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【書籍発売中】転生宰相のダンジョン魔改造録 ~ポンコツ魔王様に頼られたので、壊滅した魔王軍を再建します~  作者: パンダプリン


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522/606

第522話 信じて預けたら魔王軍になった

「なんでまた、レイちゃんさんになっているんですか?」


「魔王のセクハラのせい」


「な、なるほど」


 それで納得する、時任も時任では?

 いや、だいたい全部フィオナ様が悪い。

 ついでに、言われるがままに、魔本を使った私も、ほんのちょっとだけ悪い。

 まあいいや。私の性別が変わろうと、別に、業務に支障はないし。


「それで、俺たちは、いよいよクビにでもされるのかい? ボス」


「何!? 無職のヒーローというのは、体裁が悪い。いや、世の中には、ヒモのヒーローもいるかもしれんが……」


「違うから安心してくれ」


 私の言葉に、ロペスはわりと、ほっとしている様子だった。

 あれ、わりと本気で言っていたのか? いつもの軽いノリだったから、てっきり冗談かと思った。


「最近は、地底魔界の無駄を省こうと、色々と見回っていたところだ」


「それで視察に来ていたんですね。従業員の人たちが、ガチガチに緊張していましたよ」


 そうだったか? みんな、テキパキと仕事をしているように見えたが、上の者がきたせいで、無駄にプレッシャーを与えてしまっていたのか。

 私は宰相だし、他の二人も、四天王と十魔将だもんなあ。


「次からは、変装して行くか」


「真実を知ったときに、寿命が縮みそうだから、やめてやってくれ」


 それもそうか。

 いよいよ、社長や重役の抜き打ち視察みたいに、なりそうだもんな。


「時任みたいに、魔王軍に適応すればいいのに」


「柔軟な女。時任です!」


「この子は、なんかもうバグですから」


「江梨子ちゃん、ひどくない!?」


 これはこれで、時任の才能の一つだもんなあ。

 選択肢のおかげで、どこまで踏み込んでも良いかわかるためか、案外図太いんだ。こいつは。

 そんな彼女の真似をしろというのも、さすがに酷かもしれない。


「まあ、各施設の管理者は、今のままで問題ないとして、従業員はどんな感じだ? 過剰だったり、不足したり、あるいは素行の問題とか」


 私の言葉に、各々がしばし動きを止める。

 天を仰いだり、あるいは視線を下に向け、指を顎に当て、自身の部下たちのことを、思い出しているみたいだ。

 鳴神は、なんか腕を組んで仁王立ちになっているけれど、あいつ、ちゃんと考えているよな?


「獣人ダンジョンの商店は、人手が足りているから大丈夫です!」


「時任のところは、今は、カーマルとハルカ、あとは獣人とダークエルフたちだったな」


「そうですね。ハルカちゃんがいるので、私も怖い人に負けません!」


 オーガのハルカは、護衛としても頼れるらしい。

 ということは、人手不足は、モンスター生成でなんとかなるか?

 いや、今は従業員というより、責任者のほうが欲しいし、一般の従業員も定期的に捕獲できている。

 ならば、わざわざ生成する必要も無いか。


「だから、必要ならカーマルくんを、別のお店に配属させてもらっても大丈夫です!」


 それは助かる。カーマルは、店の管理をできる貴重な人材だ。

 時任のところにいなくてもいいのなら、新たな店を任せることも視野に入れておこう。


「大丈夫? 私もカーマルさんもいなくて、失敗しないかしら」


「私、二人よりも先に、あのお店を切り盛りしてたんだけど!?」


「案外、一人のほうが、うまくやれるのかもね」


 それは、なんとなくわかる。かくいう私も、ダンジョン作りがそうだからな。

 今では、自重をかなぐり捨てて、全てアナンタに丸投げしている。

 しかし、アナンタも、プリミラも、ダスカロスも、いなかったら、こじんまりとしたダンジョンを作っていたと思う。

 私が、好き放題作って、三人でバランスを調整する。それが、理想的なやり方なのだ。


「……レイ。何故か、私たちの負担が、増えたような気がした」


「奇遇ですね。虫の知らせと言いますか、私も今後の苦労を予感しました」


「大丈夫。二人の前に、だいたいアナンタが止めるから」


「……理解した。そういうことか」


「ええ。それなら、まあ……」


 そんなに、わかりやすかっただろうか。

 二人が心配そうに尋ねてきたが、被害は主にアナンタだから安心してほしい。


「奥居は?」


「私も、特に困ることはありませんね。ワタリだけでなく、オーガのみんなが手伝ってくれますし、プシシモさんの食事処も、ダークエルフたちがいるので、手は足りているそうです」


