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【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


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第544話 リモート睦み合い

 ……妙な気配ね。

 いえ、気配自体はゴブリンなんだけど、妙な動向ね。

 向こうは、こちらの存在に気が付いている。だというのに、襲いかかってこない。


「ミスティ、スティア。気付いてる?」


「ええ。これ、ゴブリンよね?」


「どうして、襲いかかってこないのでしょうか……?」


 二人とも、アタシと同じことを疑問に思っているみたいね。

 さて、どうしようかしら。

 しょせんはゴブリン。変異種だろうがなんだろうが、アタシたちの敵じゃない。

 慢心と思えるような考えだけど、さすがに今のゴブリンが、十倍ほど強くなったりするわけじゃないでしょう。

 なら、不測の事態が起きようとも、どうにでもなるとは思う。


 こちらには、魔王軍に所属していると思わしき冒険者たちが五人。

 ……彼らを守りながらでも、全然問題ないはずね。

 戦闘になったとしても問題ない。だけど、噂と同じゴブリンだというのなら……。


「テンユウさん! 気配が!」


「そうよねえ。アタシたち相手だと、逃げるわよねえ」


 ま、そう来ると思って、こっちも姿の確認を後回しにしたんだから。

 アタシは、気付かれないように、入念に隠蔽していた魔力を開放した。

 ゴブリンらしき気配の逃亡先を、魔力で作成した網のようなものが、遮る。


「かかったみたいよ」


「結界……ですか?」


「いやあねえ。そんな良いものじゃないわよ。せいぜい、嫌がらせ。実力者なら、簡単に引きちぎっちゃうわ」


 だけど、ゴブリンくらいなら、身動きも取れなくなっているでしょうね。

 さあ、さっさと確認しちゃいましょ。


「行くわよ。ようやく、何か尻尾を掴めるかもね」


「はい。さすがは、テンユウさんです」


 これくらい別に……いえ、リックはこういうの苦手ね。

 他の勇者たちも……。うん、適材適所ってやつね。こういうのは。


「――――!!」


 いたわね。魔力の網に雁字搦めにされたゴブリン。

 それも、無理やり引きちぎろうともがくのではなく、網を取り外そうともがいていた。

 もっとも、網を掴もうとしたら、その手の魔力に反応して、さらに絡むから、悪化してるけど。

 これだけ見ても、どう見ても知能は高い。それこそ、レイが使役していたモンスターのよう。

 あるいは、モンスター園のモンスター……。まあ、あれは、アタシみたいに疑ってかかってなかったら、野生を抜かれておだやかなだけに見えるでしょうけど。


「どうせ逃げられないし、無駄なことはやめてほしいわね」


 そのゴブリンは、アタシの姿を確認した途端、なりふり構わず逃げようとする。

 やっぱり、知能は高そうね。自分と敵の力の差を正しく理解しているもの。


「あらっ」


 そのゴブリンを観察していると、背後から別の魔力を感じた。

 ゴブリンよりも強いわね。でも、さすがにそんな奇襲にかかるほど、アタシは甘くないわよ。


「えっ?」


 振り向きざまに攻撃を……しようとして、その正体に思わず驚いた。

 ゴブリン……? でも、こんなに強いゴブリン。アタシは見たことないわよ?

