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お日様のせいだぜ! その⑦

お日様のせいだぜ! その⑦

挿絵(By みてみん)






つかまずくねぇかコレ!!!!! 何がウマいんだ!?!?何が美味しいんだ!?!?こんなのクワガタの幼虫だって飲みはしねぇよ!!!!!





つか、苦ぇ!普通ににげぇ!!!!





これのおいしさをワタシに分かるよーに説明してくれ!理解出来るよーに解説してくれ!!!!





「もういい、これ返すわ…」とワタシはノキにビールを手渡した。つか、まずい…。。本当にまずい…。。食っちゃいけない毒持った草汁を口いっぱいに広げ、それを更にほっぺたの奥の方に強引にすり込んだよーな感じとゆーか…。。そのクセなんだかスースースースーしやがって、その感覚がノドの奥からなかなか消えない…


ひんやりした感触の後に、ノドの奥の方に "熱くなった何か" のよーなものを感じる…。。


もう一度言うが、コレを発明したヤツは、何星人だ???地球上の生き物じゃねぇよ!つか、コレを美味いと思う人間が少なからずいるとゆー事実は、どー考えても矛盾満載だろ!?!?


これだったらみりん飲んだ方がマシ!醤油飲んだ方がマシ!


「って、まずかった??w」とノキ、横でカランカラン笑いながら、語りかけてきた。


つか、うるせぇなボケ!まずいモンはまずいんだよ!こんなの飲むヤツはアホと異星人だけだよ!!!




「ほい」




ノキはポケットから何か取り出し、ちょこんとワタシの手のひらの上に乗せた。




チョコレートだ。




甘い香りが、暖かな体温のように広がる。甘い日だまりのような、懐かしい香り。やんわり微笑むような香り。




「これで中和!中和!」と、ノキ。




「…あ。。ありがとう…。。」




手のひらの上のチョコ。なんだか照れくさそう。笑ってるよう。



トンッ、



何かが絞めつけられるよーな感覚が走った。



トンットンットンットンッ…。。大きく心臓が鼓動を始めた。体全体から胸の奥にまで、何かが走り抜けるような感覚。柔らかく、温かく。腰のあたりまでふわーっと広がる。力が抜けるような、ふわふわしたような。心地良いような、落ち着かないような…。



あれ…?顔熱い、ワタシ…????



のっ、ノキの顔が正面から見れない…。。何で?何でなん???



下を向いてしまったワタシ。首の後ろらへんから、ぽーっと熱のようなものを感じる。顔なんて普通に見ればいいじゃん。なのに何だか、目線を下げたまま、そこで固まってしまった。自分の意思とは別に、制御できない本能的な何かが、ワタシをそうさせているように。


恥ずかしい?


何に恥ずかしがってるんだ?今の自分の表情をノキに見られたくないのだろうか?何を知られたくないのだろうか?



ありがとうって言ってるだけなのに。それだけなのに。



ワタシの中に生まれた、もうひとりのワタシ。そのワタシが下を向かせてしまっているんだ。顔を赤らめたまま。誰だオマエ?これってワタシなのか?ワタシの気持ちなのか?ありがとうってだけの話じゃないか!単なる挨拶じゃないか!




ふだん出来ていたこの簡単な事が、その時何故か出来なかった。






のれれれれれれ…??????






今度は何だコレ??????さっきとはまた違う感触がワタシの体全体を包みこんできた…。つか、ふわふわ感がさっきより強烈な感じ…。。ふわんふわんした柔らかい綿のよーなものが、アタマと体を包み込んで、ぶんぶん振り回されてるよーな感じとゆーか…。。



こっちは酒の感覚じゃないのか!青少年諸悪の根源、アルコールじゃないのか!?!?今度はノキの顔、普通に見れるぞ!ただノキの顔がぐわんぐわんにゆがんで見えるぞ!ふわふわに見えるぞ!




あ、口もとが、無駄に笑い始めてるワタシ…。あ・・無意識に口が緩んでくる…。。




「って、タム!大丈夫か!?!?」と、ノキ。




ああああ・・・、、アタマがくらんくらんする…。。。




「ちょい、ヒザ貸せ!」とワタシ。アタマはまだくらんくらんする。




ワタシはごろんと横になった。あ、地面が揺れとるぞw




ワタシはあぐらをかいていたノキの足元に、ころっと頭を乗せ、そのままごろんとノキ全体に体を預けた。あ、ノキのヒザ、あったかい…。。




ノキが心配そうに覗き込む。ワタシの顔を。ノキの顔が近い。すごく近い。ノキの顔の後ろには、さっきの大きなお空が見えてます。。見えてますね…。。見えてるんだよ…。。!!!



ワタシはぼんやり消えかけた感覚の中で、うっすらこう思った。








拝啓、お空さま…、








あんたのせいだぜ!!!!!!!








  -  -  -




その後、ワタシはどーなったかとゆーと、夕方までノキの足の上で寝とったワケです。スーピー寝息立てながら。ときどきノキのあったかい手がワタシの頭をなでてくれたのが分かった。



あったかい手、やさしい手、



ちょっと背伸びしてもうた日曜、あの川はワタシにとって初めてお酒を飲んだ場所となったワケです。人生初の。



その人生初の出来事は、たったひとくちでつぶれてしまったとサw



いやいや、人生って…




でもまぁ、何て言うんでしょ?課題もちゃんと仕上げたし。結構ワタシなりに手間かけて書いたし。



でもって、課題は通常、朝イチでゆるか先生の机の上に置いといて、それを見たゆるか先生が部活の時間に評価するってシステムなんだけど。。



さてさて、その評価ですが、



「タムさー」とゆるかちゃん。今日もゆるかちゃん男言葉。




え?なんスか先生?




「この課題の解釈だけど、恋=ふわふわって事?」と言って、ぴらりとワタシの提出した課題を見せた。




げ!それは先週、飼育小屋の前で書いたノキの顔じゃないか!!!!!




どっ!と部員中が笑う。いやいや待ってくれ先生!!!!! それ違います!それは先週提出し忘れた自由課題であって、ふわふわの課題はそれとは別の…って、ゲゲゲッ!ワタシ今週、2作品提出するハズが、間違ってひとつしか提出してないじゃないかああああ!!!!



「ま、どっちでもいーんだけどなw」と、ゆるか先生は口をにーっと横に広げて、悪戯っぽく笑った。



えー、繰り返しますが、ふわふわの課題作品は別のです!今スケッチブックに収まったままの方が、提出する筈だった今回の課題です!違います!ぜんぜん違います!



「ま、どっちでもいーけどw」と、ゆるか先生はまた笑った。



…違うんです。。ぜんぜん違うんです、先生…。。たぶん顔、赤い。あ、これが恥ずかしいの感触か…。。




でもって帰り際、ゆるか先生は、「タム!ちょっと耳貸しな~」と言って、ワタシの肩にガッと手を回し、小さく耳元でつぶやいた。





「酒飲むんなら、バレないよーに飲めよなw」





ゆるかちゃんはそう言って、笑ってクルリと、どこかに消えてってしまった。ワタシの頭をクシャクシャってしたあとで。







え…、、ああ、、







…つか、見られてたんだ、ゆるかちゃんに…。。。









<続きます!>

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