表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

589/674

第589話 第一声は呆れ声

「大丈夫そうだよ~」


「そうか。ありがとうピルカヤ」


 俺の労いの言葉を聞いて気を良くしたピルカヤは、そのまま炎の中に消えてしまった。

 どうやら、今度こそモンスターの変異種は暴れまわっていないらしい。

 きっと、イピレティスたちが殺したエルフが、モンスターたちをけしかけていたからだろう。

 強化したやつは別かもしれないが、少なくともモンスター被害は一旦片付いたと思って良さそうだ。


「これで、モンスター事業に専念できる」


「今までも、わりと自重していませんでしたけどね」


「警戒はしていましたよ?」


 フィオナ様の指摘に反論するも、彼女は疑いの目をこちらに向けていた。

 なんですか。文句でもあるんですか?

 そんな意味を込めて、目を逸らさずに真っ向から受け止める。


「……」


「……」


「何を見つめ合っているのさ。お二人とも」


「戦っています」


「戦っている」


「……何と?」


 そりゃあ当然魔王様だ。

 相手は最強の魔王、少しでも気持ちが揺らいだらそのまま敗北まで一直線だ。

 このままなんとか拮抗した状態で……。


「……顔は良いんですよねえ」


「顔はってなんですか!? 中身は!?」


「かわいいです」


「で、ですよね! レイは、私の全てを好きですからね!」


「あ、いえ。ガシャに支配されているときは、距離を置こうかと思っています」


「そういうときこそ、あなたがそばで支えてくれるべきでしょう!?」


 え~……。

 つまり俺がいなければ、ガシャで暴走しないってことか?

 いや、一人で回しているときもある。だから魔王様はもう駄目だ。


「顔は良いんですけどねえ……」


「なんで二回言ったんですか!?」


 不満そうな目で睨まれるも、かわいいだけだから怖くない。


「それで、モンスター事業がどうとか言ってなかった?」


「そうだった。このままでは、またフィオナ様と見つめ合って時間が過ぎるところだった」


「私は一日中見つめ合っていても良いですけど~?」


 俺もそれで良いけれど、それは仕事がないときの話です。

 今は仕事優先なので、モンスターの話に戻ろう。


「実際のところ、モンスター関連の施設って、今も営業しているだろ? もしかして、施設をさらに増やすのか?」


「いや、これ以上増やしても、まだ管理できない」


 モンスター園と水族館と植物園を増やしたばかりだからな。

 しばらくは、安定するまで追加しないほうが良いだろう。

 だから、俺が言っているモンスター事業は、ダンジョンのほうだ。


「モンスターダンジョンのほうに、力を入れようと思うんだ」


「……アナンタ、がんばれよ」


 さすがは本体だ。分体の負担を心配してあげている。

 でも、罠は仕掛けないから、アナンタの出番はないと思うぞ。


「一応聞いておくけれど、モンスターをどうするつもり?」


「プラス系を増やして、片っ端からあのダンジョンに配属させる」


 今までは、モンスターの亜種を配置することは、自重していたからな。

 だけど、騒動が収まった今なら、少しずつブラックゴブリンたちを戦線に復帰させられるはずだ。


「……まあ、いいか」


 よし、四天王からも許可が出たことだし、今日はモンスターガシャの日だ。


「つまり、ガシャの日ですね! 付き合いましょう!」


「嬉しそうなところすみませんが、宝箱とは無関係ですよ?」


「わかっていますとも、それでもガシャ仲間がいれば、外れたときに傷を舐め合えるじゃないですか」


「すでに負ける考えなのは、いかがなものかと……」


「はっ、私としたことが! そうですね。常に勝利をイメージして戦いましょう」


 なんか、この魔王様と一緒にガシャを回すことで、俺まで敗北しそうな気がしてきた……。


    ◇


「なんで魔王様とレイさん、手をつないでいるんですか?」


「二人の力を合わせて、最強のガシャ結果を呼び込もうとしているからです」


「なるほど! スーパー蘇生薬を当てるということですね!」


 なにそれ。


「そうです!」


 そうなの?


「レイさん。またガシャ祭りですか?」


「いや、俺がモンスターガシャを回して、フィオナ様は宝箱ガシャを回すというだけだ。……もしかして、みんなも回したい?」


「レイさんの負担次第ですかね? 私たちは、単にアイテムをもらえるだけで得しかない催し物ですし」


 たしかに、みんなは魔力を注ぐだけだもんな。

 かといって、俺もせいぜい魔力を五ずつ消費するだけだし、今なら魔力回復薬でどうとでもなる。

 なら、そのうち開催しても良いかもしれない。

 フィオナ様を知る従業員も増えたし、報奨とは別に何かを与えるのも悪くないだろう。


「まあ、今回はゆるくガシャを回すだけだから、興味があったら見れば良いし、飽きたら立ち去っても良いぞ」


「は~い」


 時任と奥居は、とりあえず見ていくことにしたらしい。

 そうやって、二人が見ているものだから、何事かと徐々に人も集まっていく。

 結局は、多くの見物人が集まってしまうんだよなあ。

 魔王軍、暇なのか?


