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お日様のせいだぜ! その①

お日様のせいだぜ! その①

挿絵(By みてみん)




「魚拓取りたくてサ」とノキ。



状況説明しますと、ノキが釣りしてたワケだ。川辺で。いつもの川辺なんだけど。


ワタシもふらふらしてた。今回も課題。美術部の。


でもって、何書こう?と思ってふらふらふらふらしてたワケなのだが、まぁ適当に歩いていても、なかなかまとまらないワケで。モチーフが。


でもってなんとなく休日の川辺をぶらぶらぶらぶら歩いていたワケなのだが、そこでノキを見かけて。ノキは近所だから、別に珍しくはないのだよ。ばったり会うのも。



今日もいい天気。家にいるより、数倍マシだし。



ワタシは親に出かけると言ったら、ついでに買い物してこいと言われた。「ザ・つまみ!」みたいな内容。スルメと柿の種とリッツ二箱、そしてやたら値が張るブルーチーズ二個。更に缶ビール六本。重いっつーの!


その重たい買い物袋ぶらさげ、ぷらぷら歩いてた。スケッチブックを小脇に抱えて。つか、帰り際に買えばよかった。相変わらず計画性無いとゆーか、バカとゆーか…



土手からノキに声かけたら、ノキは手を振って応えた。



「何してんだーっ????」と聞いたら、「釣りーっ!!!!」と声が返ってきた。いや、見れば分かるがw



ノキが言うには、突然魚拓を取りたくなったとの事。コイツ、何故か魚拓好きなんだ。ワタシにゃその魅力がサッパリわからんが、魚に墨塗って、和紙を当てる瞬間がたまらなく幸せとの事。いろんな幸せがあるモンだとつくづく。


釣り自体より、魚拓を取るという行為そのものが好き。不思議な嗜好だ。


普通は釣りの延長線上に魚拓があるのではないか?と思うが、ノキの場合は、魚拓の為に魚を釣るという考えのようで。


何にしても中学生のクセに渋過ぎる趣味。もはや老人の域にまで達してるよーな。


つかノキ、ジャージ姿って事は部活帰りか?横には部活セット(シューズとかタオルとか入ってるバッグ)置いてあるし。コイツどこから竿とかエサとか調達したんだ?一旦、家に帰って、またここまで来たのか?


ま、いいや。


「釣れた?」とワタシ。「ぜんぜんw」とノキ。ちょっと笑って。


つかこの川、魚いるんか?釣りしてる人多いけど、釣れてるのほとんど見た事ないし。

ただ、ノキが言うには、「けっこうデカイ鯉がたまーにいるらしい」との事。いるのと釣れるのは次元が違う話だがなw


ワタシはノキの横にちょこんと腰をおろし、そのまま川と空を眺めた。


気持ちいい風。この場所はいつきても気持ちいい。いつもと同じ風景、昔から見ている風景。だから好き。だから落ち着く。


川面のに反射する光、草のにおい。きっとこの先、何故か金星とかに強制移住させられたら、今この風景を懐かしく思い出すんだろうなぁと。



固くなっていた気持ちが空と川面に溶かされてゆくような気がする。自然と。



すべてが心地良い昼下がりのお日様に包まれ、幸せってこういう事なんだろうなぁと私は柔らかい気持ちに包まれていた。そして瞳を閉じた。コンクリートまでもひんやりして気持ちいい。




って、課題だよ!課題の事忘れてた!!!!




(続きます!)

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