表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

532/597

第532話 お前も魔王軍だ

「え、俺のせい?」


『いや、まだそうと決まったわけではない』


 ダスカロスから連絡を受け、事情は理解した。

 どうやら、俺が作ったレベル上げダンジョンのせいで、野生のモンスターが知恵をつけた可能性があるらしい。

 まだ、可能性ではあるらしいが、ダスカロスがすでに、拠点のようなものを発見しているため、少なくともそんなものを作る知恵はあるということだ。


「大丈夫か? 二人だけで」


『この距離ならば、問題はない。大所帯で行ったほうが、何者かに発見される恐れがある』


 そういうことなら、ダスカロスとロペスに任せておくか……。

 ダンジョンの外ということは、ピルカヤの目で共有もできないが、この二人がそうそうやらかすはずもない。


「じゃあ、頼んだ。何かあったら、ピルカヤにすぐ連絡してくれ」


『無論だ』


「学習するモンスターかあ」


 てっきり、本能のままに行動すると思っていたが、モンスターを過小評価していたか。

 というか、うちの子たちが特別だと、慢心してしまっていたのかもしれない。

 野生のモンスターたちは、あの子たちのように、賢くないだろうと思い込んでいた。


「レイ殿。危険なモンスターたちというのであれば、私がいって殲滅するか?」


「いや、リピアネムが外に出るのは、さすがになあ……」


「私は速く動けるぞ」


「そうだけど、今回はダスカロスに任せておこうね」


 本能のままに行動するうちの四天王は、今日も元気だなあ。

 ……そのモンスターのほうが、賢かったらどうしよう。


    ◇


「不要だ。レイに言っておいてくれ。リピアネムを解き放つなと」


「……旦那。もしかして、リピアネムの姐御が、向かってたのか?」


 心配そうに尋ねられるが、もう問題ない。

 私だって御免だ。ここにリピアネムが襲来するなど。

 モンスターは蹴散らせるだろうが、余計な騒動を引き起こす気しかしない。


「レイに頼んだから問題ない。彼ならば、リピアネムを止められる」


 彼女は、自分の上の者の命令には、従うからな。

 これまでは、それが魔王様しかいなかったが、レイというもう一人の上役が増えたことで、以前よりも制御されている気がする。

 なんというか、懐いているからな。


「さて、やはり、野生モンスターでは、考えられんような拠点だな」


 周囲を十分に警戒し、目撃されることも、魔力を感知されることもなく、安全を確かめて近づく。

 本来のモンスターが作るような巣ではない。やはり、知性はあるようだ。


「君、一緒に来てよかったのか?」


「まあ、もののついでだからな。なにかあったら、ダスカロスの旦那が守ってくれ」


「かまわない。では、私の後ろをついてくるように」


 私一人で進むよりは、ロペスのように観察力がある者がいたほうがいい。

 戦闘自体は不得手のようだが、動じていないのは、私を信用しているからか。

 それとも、少なからず荒事に慣れているためか。

 ……後者の可能性が高そうだな。転生者のまとめ役の顔を担っているため、彼は騒動に巻き込まれがちだ。


「……匂いがする」


「モンスターかい?」


「ああ、そうか……。たしかに、彼らであれば、手先は器用だったはずだな」


 そして、こちらが一方的に存在を感知できるところから、実力そのものはそこまでではない。

 ならば、これでいいだろう。

 私が、ずかずかと前へ進むと、ロペスはその様子に目を丸くしていた。


「話し合いに来た」


“な、なんだ!?”


“ガサ入れか!”


 やはり、そうだったか。

 急に押し入った私を見て、グレムリンたちが、おろおろとしながら、何かを言っている。

 大方、私を見て警戒しているのだろう。


「旦那……。意外だな。なんかもっとこう、慎重にいくものかと」


「こいつらの場合、このくらいのほうがいい。なんせ、一度舐められると、延々と悪戯のターゲットにされるからな」


“やべえ! ばれてる!”


“なんか、強いし隙がないぞ。この人狼!”


“謝るか!? 頭下げれば、なんとかなるだろ!”


