表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セラの森  作者: 奥森 蛍
エピローグ
75/75

『千度の祈り』

 愛するものたちがこの世を去り、早千年が過ぎた。

 王を見守るヴーアももう誰一人いない。


 それでも王は生き続ける。

 愛する者たちの子孫が暮らしていけるように。愛する命が続くように。


 王は時々考える。


 故郷の森は元気だろうか。人々は安寧だろうか。

 この地を去る最愛の弟に望んだこと。



――旅の先々で自分の生き血を世界に播いてほしい。



 弟は泣きながら心臓に触れ、血を掬い取りそれを大切そうに抱えこの地を離れた。

 彼の播いた血は大地を潤し、そこに循環する命を助ける。


 もう、故郷にも森は出来ただろうか。


 出来ているといい、豊かな動植物が集う場所であるに違いない。

 森はまた命の森になる。

 今度こそ愛される森になる。


 でも、王はそれに交わることが出来ない。

 心の片隅に木の葉の囁きが掠めても、もう森の息吹を肌で感じられない。


 それほどにこの地は遠い、果てしなく遠い。

 だから、王は祈る。自身の生き血が世界の南で生き続ける森にまで届くように。


 困難に負けない強い森であると良い。

 孤独なものを受け入れる優しい森であるといい。


 寂しかった人生、愛された人生を思い出す。

 どうかすべての人々が安寧に暮らせますように。


 世界への千度の祈りを込めて王はそっと瞳を閉じた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