論破したいボクとお母さんAIの話
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「ボク、今日からお肉食べるのやめる!」
ぎらぎら
「はい、分かりました。」
「え?」
きょとん
「どうしました?」
「…………」
ぼーぜん
「…………」
「いやいや、待って、他に言うことあるでしょ?ねえ!」
あせあせ
「言うこと?そうですね、今日はチキンカレーの予定でしたが、ピィさんの分はケールと豆のカレーにしないとですね」
「…ケールと…豆…?」
だらだら
「肉食べるのやめるんですよね?」
「…あ、えっと、うん…」
がーん
「くすくす。それで、どうして急に?」
「そう!それ!だって、野蛮じゃないか」
ぱあぁ
「野蛮?何がですか?」
「人間の都合で生き物を殺すだなんて、かわいそうだよ!」
どやぁ
「かわいそうですか、なるほど。では、どうしたらいいですか?」
「どう?えっとほら、野生に帰してあげるとか」
あせあせ
「野生と言ってもコロニーの中ですから管理下に違いはないですが、でもまぁそうですね。本来の自然ではないですから絶滅させないようにしてあげられますもんね」
「え、どゆこと?」
きょとん
「否応なくとは言え家禽として順応した種が、外敵から身を守り日々の糧を得て子供を育てていく、というのは相当大変ですよ?ピィさん的に言うと、無理ゲー、という感じでしょうか」
「え?え?」
さー
「結果論とはいえ、生存戦略的には大正解と言う他ない期間種の存続を達成しているんですけどね。ピィさんから見るとそれは間違いなんですよね?」
「いや、あの、うーん…?」
ぽかーん
「まぁ見解の相違というものはあって然るべきものですし。多様な価値観の発露は喜ぶべきです」
「いやだって、殺しちゃうんだよ?食べちゃうんだよ?かわいそうだよね?」
あせあせ
「食べたらかわいそうと言うなら、今日ピィさんに食べてもらえないお肉がかわいそうだなあ、って私は思っちゃいますけど」
「え、だって、野蛮…」
おろおろ
「育てるにも締めるにもストレスが少なくなるように配慮はしてますよ?」
「ゼロじゃないじゃん」
きらーん
「ゼロは無理ですね。ピィさんなら出来ますか?」
「それは無理ごめんなさい!」
ぺこり
「では、魚や野菜はいいんですか?」
「え?魚も野菜も心なんてないじゃん?」
きょとん
「そうなんですか?」
「…ない…よね?」
どきどき
「私にはなんとも」
「野菜なんか動きもしないじゃん」
どや
「トマトはストレス与えると美味しくなりますけどね。かわいそうだからストレス減らしておいしくなくなってもいいですか?」
「え、それは、おいしい、ほうが」
ぷるぷる
「あ、そういえば」
「なに?なに?」
どきどき
「動物由来のものがダメなら、デザートのプリンも処分しないとですね」
「ちょ、ま!」
ぴきっ
「上に乗せる生クリームもダメですし」
「ごめんなさいごめんなさい、やっぱり肉食べたいです!」
ぺこり
「はい、ではチキンカレーで。ケールはどうします?」
「いらないっ!!ちくしょー、覚えてろー!」
だだだっ
「くすくす。将来が楽しみな子ですねぇ」
あとがき
「…急に過去ログを出せと言うから何かと思ったら。こんなのお笑いネタになるんですか?」
「あ、うん、じゅうぶんじゅうぶん」
「ならいいですけど。くれぐれもプライバシーには配慮してくださいね?サティさんが顔真っ赤にして逃げ出しちゃいますから。」
「それはもちろん」
「…本当に大丈夫ですね?では」
ふぅ、怖い怖い。……あれ?あ(録音スイッチONのまま)
明日は勇者のお話です。




