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4話 異世界に新たな助っ人

城に近づくにつれて暗雲が目立つようになり、鳥もカラスが多めになってきた。果てには雷まで鳴り出す始末。その城は王様の城というよりは魔王城だった。

城の中へとすんなりと入れ、あっという間に玉座まで通される。そこには黒いマントの屈強な男が立っていた。


「父上、今戻りました」


ネオネオが頭を下げる。それに倣って自分は頭を下げるが、婆は全く倣うどころか城の中に金目のものがないか鋭い眼光で探している。


「ネオネオ、お前が客人を連れてくるなんて珍しいな。街の方に行くというから護衛はつけていたが。で、こいつらはなんだ?敵意は感じないが乞食精神が滲みでているな」

「はい。見た目はこんなですが、実はコンビニというものを経営しておられるようでして。その機関を見物させてもらったのですが、この国にはない技術レベルのものがたくさん保管されていました。で、この方たちはその数々を扱うことが出来る者たちです」

「ほぅ……この魔界にない技術レベルというあたりたまに現れるとされている異世界人がいた世界の機関なのだろう。情報はそれなりに集まってはきているがまだまだ彼らのことは分からないことが多いからな」

「あの……あなたはこの国の王様なのですか?いまいちこの世界のことが分かっていなくて」


最初はなるだけ口をはさむまいと思っていたが、王様が思ったよりも友好的そうなので情報を集めることにした。


「ああ、君達にはおそらく協力してもらうことになるから、知っておいてもらおうか。この世界のことを」


そういうと王様は異空間を出して、その空間に情景が浮かび上がった。


「まず私はこの魔界を統治する魔王。ネオ・レオン・デントだ。私で三代目になるが、この国の歴史としてはかなり長いものになる」

「魔王だったんですか……」


確かに節々でもしかしたらとは思っていたが。異世界よりも物騒なとこに転移してしまってるじゃないか。


「そうだな。その姿も仮の姿。上位の存在は存在するだけで世界から魔力を奪われてしまうので普段はこうやって魔力をおさえているのだ」

「ということはネオネオさんもですか?」

「ええ、私もこの姿は仮の姿ではありますが、私の場合は母が人間だったので、父上ほど変わりはしないですね」


その言葉にぎょっとする。ということは魔王様はどんな禍々しい姿をしているんだよ。


「で、この世界のことだが、世界は大体7つに分かれていて、マルボーロはその中でも一番発展途上の国だ。だから治安を悪く、いるモンスターもあまり強いものはいない」


魔王はそこまで言って軽くため息をついた。


「弱いモンスターがいるだけならいいのだが、年々他の国からの征服を恐れて強いモンスターが寝返ってしまってな。今この国は慢性的な生産力不足に陥っている。これを打破するには一人一人の生産力を上げなくてはいけない」

「そこで、俺たちになにかいい案があればお願いしたいってことか」

「察しがいいな。その通りだ。前に異世界人と話したときに元の世界は一人一人の生産力が非常に高いことを聞いてな。その発展に寄与している建物の中に確かにコンビニというものもあったな」


つまり今この国はまさに一国総出でブラックになろうとしてるってことか。元の世界でもブラックだったのに転移先でまでブラック化されたらたまらない。なんとしても阻止しなければ。


「あの……お言葉ではあるのですが」

「あんた、いいセンスだね。そういう話ならこちらでなんとか出来るよ」


言葉はまたもや自分の目線の下に防がれてしまった。


「紫さん、大人しく聞いてると思ったら。どうするつもりですか」

「いいからあんたは黙ってな。ちなみに魔王さんや。これはかなりの行政改革でしょうから、それなりどころじゃないくらいの見返りがあるんだろうねえ」


魔王相手だろうと容赦なくふっかける婆。どうやらこの人には畏怖の存在なんてものはいないのだろう。


「もちろんだとも。礼としてはぜひこの国の参謀機関として連携をとっていきたいと考えている。国家予算の3割を自由に使ってよい権限と、それらを遂行しやすいマンパワーと場所を提供しよう」

「「国家予算の3割!?」」


自分も飛び上がるほど驚いたが、横にいたネオネオも驚愕していた。唯一涼しい顔をしていたのは婆だけだった。


こうして、猶予もそれなりにもらってコンビニに戻ってきた。ネオネオも何かあった場合に国がバックについていた方がやりやすいだろうとついてきた。


「それより紫さん、なにか案はあるんですか」


電気をつけながら尋ねる。結局止めることは出来なかったがもしあそこまでの啖呵をきって出来ませんでしたとなってはどうなるかなど想像したくもない。


「あんたはビビリすぎなんだよ。とりあえず猶予をいっぱいいっぱい伸ばして報酬を一部もらってその金を賄賂に国民をよそから引っ張ってくりゃいいのさ。後ろの姫も利用してやりゃいい」


婆が後ろの姫に気をつけながらこそこそ話す。思った以上に考えなしであった。


「ってあれ?紫さん。事務所の電気出るとき切りました?」

「ああ、もちろん切ったさ」

「あの、ついてるんですけど。なんだったら人影が……」


結構な声で話していたというのに事務所のドアのすりガラス越しに見える人影はなにやら作業を続けている。

それを婆はお前がいけと目で訴えてくる。相変わらず面倒なことだけはふっかけてくる。

抵抗するだけ無駄なので傘コーナーから傘をとり、勢いよく事務所のドアをあける。


「何者だ!」


それは想定外な存在だった。


「あれ!?オーナー!?」


そこには元の世界で働いた時のままの黄色い仕事着をぴっちり着こなしてるオーナーがいた。


「なんだい、いたんだったら早く言ってくれよ。あ、こいつ仕事サボってたよ」


早速チクり出す婆。それをいつも見たく苦笑しながら流すオーナー。


「まあ、事が事だっただろうからねえ。で、そちらのお姫様は?」


オーナーが興味深そうにまじまじと見る。俺はこの異世界でやってきたことを事細かく説明した。オーナーは驚くことなくなにやら想定の範囲内を確認するような聞きぶりだった。


「オーナーもしかして、なにか知ってます?」

「ああ、姫様や魔王様のことはよくわからないけどね。さっそく君達には魔王からのその任務をぜひ遂行してもらいたいと思っているよ」

「で、でもどうやって」

「それはこいつでやってもらうのさ」


オーナーはさっきまでいじっていたパソコンのモニターを見せてきた。

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