 ギャーギャーと、混乱しながらも話し合っているようだな。

 この感じ、うちのモンスターたちに近いものを感じる。

 やはり、知性は高いらしい。元来、グレムリンたちは、知性は高めだが、こいつらは、それよりもさらに上のようだ。


「単刀直入に聞く。お前たち、人類を襲撃しているか?」


“そ、そんなことしてませんよ。旦那!”


“俺たち、あのダンジョンに入ったら、恐ろしい魔族に襲われて、ここに逃げて籠城中なんですから!”


“そもそも、ちょっとした、いたずらくらいしか、しませんって!”


 どうやら、否定しているようだな。

 やはり、従来のグレムリンと違い、こちらの言葉を正確に理解しているようで、やりやすい。


「無関係のようだな。いや、レイが関係しているかもしれないが、少なくとも人類を襲っているのは、別のモンスターらしい」


 リズワンやレンシャの話では、冒険者が襲撃されているようだからな。

 いくら知恵をつけようと、こいつらがそんなことをするとは思えない。


 グレムリンは、魔道具を勝手にいじくり回して、その機能を改造してしまう厄介者だ。

 だが、それ以上のことはしない。誰かを傷つけることはせずに、からかって笑っているような連中だ。

 たしか、以前テクニティスが被害に遭い、珍しく本気でモンスターを焼こうとしていた。


「だが、急速に知恵をつけた理由は気になるな。お前たち、自分たちが他のグレムリンより、賢いことは自覚しているか?」


“え、俺たち賢いのか?”


“なんか、急に押し入って来て、褒めだしたぞ。飴と鞭か? 飴と鞭なのか?”


「駄目そうだな。困惑しているだけか」


「旦那。言葉通じないのに、わりとこいつらのことわかるんだな」


「感情は言葉以外からも、理解できる。そこから、予測を立てているだけだ」


 だが、言葉を交わせるわけではない。

 仮にこいつらが、急に知恵をつけた理由を知っていたとしても、そこを詳しく聞き出すことはできない。

 どうしたものか……。放置しても問題なさそうではある。

 だが、一応聞いてみるか。


「レイ、調査は終わった。たしかに、知能が高いモンスターのようだ。このグレムリンたちは、君のモンスターのように、話し合いをする素振りを見せている」


『え、グレムリン? そういえば、うちにはいないな……。でも、レベル上げダンジョンに、グレムリンなんて来ていたっけ?』


「隠れて悪戯ばかりするからな。大方、他のモンスターに紛れて、うまく隠れていたのだろう」


“やべえ! 手口がばれてる!”


『興味あるな。うちで、働かせてみるか?』


「やはり、そうなるか。わかった。可能であれば、連れ帰る」


 レイは、モンスターが好きだからな。

 自分が生成していない知恵あるモンスターということもあり、興味がわいたのだろう。


「ということだ。君たち、うちで雇われないか? 安全と衣食住は保証する。もっとも、衣は、いらんだろうが」


“なんだこの人狼。急に家に入ってきて、怪しげな勧誘し始めたぞ”


“だけど、食事と安全な拠点っていうなら、興味あるな”


“最近物騒だし。体験してみるか!”


 どうやら、彼らも乗り気なようだな。

 レイがどう扱うかわからんが、まあ、おかしなことにはならないだろう。


“全然安全じゃない場所に、連れて行かれる!”


“旦那! そのダンジョン、やべえって!”


“あれ……。もしかして、旦那ってこのダンジョン側の魔族なのか?”


“早まったか!”


 しかし、うちのモンスターと違い、うるさい連中だな。

 さすがに、何を話しているのか、どんな感情なのか、今は読み取れない。

 さっさと、レイのところに連れて行くか。


    ◇


“な、なんだこの魔族! いや、他のモンスターがおかしいって!”


“え、死ぬの!?”


“俺たちも、命張らないといけないのか!?”


「あ、そっか。グレムリンたちは、死んでも復活できないのか」


“あぶねえぞこの魔族!”


“逆らったら、殺される……”


“この魔族にだけは、いたずらしないようにしようぜ……”


 後日様子を見ると、なんだかグレムリンさえも、レイに恐れ戦いているようだった。

 さすがだな。モンスターの扱いはお手の物ということか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生宰相のダンジョン魔改造録』第1巻 発売中!
▶シリーズページはこちら

6j3di8xzcku315svenm7h9h1dqae_1312_12f_1kw_b0ma.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