ゆるか☆スピードスター その④
小さいちょっとした冒険。。。のハズが、全く違う方向に話は展開します!
うひゃああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!
なななななっ何このスピードっ!!!!!!!!!!!!!
怖ぇ!!!!! 楽しいとかそれ以前の問題で怖い!!!! 楽しいとか以前の問題で怖い!!!!!
つか、ゆるかちゃん、なんでこんなでっかいバイク当たり前のよーに乗りこなせるんだっ?????
さっきまでうるさいだけに感じていたエンジン音。その音が今は呼吸のように聞こえる。カチャカチャと何か操作する先生。その度エンジンはそれに答えるように、力ある響きを奏でる。
とんとんとんとん、ゆるか先生の右手の指先がレバーの上を小さく静かに叩く。カチャリと足元で操作する。瞬間、何か隙間を見つけたのか、ぐわん!と唸りを上げて、スピードが加速する。
ぐわぁぁぁあああああ!
重力が右と左と動く。車のサイドミラーを右腕や左腕の真横をかすめ、風景が次々と背後に消えてゆく。
ばばばばっ!制服の裾やら袖やらがこれでもか!と言わんばかりに風に踊る。肩からかけたかばんが今にも落ちそうだ!
とゆーか、スカートが!
「せんせいぱんつが!!!!」
「我慢しな!減るもんじゃねーよ!」
ぐわぁぁああああああ!先生はまたスピードをあげる。この人にゃ法定速度ってモンは無いんだろーか?とゆーか、今何キロだ???さっきから一度たりとも、一台にも抜かれてないぞっ?????
ゆるか先生の体。小さい体なのに、バイクに跨ると、その芯が明確に感じる。体にブレが無い。安心出来る。まるで固定されたレールの上にいるように、ゆるか先生の体は安定していた。意外。
ちょっと落ち着いてきたら、この風はワタシの気持ちに心地よく感じるようになってきた。感じたことのない風。
このバイク、大人になってからインターネットなんてモノが出まわってから、調べてみたことがある。「r」という文字。これは「アール」ではなくて「ガンマ」と読むそーで。排気量400cc 2スト、高速系。なんだかよくわからんけど、スピードは出るが乗るのは難しいよってタイプ(らしい)
少なくとも小柄な女性が乗るよーなタイプのバイクではないw
先生の髪が風になびく。そうだ、先生ヘルメットしてないんだ!ワタシに貸してるし!
「先生?ヘルメットしなくて平気なんですかっ???」と、ワタシ。
「コケないからへーき」と、ゆるか先生。先生、そういうんじゃなくて、逮捕とか、逮捕とか、逮捕とか。。。
「せんせーいっ!!!!」ワタシはもう一回、声を掛ける。
「ふられたーっ!!!!!!!!」ワタシは声を張り上げる。上向いて。何かを断ち切るように。
ぐわんっ!
スピードが上がる。「せんせっ!今浮いた!前輪が少し浮いた!」
重力が背中に少しナナメに掛かる。一瞬。その振動はワタシの沈む心を溶かし出すように。
「ふられたーああああああっ!!!!!!!」ワタシはもう一回叫ぶ。
ぐあおおおおおおお・・・・エンジン音が遠くに消えてゆく。薄暗い夕暮れの街の中を。静かな時の中を切り裂くように。形を与えるように。
(続きます!)