 それに、知能はやっぱり高い。だって、奇襲する程度には自分を制御できているもの。


「でもまあ。あんたも確保よ」


 強いといっても、このくらいならさっきと同じ網で、どうにかなるわね。

 こうして、変異種たちを捕まえることはできたけれど……。問題は、その原因よねえ。


「ミスティ、スティア。あんたたち、このゴブリンから、何かわかる?」


「いえ……。たしかに、私たちが知るゴブリンとは、違いますけど、なぜ、そうなったかは、まったく……。魔力量こそ多いですが、おかしな流れはありません」


「おかしな精霊がついている、というわけでもないわね。たまにいる、精霊憑きでもないわ」


「そうよねえ。アタシも、変なところはないと思うわ。強化魔法……の痕跡もない」


 となると、魔王軍? いいや、違うわね。

 たしかに、あの宰相なら、このくらいのゴブリンを用意できそうだけど、ピルカヤははっきりと否定した。

 嘘の可能性もあるけれど、利点がない。

 改造したモンスターで人類を襲わせるなら、自分たちの部下である冒険者を派遣しない。

 アタシと会話さえしないでしょう。

 つまり、あそこで会話したってことは、本当に自分たちは無関係というアピールね。


「こんなのが、そこかしこで活動しているんだとしたら、わりと厄介な問題よ」


「そうですね……。気配に気付けない者だって、きっといます」


「そこを奇襲なんてされたら、後れを取る人もいそうね……。通常のモンスターのときより、被害は大きくなりそう」


 いっそ、魔王軍が全部捕まえてくれないかしら~……。

 だって、そういうの好きでしょ。あの男。

 今なら、勇者たちも邪魔しないから、好き勝手動いて回収しちゃってよ。

 ランタンの火は何も言葉を発さない。まあ、本当に別目的だったってだけでしょうし、こっちは、アタシたちで解決するしかないみたいね……。


「テンユウさん。どうします? そのゴブリン」


「倒すわ。捕獲し続けるのも大変。それに、万が一逃げられたら、アタシのせいで、被害が増える」


「あの、麻痺毒使います?」


 タイラーの提案はありがたいけど、それも駄目ね。

 毒が効いている間に、問題が解決するとは思えない。

 うちは、あんたたちのところと違って、捕まえたモンスターを使役なんてできないんだから。


「ありがと。でも、遠慮しとくわ。借りは作らないようにしているの」


 というか、すでに大きすぎる借りがあるからねえ……。

 ため息をつきながらゴブリンを倒すと、この森での調査はそれで終わりにした。

 まったく、面倒ね。こうして、一か所ずつしらみつぶしにあたるしかないのかしら?


    ◇


「お、これが野生のゴブリンか」


「はい。一応まだ毒は効いていますけど、気を付けて……と言う必要もなさそうですかね? ゴブリンたちが、守ってくれていますし」


「いや、忠告ありがとう。最悪の場合は、イピレティスもいるし、なんとかしてもらう」


「お任せくださ~い」


 タイラーたちが持ち帰ったゴブリン。

 たしかに、うちのゴブリンたちとかなり似ているな。

 ただ、異なる点もけっこうある。


 まず、汚い。うちのゴブリンたちのように、身綺麗にしていないんだろう。野生だし、当然か。

 それに、知能がだいぶ低いというか、本能のままに動いている。

 かつてのトカゲのように、目の前の相手全てに襲いかかりそうだ。


「完全にとまでは、いかないが、多少動いているし、麻痺はとけそうだな」


「そうですね……。ですので、あまり近づきすぎては……」


 そうだな。イピレティスがいるから安心だけど、まずは檻でも作っておこう。


「捕獲檻作成」


 罠を即座に起動すると、ゴブリンは檻の中に囚われた。

 さて、これなら麻痺がとけても、安心して観察できる。

 魔力は……よくわからないけど、たぶん、うちのゴブリンのほうが、多いか?

 いや、洗練されている? いや、やっぱりよくわからん。


「ダスカロスとテラペイアとテクニティスにも、見比べてもらうか」


「魔王様はいいんですか~? 魔力といえば、一番ですよ?」


「あの魔族が、そんな細かい違いわかるわけないだろ」


    ◇


「なにをぅ!?」


「どうされました? 魔王様」


「レイが、私のことを馬鹿にしていました! おのれ……文句が届かない距離で……」


「……では、なぜ魔王様には届いているのでしょうか?」


「……さて、レイも戻ってきたことですし、迎えに行ってあげましょう」


「……魔王様。ピルカヤ様に頼んで、レイ様を盗撮しておりますね?」


「許可は出てますから! レイは、いつでも見て良いって言っていましたし!」


「モラルについて、少々お話しましょうか」

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