 こっちも、問題無し。余っている様子もないので、案外きちんと人員配置できていたことに、内心で誇らしくなる。


「ロペスはどうだ? 悪いが一番絡まれやすい場所だけど」


「宿はリグマの旦那に任せられるようになったし、カジノに注力できてるから問題ないぜ」


「ウルラガは、復帰したけど、用心棒に不足は?」


「ウルラガの旦那で不足するなら、それこそ四天王を頼ることになりそうだからなあ」


 それもそうか。

 ロペスの現場は、クララが率いるダークエルフだけでなく、オーガたちもいるし、昆虫人もいる。

 荒事には、わりと対応できるようになっているはずだ。


 その後も、ロマーナの魔導映写館。世良の快復の湯。原の服屋。鳴神の喫茶店と聞いていくが、なかなかどうして、人員は過不足ないらしい。

 マギレマさんのレストラン関係も、本店とガナが管理する出張店、どちらも上手くできている。

 かといって、マギレマさんの店をこれ以上増やしても、あまり効果はなさそうか?


「そうだ、ボス」


 これといった成果は無かったか、と気持ちを切り替えようとしたところ、ロペスが思い出したかのように発言した。

 そちらに目を向けると、彼は言葉を続ける。


「人手といえば、前に俺がつるんでいたハーフリングが、新人たちについて悩んでいてな」


「新人って、最近捕らえた従業員たちのことか?」


「いや、俺がつるんでた連中は、こっちに所属しているわけじゃないから、あくまでもトルベリオの店での話だ」


 ロペスがつるんでいたってことは、プリミラの畑に侵入して撤退したやつらだったな。

 ハーフリングの国のトルベリオとは、ロペスがうまく交易を続けてくれているため、そこでのお得意様なのかもしれない。


「こっちで、助けるべき悩みか?」


「こっちにも、利点があるかもしれない悩みだ。新人たちを、可能なら、ここで働かせたいってことだからな」


「なるほど。従業員か」


 トルベリオの、ロペスの仲間たちの店の新人ということは、接客系はできそうだな。

 であれば、こちらとしては、受け入れることに何も問題はないが……。


「魔族のもとで、働くって、平気なのか?」


「だから、あくまでも表向きは、俺たちのもとで働くってことにすべきだな。他の従業員たちと同じで」


 なるほど。ということは、俺は顔見せしないほうがいいか。


「かまわないぞ。いつでも連れて来てくれ」


「いいのか? 詳しいことを、連中から聞いてからでも、別にかまわないんだが」


「問題ない。従業員というのなら、何かしら役割はあるからな」


「適性があるかどうかとか、何ができるかとか見る必要は? もしも使い物にならなかったら、ボスも困るだろ?」


 心配そうにロペスが尋ねるが、そのあたりはこちらは、まったく気にしていない。

 うちもけっこうな大所帯になったからな。人材だけでなく、施設もそれなりに増えている。だから、きっと大丈夫だろう。


「何かしらの役割では、きっと役に立つ。それに、もしも何も向かないというのであれば、こちらが育てるだけだからな」


「……最終的に、全部駄目だった場合は、どんな育成プランを?」


「ハーフリングだし、店の金勘定か、接客か、品の補充か」


「よかった……。それなら、あいつらも」


「あとは、ダンジョンの罠の解除が可能か、テストを」


「絶対に、最初言っていた、どれかにしてやってくれ」


 ハーフリングの特性を考えて、色々提案したのに、最後のだけ却下された。

 なにも、ダンジョンのテストプレイをしろ、と言ったわけじゃないのに、なんだか納得いかない。

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― 新着の感想 ―
タイラー以上に頑張らないといけない可能性もでるな
詳しい事は、きくべきでしょ 面倒事な可能性があるんだから
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