表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/32

ノキが殴られてもうた!

ノキが殴られてもうた!

挿絵(By みてみん)




千葉県の松戸市。



たぶん、「この街に住みたい!」って言って住んでる人は少数なんじゃないかと思うw 地代が安いみたいなんだな、こっちはw



ここがワタシの生まれ育った場所。川沿いの街、特徴の無い街。



江戸川を挟み、あっちが東京、こっちが千葉県。




風景も違うのだ。




江戸川区である向こうには、やっぱり建物が多い。古い工場とか、綺麗なマンションとか。



対してこっちはネギ畑!



雨降ると、ネギのにおいがぷーんと街中に拡がる。ついで時々、堆肥のにおいw 堆肥って分かるか都会人!牛のうんこ発酵させたモンなんだけど、それがまー、肥料になるんだよ、畑のw



都会と田舎、コンクリと畑。住宅地。



美しい田園風景もなく、都会の洗練も無い。



そんな中途半端な街で私は育った。右でも左でもない、都会でも田舎でも無い、半端なバランスのこの街。



中学二年。1988年。



携帯電話がまだ登場する前の時代、ネットも無くて、音楽聞くにはCDかカセットかって時代。



そして昭和最後の一年。



雨が降ったら街中にネギのにおいが拡がる。せわしなく走る電車の音が聞こえる。夕方になると、それぞれの家々から届く晩ご飯の香りが、私におかえりと語りかけてくる。


ワタシはその中を、トコトコ制服で家路へと急ぐ。今日これから勉強をするか、それともテレビを見ちゃおーかとか、そんなどーでもいい事、ゆるやかに思い浮かべながら。





事件なんて何もない。語る事なんて、何もない。





あの頃の私の全てであった、ふんわりとした日常。背伸びすれば空まで浮かんで行けそうな、ゆるやかな日常。私はこの緩い輪郭の輪に包まれ、少女時代の大切なフレームの一部をそこで過ごした。





この物語は、「大田乃樹」という、当時まだ少年だった男の子と過ごした、ワタシの単なる写像だ。





どこにでもある、ごくごく平凡な写像だ。






  -  -  -





「タム聞きな!ノキのヤツ先生に殴られたんだって!!!!」




みーたが駆けこんできた。さも、重大事件が起きたよーな顔して。いや、まぁ、重大っちゃー、重大なんだけどw



ただ、ノキが先生に殴られてるのなんて、別に珍しくないからなぁ。。。



みーたは小学校から一緒。ノキの事は、小学校から一緒だったヤツは「ノキ」と呼ぶ。それ以外は「オータくん」



ま、みーたの表情見てると、驚いた顔しながらも、微妙に "速報を聞きつけて単に喜んでる女子" 的な表情してるから、まぁノキのヤラれ度の危険レベルも低いのではないかと。



「こないだも教員用女子更衣室に忍びこんで、ボコボコにされてたからなw」



と、みーた。みーたはたいてい聞いてない事まで教えてくれる。ま、情報通とゆーか。○×の誰と誰がつきあってるとか、○×はこないだ学校でチューしてるところ見つかって、不純異性交遊の罪(←罪?)で、親まで呼び出されて、始末書書かされたとか。



隣のクラスにいるノキの話も、時々耳に入ってくる。まぁ、ノキの話なんて、浮いた話はまるでと言っていいぐらい皆無で、どれもこれも、百葉箱にエロ本隠してるの先生に見つかったとか、美術室のミロのビーナス像に乳首書き込んで怒られたとか、そんなレベルだけど。




「タバコだってサ!」とみーた。多少、上気気味に。




「トイレに吸殻落ちてて、先生に問い詰められて白状したんだって!」とみーた。




…タバコなのか。。。




…へ。。。??? タバコなのか。。????





(続きます!)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