんだよ、一瞬。。。
つか、くだらない事してんじゃねぇよ!
「先生に怒られるぞ!バカ野郎!!!!!」とワタシは声を張り上げたあと、大切な事を思い出した。
そうだノキ。。。先生に殴られたんだ。。。。
(続きます!)