「レイ。今日の影冠樹は、どこまで使って良いですか?」


「そうですねえ……。十連で」


「なるほど、引ける確率は三割といったところですか」


 どんな計算? フィオナ様が、アホなデータキャラみたいになってしまわれた。


「えい」


「つねらないでください」


 さすがに、不敬な考えは見抜かれるか。

 仕方ない。さっさとモンスターと宝箱を生成するとしよう。


「今日はどうしますか? 普通の宝箱ですか?」


「そうですね。ピックアップの中に蘇生薬はなさそうですし、ピックアップ外からの低確率を……なんとも辛い戦いですねえ」


 でも、現状ではそうするしかないからな。

 とりあえず、宝箱を十個作ると、フィオナ様は一つ一つに念を送り始めた。

 ……念ではなく、魔力を注いでください。


「レイ様は、どんなモンスターを作成されるのですか?」


「そうだなあ。低位のプラスは増えてきたし、そろそろ中位や上位のプラスを狙いたい」


 もしも生成できるのなら、きっとすごいことになる。

 ソウルイータープラスとか、冒険者を片っ端から丸呑みしてくれそうだ。

 しかも、今のソウルイーターも強化されるので、ボスと同等かそれ以上の戦力として期待できる。


「よし、上位モンスターでいこう」


 ガシャる。とにかくガシャる。

 どうせ今日は、これ以外に魔力を消耗する予定もない。

 ならば、ここで全ての魔力と回復薬を使い切る意気込みでガシャろう。


「こい!」


「来てください!」


 隣ではフィオナ様も、蘇生薬を目指して頑張っている。

 なら、俺も負けずに上位モンスターのプラスを引き当ててみせよう。


「これはまた、随分と賑やかになりそうですねえ」


「エピクレシちゃんの……軍勢よりも……多いね」


 大丈夫。モンスターたちの居場所は、ダンジョンマスターさんが作ってくれるから。

 だから、まずは上位のプラスをお願いします!


“…………今は無理”


「?」


 周囲を見渡す。当然ながら、様々な従業員が集まっているのもあり、思い思いに話す声が聞こえている。


「どうしました? レイ」


 俺の様子を不審に感じたフィオナ様は、宝箱をそっちのけで俺を心配そうに見ていた。

 ……気のせいか?


「俺がモンスターガシャを回しているとき、今は無理だと誰か言いませんでした?」


「ええ!? ガシャに挑む者のやる気を削ぐような発言を?」


 どこに驚いているんだ、この魔族は……。


「それは由々しき事態ですね……。まさか、魔王や宰相を裏切るということですか?」


「いえ、どこまで重く捉えているんですか」


 俺と同じく周りを見渡しているけれど、若干敵意を含めないでください。

 パワハラですよ。それ。


「聞いたことがない声だったので、たぶん気のせいです」


「む……。ということは、うちに裏切り者はいないということですね。安心しました」


 裏切りの判定がガバガバすぎる……。

 魔王様に睨まれていて緊張していた者たちも、また楽しく見守ってくれているようだし、さすがに裏切り者はいないと思いますよ。


「とりあえず、後何回か回したら終わりましょうか」


「うう……。勝てそうで勝てないんですよねえ」


 その勝てそうという感覚も、きっと気のせいです。

 それを口にしないだけの優しさは俺にもあるので、俺たちは二人で沼の中に沈むことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生宰相のダンジョン魔改造録』第1巻 発売中!
▶シリーズページはこちら

6j3di8xzcku315svenm7h9h1dqae_1312_12f_1kw_b0ma.jpg
― 新着の感想 ―
女神の加護なら、女神を倒せばダンジョンマスターが使えなくなる? 強化とダンジョンマスター、連動している?
夫婦喧嘩とか思ったら一瞬で夫婦漫才からのイチャイチャが始まった。尊い…(正確には夫婦ではない) 喫茶店のナルカミ(静かな紳士モード)「む?なぜ今日はこんなに砂糖が多く置いてあるのだ」
まあ魔王様の救いになってるレイくんの力がクソ女神の加護なのが地味に気になるポイントではあったからどっか他の神様が関わってるとかならそれはそれでいいんだけど中の人がいるとしたらアナンタばりに苦労させられ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